レイプ加害者のダニー・マスターソンの人間性を支持する手紙を書いていた
俳優のアシュトン・カッチャーとミラ・クニス夫妻が、コメディ番組『ザット'70sショー』で共演したダニー・マスターソンのレイプ加害事件で、ダニーの人柄を保証する“キャラクター・レター”を裁判所に提出していたことが分かって物議を醸している。
ダニーは『ザット'70sショー』がヒットしていた2000年代初めに、3人の女性に薬物を盛ってレイプした容疑をかけられ、うち2人の事件で有罪判決を受け、懲役30年~終身刑を言い渡された。
アシュトンは裁判官に渡した手紙のなかで、ダニーとは「一緒に世界を旅し、一緒にそれぞれの娘を育て、数えきれないほどの家族の思い出を共有」した仲であると明かし、「つねに良識があり、平等で、寛大な方法で他人を扱う」人であるダニーは、「自分に良い影響を与えた人物」だと評価。アシュトンは、2016年からはドラマ『The Ranch ザ・ランチ』でダニーと兄弟役で共演したが、ダニーは自分に嘘をついた覚えがないとした。
また、ミラはダニーの反薬物使用な姿勢を明かし、「薬物使用に対するプレッシャーや誘惑が渦巻くこの業界で、ダニーは私をそのような破壊的な道から遠ざける上で極めて重要な役割を果たしました」などと綴った。
アシュトン&ミラの謝罪全文
性暴力事件が起きると、“あの人はあんなに良い人なのだから”と加害者への擁護論が起きやすい。しかし、良い友人であっても、良い夫であっても、良い父親であっても、性暴力の加害者になり得るのだ。
今週の裁判結果のあとにこの手紙の存在が判明すると、児童に対する性暴力を撲滅するための運動に力を入れているアシュトンとミラには大きな批判が集まった。そして、アメリカのX(旧ツイッター)でこの話題がトレンド入りするなか、日本時間9月10日、夫妻がSNSに動画を投稿。以下のように謝罪した。
「私たちは、自分たちがダニー・マスターソンのために書いた手紙によって引き起こされた痛みを認識しています。
私たちは被害者を支援します。私たちはこれまでも、自分たちの活動を通してそうしてきましたし、今後もそうしていきます。
数カ月前、ダニーの家族から連絡がありました。そして、裁判官が量刑の際にすべてを考慮できるように、私たちが25年間知っているダニー・マスターソンという人物についてのキャラクター・レターを書いてほしいとお願いされたのです。
この手紙は、司法制度の正当性や陪審員の判決の妥当性を問うために書かれたものではありません。
裁判官が読むために書かれたものであり、被害者の証言を損なうためのものではありません。私たちはそのようなことは決してしたくありません。もし結果的にそのようなことが起きたのであれば、申し訳なく思っています。
我々は、性的暴行、性的虐待、レイプの被害に遭われたすべての方のために心を痛めています」
アシュトンとミラがすぐに謝罪声明を発表したことを評価する声もあるが、現時点では、逆に正直な謝罪ではないと批判を大きくしているように伺える。
インスタグラムでは、俳優のロザンナ・アークエットが、「人々が権力を乱用して、そのうえで権力者に守られ、庇護されるのはひどいことです」と書き込み、元NBA選手のイータン・トーマスが、「私たちの知性を侮辱しないでもらいたい。ありのままを言いなさい。あなた方は、仲間が軽い刑で済むよう静かに手助けしようとしていたのに、みんなに知られるとは思わなかったんでしょう」と綴った。
『ザット'70sショー』他共演者の反応は?
『ザット'70sショー』からは、アシュトンとミラ以外にも、カートウッド・スミス(レッド役)とデブラ・ジョー・ラップ(キティ役)もダニーのためにキャラクター・レターを書いていたことが分かっている。
ローラ・プレポン(ドナ役)やウィルマー・バルデラマ(フェズ役)は静観しているが、トファー・グレイス(エリック役)の妻である俳優のアシュリー・ヒンショウは、ダニーへの判決が言い渡されたあとにインスタグラムのストーリーズを更新し、「レイピストに何が起こるかという点に焦点をあてる社会の議論を見てトラウマがよみがえっているすべてのレイプ被害者へ。私はあなたの存在を認識しています」と綴った。