2023 FIFA女子ワールドカップのメダル授与シーンで、FIFAのジャンニ・インファンティーノ会長へのに冷ややかな対応が目立った。(フロントロウ編集部)

「男性を説得する」のは誰の仕事? ジャンニ・インファンティーノ会長が問題発言

 スペイン代表がイングランド代表に1-0で勝利し、初優勝を勝ち取って幕を閉じた2023 FIFA女子ワールドカップ。大会中は、イングランドのクロエ・ケリーのシュートが2022-2023年のプレミアリーグ(※イギリスの男子最上位リーグ)におけるシュートの最高速度(107.2km)を上回る110.79kmを記録するなど、多くの目を見張るプレーがあった。

 そんななか、決勝戦の直前にシドニーで開催されたコンベンションでお門違いな発言をしたFIFAのジャンニ・インファンティーノ会長への“冷遇”が話題になっている。

画像: ジャンニ・インファンティーノ会長(右)。

ジャンニ・インファンティーノ会長(右)。

 インファンティーノ会長は決勝戦前のコンベンションで、サッカー界における女子の躍進に触れてこう語っていた。

 「私はすべての女性に言いたい…私には4人の娘がいるので、家にも数人います…あなたには変える力がある、と。正しい闘いを選びなさい。あなたには変える力があります。何をすべきで何をすべきでないか、私たち男性を説得する力をあなたたちは持っています。あなたがやるのです。ただやるのです。男性、そしてFIFAを相手に、あなたは開かれた扉を見つけるでしょう。ドアを開けるのです。扉は開かれています。そして、それを国のレベルでもやるのです。すべての国、すべての大陸レベル、すべての連盟で。押し続け、勢いを保ち、夢を見続け、完全な平等を目指しましょう」

 それはあなたの仕事では?とつっこみが殺到したこのコメント。サッカー界は未だに男性中心の業界。FIFAでも近年ようやくカウンシルメンバー37人のうち女性が1人から7人に増加したばかり。女子選手が躍進できるためには適切な環境づくりが必要で、だからこそ、業界で決定権を持つ男性が担う責任は大きい。そしてそれをリードすべきがFIFAのようなグループの会長であるはず。しかし会長はなぜか男性を「説得する」責任を女性に押しつけるような発言をする始末。

 FIFAとして女子サッカーをサポートするための具体的な戦略や行動を提示する機会を与えられながら、女性たちに「ただやるのです」と言うに留めた会長のスピーチには批判が殺到して、バロンドール受賞者であるノルウェーのアーダ・ヘーゲルベルグ選手は、「男性を説得するためのプレゼンをまとめています」とSNSに皮肉コメントを投稿した。

選手が会長を無視?コメンテーターは超辛口コメント

 この発言の後に開催された女子W杯の優勝決定戦。インファンティーノ会長が参加したメダル授与シーンで、次々と事件が起きた。

画像: ゴールドメダルを胸に気ねん撮影をするスペイン女子。ジャンニ・インファンティーノ会長は左。

ゴールドメダルを胸に気ねん撮影をするスペイン女子。ジャンニ・インファンティーノ会長は左。

 まず、会長がピッチ上に設置されたステージに立ってスペイン代表にメダルを授与していたとき、BBCの生中継で、コメンテーターを務めていたロビン・コービンが「FIFA会長のジャンニ・インファンティーノは、たくさんの開かれたドアを通ってステージへと降り立つことができました」とチクリ。これは当然、会長が言った「ドアは開かれている」発言を皮肉ったもの。

 また、イングランド代表のメダル授与シーンでは、会長が握手のために出した手をルーシー・ブロンズ選手が握らずにトンッと触るだけという形を取ったことが視聴者の間で話題に。これが故意的なものだったかは分からないが、会長の発言に対する抗議ではないかという意見がSNS上では多く聞かれている。

画像: ジャンニ・インファンティーノ会長の出した手をスルーしようとするルーシー・ブロンズ選手。

ジャンニ・インファンティーノ会長の出した手をスルーしようとするルーシー・ブロンズ選手。

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