『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』はヘアメイクにも注目
日本で『エブエブ』の略称で知られる映画『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』は、これでもかというほど今年度の映画賞を総なめにしている作品。先日行なわれた第95回アカデミー賞でも、7冠の受賞を果たした。
そんな『エブエブ』では、ミシェル・ヨーが演じるエヴリンと、キー・ホイ・クァンが演じるウェイモンドの娘ジョイであり、悪役ジョブ・トゥパキを演じるステファニー・スーにも大注目。
宇宙を滅ぼすかもしれない敵であるジョブ・トゥパキに扮したステファニーは、劇中でカラフルな衣装に七変化。目がチカチカしそうなほどスピーディーに変化し、衣装に合わせてさまざまなヘアメイクを披露。このヘアメイクには、さまざまな秘密が隠れていたよう。
ヘアアクセのほとんどは原宿で調達
衣装やヘアメイクに合わせてたくさんのヘアアクセサリーが使われたが、じつはほとんどといっていいほど東京の原宿で購入されたものだったという。
『エブエブ』のヘア部門を率いるヘアスタイリストのアニッサ・サラザールは、「ステファニーに使ったヘアアクセサリーはすべて、東京でのクリスマス旅行で購入したばかりのものだったんです」と米Varietyで説明。2019年に訪れたという東京の原宿で購入したヘアアクセサリーをふんだんに使ってヘアアレンジをつくり上げたと明かした。
原宿で購入したヘアアクセがとくに目立っていたのが、ジェレミー・スコット/アディダスのテディベアがついたジャケットを着用したルックに合わせたヘアアレンジ。ハーフアップのツインテールアレンジに、原宿で購入したチェリーモチーフつきのヘアゴムやカラフルなヘアピンをつけてとことんポップに。
そのほかのルックでも、ヘアにちりばめられたグリッターを含むさまざまなヘア系小物は原宿で調達したものだったという。
セーラームーンにインスパイアされたヘアアレンジも
全身ブラックのゴス風コスチュームに黒リップを使ったメイクを合わせたルックで取り入れられたヘアは、じつは日本発の人気アニメ『美少女戦士セーラームーン』からインスピレーションを得て生まれたもの。
ヘアを手掛けたアニッサは、「衣装を見たときに、ゴスっぽくアレンジしたセーラームーンヘアがマッチするはずだと確信しました」と米Mashableで明かし、月野うさぎを彷彿とさせるお団子ツインヘアをつくることにしたと説明。前髪もセーラームーン風に逆ハート型にセットしたという。
またセーラームーンのテーマに合わせて、お団子にちりばめたグリッターも星型や月型をチョイスしたのがこだわりだと明かしている。
ちなみにこのルックでのメイクは、アニメやゲームの世界を表現した「E-Girlメイク」からインスパイアされたメイク。頬に描いたハートや黒のリップで、キュートでありながらエッジの効いたムードを演出。
メイクには心情が隠されている
ヘアだけでなく、メイクもポップで印象的な『エブエブ』。ジョブ・トゥパキ/ジョイのメイクでは、カラフルな中にさまざまな心情が表現されていたよう。同作のメイク部門を率いるメイクアップアーティストのミシェル・チャンは、「ジョブ・トゥパキ(ジョイ)は外見を通して自分自身を表現している人物です。そのためメイクルックも、その感情からインスピレーションを得てつくり上げました」と明かしている。
たとえばエルヴィス風のスーツにピンクヘアを合わせたルックでは、目元や頬にキラキラのパーツをオン。一見今っぽく見えるこのメイクだけれど、じつは目の下に置かれたパーツは涙に見える雫型。ミシェルは、「涙を流しているようなメイクにすることで、彼女の悲しみを表現しました」と語っている。
またジェレミー・スコット/アディダスのテディベアがついたジャケットでは、目の下や鼻先にオレンジのキラキラをオン。どこかピエロっぽくも見えるこのメイクは、長い間泣きはらし、鼻をかんでいたような姿をイメージしたそう。
【おまけ】エヴリンは40回もヘアチェンジ
マルチバースにジャンプし、さまざまな姿になる主人公のエヴリンも、たくさんのヘアメイクを披露。アニッサによると、ヘアチェンジを行なった回数はなんと40回に及んだという。
しかもすごいのがそのスケジュールのタイトさ。1日に10回の変更を行なった撮影日もあったという。それでもアニッサは、「とても楽しかったです」と語っている。
『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』でステファニー・スーが演じるジョブ・トゥパキ/ジョイのヘアメイクの裏側。これから見に行くという人は、ぜひヘアメイクにも注目してみて。(フロントロウ編集部)