映画『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』のウンパルンパ役はなぜヒュー・グラントに? ポール・キング監督が笑える起用秘話をフロントロウ編集部に明かしてくれた。

ヒュー・グラントがウンパルンパ役に起用された経緯

 12月8日(金)に全国劇場公開を迎えた映画『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』。映画『チャーリーとチョコレート工場』でジョニー・デップが演じたことでも知られる、ウィリー・ウォンカの若い頃を描いた本作で、ティモシー・シャラメが演じる主人公ウィリー・ウォンカに勝るとも劣らない存在感を放っているのが、ヒュー・グラント演じるウンパルンパだ。

 襟付きのシャツの上に紫のセットアップを着て、“紳士的”に描かれているヒュー版のウンパルンパは、先立って解禁された予告編の時点からアイコニックな雰囲気に満ちていたが、本作のポール・キング監督が取材で明かしたところによれば、意外にも、最初からヒューの起用を想定していたわけではなかったという。

 監督は「今回の映画では、脚本を書き始めた段階からヒューのことを想定していたわけではありませんでした。ウンパルンパはいくつかの異なる形で描かれてきたので、我々はどのように描くべきか頭を悩ませました」とフロントロウ編集部に明かすと、ウンパルンパ像を構築するために原作を読み返していたときのことを次のように振り返った。

 「原作を改めて読んでみると、彼らは会話するシーンというのはあまりないのですが、何ページにもわたって、彼らの歌が韻文で記されているんです。読んでいて、とても面白く、皮肉が効いていて、とても痛快に感じました。彼らは、工場を破壊してしまう恐ろしい子どもたちの最後を、嬉々として喜んでいるわけですから」

画像1: ヒュー・グラントがウンパルンパ役に起用された経緯

 そうして原作を読み返していたなかで、監督は、そんな皮肉屋なウンパルンパの声が、自分の中でヒュー・グラントの声で再生されていたことに気がついたという。映画『パディントン2』でヒューと仕事をした経験があった監督は、次のように振り返った「読みながら私の頭の中で再生されていたのは、ヒューの声でした。彼は辛辣で、軽蔑的で、それでいて笑えるという要素を同時にもたらすことができるので」

画像2: ヒュー・グラントがウンパルンパ役に起用された経緯

 そして、ウンパルンパの歌がヒューの声で再生されるようになってからは、夢の中にまでウンパルンパになったヒューが登場して、その“悪夢”に悩まされることになったという。

 監督は「ヒューの声で再生されるようになってからは、ウンパルンパがヒューのような見た目だったらどうなるだろうということを考えるようになりました。原作に登場するようなサイズで、髪の毛は緑色で、肌はオレンジ色だったらどう見えるだろうって。それを考えだしてからは、しばらくの間悪夢に悩まされましたよ(笑)。悪夢から逃れるには、この考えを世の中と共有する他にありませんでした」と、ヒューを起用した経緯をジョーク交じりに明かした。

ヒュー・グラントはノリノリでウンパルンパを演じた

 ところで、本作でヒューはウンパルンパとして歌やダンスも披露しているが、ヒューとダンスといえば、2003年に公開された名作映画『ラブ・アクチュアリー』のダンスシーンを思い浮かべる人も少なくないかもしれない。

画像1: ヒュー・グラントはノリノリでウンパルンパを演じた

 同作については、ヒューが最後までダンスシーンの撮影を嫌がっていたという逸話があるのだが、『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』の現場ではどうだったのだろうか? 監督に訊いてみると、「ええ、その話は聞いたことがありますね。本当の話かはわかりませんが、私もその話は聞いたことがあります」とした上で、「実際のところ、彼はウンパルンパとしてとても熱心にダンスに取り組んでくれましたよ」と教えてくれた。

 現場ではどうやらノリノリでウンパルンパになりきっていたようで、「わからないですが、普段パーティーに行くときも彼はあんな感じで踊っているのではないでしょうか(笑)」とジョーク交じりに語った監督。「いずれにせよ、すごく楽しみながら臨んでくれていたと思います。エネルギッシュかつ律儀にとてもよく取り組んでくれましたよ」と続けた。

 そして、セットではヒューと、主人公ウィリー・ウォンカ役のティモシーの相性も抜群だったそう。「セットでのティモシーとの呼吸も素晴らしかったです。ヒューは本当に楽しい人ですし、頭の回転も早くて、私たちが書いてきた台本をさらに高めてくれるような人です。本当に素晴らしいですよ」と監督。

画像2: ヒュー・グラントはノリノリでウンパルンパを演じた

 ティモシーとの相性が素晴らしいあまり、当初の予定を変更してまでウンパルンパのシーンを追加したほどだったそうで、監督は「ヒューが素晴らしく、2人の共演も最高だったので、撮影を進めるなかでいくつかのウンパルンパのシーンを追加しました。形作っていくのはとても美しい過程でしたね」と振り返った。

 クリスマスに贈る歌と魔法と感動のファンタジ―『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』は全国劇場公開中。ヒュー演じるウンパルンパや、彼とティモシー演じるウィリー・ウォンカが起こす化学反応にも注目してほしい。

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