9歳で出会い、今は29歳―娘は同じ高校に通った親友
ダコタ・ファニングがデンゼル・ワシントンと初共演したのは、彼女がわずか9歳のときだった。それから20年近くが経った今、『イコライザー THE FINAL』でアカデミー賞に2度輝いているワシントンと再タッグを組めたことを彼女は喜んでいる。
デンゼルを俳優として尊敬し、友人として大切に思う彼女は、『イコライザー』シリーズの前2作は大好きな作品だったという。そのアクションサスペンスシリーズの3作目にして最終章で、CIA捜査官エマ・コリンズという重要な役を演じないか、と3作品すべてで監督を務めたアントワーン・フークアから話があったときは、これは逃すわけにはいかないオファーだと思ったとする。
「デンゼルとは、『マイ・ボディガード』(2004)で共演し、彼の子どもたちとも仲のいい友人同士です」とダコタは話す。「彼の娘の一人とは同じ高校に通った仲で、親友同士なんです」と、プライベートでの交流を明かしたダコタ。
「彼の家族ともデンゼルとも、深いつながりを感じますし、デンゼルの大ファンなので、デンゼルの出演作はどれも観たくなります。また、アントワーンの作品のファンでもあるし、『イコライザー』のような映画も大好きなんです」。
「私はとにかくデンゼルが大好きで、彼がやることすべてが好きなんです。だから彼が出演している映画はどんなものでも観ることになります。『イコライザー』の前2作も観ました。今作に参加するはるか前から、大好きな作品でしたよ」と続けた。
ダコタいわく、『マイ・ボディガード』は彼女のキャリアにおいて大きな意味を持つ大切な経験。
「私とデンゼルのダイナミクスについては、よく言われます。20年経った今でもですよ。彼とまた共演できて本当に嬉しいです。再共演する機会がくるかどうかわからなかったので、『イコライザー THE FINAL』の話には飛びつきました」と明かし、話をもらったときはすごく興奮しましたが、アントワーンと会って話したときには、さらにワクワクしました」と付け加えた
以前からロバート・マッコールの大ファンだった
デンゼルは『イコライザー』で、世界の不正義と闘う一匹狼となった元秘密工作員のロバート・マッコール役で、ダコタを含め何百万人もの人々を魅了してきた。
「ロバート・マッコールは最高ですね。人々を救い、助ける謎の人物。バックストーリーはきちんとあるけれど、それでもどこか謎めいている。彼を見ていると、守られているという安心感があります。それはデンゼル自身の持つ魅力でもあると思います」と語るダコタ。
そんな役をデンゼルが演じることについては、「彼はすごくパワフルであると同時に、エモーショナルな俳優です。演じる役柄すべてにたくさんのものをもたらします。特にこの役はそうです。ロバート・マッコールは心にたくさんの傷を負っています。彼は人々を助け、思いもかけないようなことをします。そうすることで、傷を乗り越えようとするんです」と話す。
CIA捜査員エマ・コリンズはどんなキャラクター?
