エディンバラ国際ブックフェスティバルの主要スポンサーが…
期間中に約500人の作家と約25万人の来場者を集めるエディンバラ国際ブックフェスティバルは世界最大の文字文化の祭典と謳われており、2023年は8月12日~28日の開催。しかし今年はボイコットやウォークアウト(※途中退席)というデモに見舞われている。
発端は、著書『The Climate Book』のトークイベントに出席するはずだった気候変動アクティビストのグレタ・トゥーンベリがイベント出席をキャンセルしたこと。チケットが完売していたイベントをボイコットする理由を、グレタ氏はフェスティバルの公式サイトでこう説明した。
「気候変動活動家として、化石燃料産業に多額の投資をしているBaillie Giffordがスポンサーのイベントに参加することはできません。文化的イベントのスポンサーといった、化石燃料産業によるグリーンウォッシングは、彼らが事業を継続するための社会的な免罪符となっています。私はこのような企業がスポンサーを務めるイベントには参加できませんし、関わりたくありません」
Baillie Gifford(ベイリー・ギフォード)はスコットランドの投資会社。グレタ氏はイベント出席が決まった後に、同社が化石燃料分野への投資に力を入れていることを知り、出席を辞退したよう。国連は化石燃料(石炭、石油、ガス)について、「世界の温室効果ガス排出量の75%以上、二酸化炭素排出量の90%近くを占めており、地球規模の気候変動の最大の原因となっている」としているが、世界的に使用料の減少が進められていない。ちなみに日本は、化石燃料事業への公的資金の拠出額が世界最大だとして、2022年に国際グループ気候行動ネットワークより“化石賞”が贈られた。
著名な作家によるボイコット呼びかけ、トークイベントから途中退席も
グレタ氏のボイコット表明後、作家を中心とした50名以上が公開レターに署名。
『両方になる』で多数の文学賞を受賞したアリ・スミスをはじめとした著者は、「世界的な災害から莫大な利益を得ておいて、事業を継続するためにエディンバラ・ブックフェスティバルのような尊敬される文化的機関の陰に隠れる」企業を批判し、イベントのビッグスポンサーであるベイリー・ギフォードに化石燃料への投資をやめるよう求めた。そしてフェスティバル側に、もしもベイリー・ギフォードが姿勢を変えない場合は2024年のイベントではスポンサーに起用しないよう要求。これらが達成されない場合は、すべての作家にイベントのボイコットを呼びかけた。
さらに、現地時間8月12日に著書『It’s Not That Radical』のトークイベントに登壇した気候変動アクティビストのミカエラ・ローチは、自身のトークイベントからウォークアウト(※退席)するという形で今回の件に抗議。その後インスタグラムで、「エディンバラ・ブックフェスティバルに招待されたことには非常に興奮していました」としながらも、「多くの文化フェスティバルの主要スポンサーを務める投資会社Baillie Giffordは、化石燃料から利益を得る企業に50億ポンドを投資しています。批判に対し、ブックフェスティバル側は、Baillie Giffordはそれほど悪くなく、正しい方向に取り組んでおり、この50億ポンドはポートフォリオの2%に過ぎないと述べています。これこそグリーンウォッシングです。50億ポンドは大きい。だからこそ、気候危機を引き起こしている、あるいは資金を提供し、それによって他の企業が気候危機を拡大することを可能にしている企業は、文化イベントのスポンサーになることを許されるべきではないのです」と綴った。
^ ミカエラ・ローチのトークイベント中に行なわれたデモ活動。