『イコライザー THE FINAL』では、ある仕事のためにイタリアに行っていたマッコールが、アマルフィ海岸沿いの小さな町に避難することになる。彼はそこの住民たちの生活に心惹かれる。
彼にとって大切な存在になり始めた住民たちの生活が、情け容赦ないマフィアのボスと、残忍な手下たちによって脅かされると、マッコールはその戦いに背を向けることができなくなる。
「私が演じるエマ・コリンズは、デスクワークをしながら上を目指してきた若いCIA捜査員です。彼女のところに謎めいた電話をかけてきた人物がロバート・マッコールで、彼女はなぜ彼が自分に電話をしてきたのか、一体何が起きているのかを究明しなければなりません」と、ダコタは話す。
「彼女自身のキャリアアップのきっかけになるので、彼女もこの謎を解明する必要があるんです。電話を受けた彼女もイタリアに向かいます」
『イコライザー THE FINAL』では、ダコタがほんの数か月前に、パトリシア・ハイスミスの小説をもとにしたNetflixのシリーズ作品『Ripley』を撮影していた地へ再び戻ることになった。
「家に帰るような気持ちでした」と彼女は言う。「ほんの数か月前に一緒に仕事をしていたスタッフの方たちが大勢いたので、安心でした。また同じ場所に行くことになるなんて、面白い偶然だと思いました」
「戻ることができて嬉しかったです。イタリアのクルーとはすごく仲が良くなったので、彼らにまた会えて最高でした。それに世の中には、アマルフィ海岸よりももっとひどいロケ地がありますからね」と彼女は笑う。「本当に美しい場所なんです」
マッコールが観客を魅了する理由、ダコタなりの分析
興味深いバックストーリーとゆるぎない正義感を持ち、カリスマ性のある振る舞いをする謎のヴィジランテとして、マッコールは観客を魅了してきた。 「あらゆる問題を解決して私たちを守ってくれるヒーローがどこかにいる、と私たちは信じたがっていて、このシリーズとマッコールというキャラクターは、そうした願いをかなえてくれる存在なんだと思います」とダコタは分析する。
「観客がこのキャラクターを愛しているのは明らかです。でなければ、三作目が作られることはないですから。彼にも、ストーリーにも、人を惹きつける魅力があります。そして一作ごとに新しい事実がわかってロバート・マッコールの神話が大きくなっていきます。毎回、秘密が明かされていくので、マッコールという男をなんとか解明しようと、皆さんまた次の作品を観に行くのではないでしょうか」
「私はそういう、神話を作っていくような映画で、それぞれのキャラクターに深い歴史があるような映画が大好きです。多層的な物語を作り出すような映画が好きなんです。それを見事に成し遂げているのが、『イコライザー』シリーズなので、次に何が明かされるのか、それがどんなことであれ、知りたくなるんです」
20年近く知るデンゼルとの演技の極意「気を抜かずに、常に集中」
ダコタは、デンゼルと故トニー・スコットと共に臨んだ『マイ・ボディガード』の撮影について今も鮮やかに記憶している。魔法のような経験だったと彼女は言う。
「たしか『マイ・ボディガード』は、私が出演した4作目か5作目の映画です。私は総じて記憶力がいい方ですが、特にあの作品については、ほとんどすべてのことを覚えています。メキシコシティで半年間、トニー・スコットとデンゼルと仕事をしたんです」 。
「メキシコであの場所に滞在し、現地の文化を体験したことは、その後の私を形作りました。そして二人の偉大な人たちと仕事をしたことは、決して忘れられるようなことではありません」
「あのときのことは克明に覚えています。とてもいい思い出ですよ。ずいぶん昔のことだなんて信じられないくらいです。私は幼かったけれど、確かに鮮やかに覚えていますよ。本当に素晴らしい、一生に一度あるかないかの経験でした」
『イコライザー THE FINAL』でのワシントンとの再共演も、それと同じくらい印象的なものだった。今の映画界の最高峰にいる役者の一人と同じ場面を演じることに、大変やりがいを感じたと彼女は話す。
「幼い時にデンゼルと共演したので、彼の仕事のやり方はわかっていました。こちらが気を抜かずに、常に集中していなければいけないことも。彼が何を言い出すか、わからないので」と、彼女は言う。
「なので、こちらは準備を万端に整えておかないといけません。彼はしょっちゅう予想外のことをして驚かせるので、脚本に書かれた台詞に縛り付けられていてはいけないんです。ときどき違う方向へ行ってしまう彼についていかないといけないので。それが楽しいんです。と同時に、ちゃんと聞いていなければいけないという大変さもあります。本当は常にそうしていなければいけないのですが」
「デンゼルと共演しているときには、不意を突かれないよう気をつけないといけません。それが楽しいし、面白いし、エキサイティングなんです。すごく楽しい時間です。気合を入れないといけなんです」
「デンゼルと、一度だけでなく、二度も共演する機会なんて、ほとんどの人は得ることができません。この象徴的なシリーズに参加できたのは素晴らしいことで、すごくワクワクしました。最高の経験をしました。皆さんに見てもらうのが楽しみです」
シリーズ初の「R15+」指定になることが発表された『イコライザー THE FINAL』。静かに増幅していったマッコールの怒りは、シリーズ史上最も激しいといわれるバイオレンスとして爆発する。「シリーズ最強の最速の最後」の戦いは10月6日(金)より全国の映画館で上映。