『ハリー・ポッター』の物語の約1,000年前、ホグワーツを創設した4人の魔法使いのひとりがサラザール・スリザリンだ。蛇語を操り、純血主義を唱えて学校を去った「闇の始祖」のような存在だが、その遺産、すなわち秘密の部屋とバジリスク、形見のロケット、そして子孫ヴォルデモートが、シリーズ全体の運命を決めることになる。この記事では、スリザリンの人物像、他の創設者との決裂、秘密の部屋の真実、子孫の系譜までを解説する。
サラザール・スリザリンとは?【プロフィール】
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 英語表記 | Salazar Slytherin |
| 立場 | ホグワーツ4創設者のひとり(約1,000年前、10世紀ごろ) |
| 出身 | 湿地帯(組分け帽子の歌で「沼地から来た」と歌われる) |
| 創設した寮 | スリザリン寮(寮カラーは緑と銀、象徴は蛇) |
| 重視した資質 | 野心・狡知・機知・血の純粋さ |
| 特殊能力 | 蛇語(パーセルタング)を話す |
| 外見 | 秘密の部屋の石像では、猿のような老いた顔に細長いあごひげ |
| 遺産 | 秘密の部屋・バジリスク・スリザリンのロケット |
| 末裔 | ゴーント家→トム・リドル(ヴォルデモート) |
原作の組分け帽子の歌によると、スリザリンは沼地の出身で、抜け目のない切れ者として知られていた。蛇と話せる「蛇語使い」の代表的な存在で、その能力は約1,000年後の末裔トム・リドルにまで受け継がれていく。
ホグワーツの4人の創設者は?
グリフィンドール、レイブンクロー、ハッフルパフ、スリザリン
| 創設者 | 寮 | 重視した資質 | 主な遺品 |
|---|---|---|---|
| ゴドリック・グリフィンドール | グリフィンドール | 勇気・騎士道 | グリフィンドールの剣、組分け帽子 |
| ロウェナ・レイブンクロー | レイブンクロー | 知恵・機知 | レイブンクローの髪飾り |
| ヘルガ・ハッフルパフ | ハッフルパフ | 誠実・勤勉 | ハッフルパフのカップ |
| サラザール・スリザリン | スリザリン | 野心・狡知・純血 | スリザリンのロケット |
4人はそれぞれ自分の重んじる資質を持つ生徒を集め、それが現在の4つの寮になった。のちにヴォルデモートは、グリフィンドールを除く3人の創設者の遺品を分霊箱に変えており、創設者の存在はシリーズ全体を貫いている。
なぜ他の創設者と決裂した?
マグル生まれの入学に反対して学校を去った
ホグワーツを築いたスリザリンだが、生徒の選抜方針で仲間と対立する。彼の主張は、魔法族の家系の子だけを入学させるべきだというもの。マグルによる魔女狩りの時代を背景にした警戒心だったとも言われるが、他の3人、とくに親友だったグリフィンドールとの溝は埋まらず、激しい口論の末にスリザリンは学校を去った。この決裂が、1,000年後まで続く純血主義の火種になる。
秘密の部屋の真実とは?
城に隠し部屋を残し、バジリスクを仕込んで去った
学校を去る前、スリザリンは城の地下に誰にも知られない部屋を築いた。それが「秘密の部屋」だ。部屋には蛇の王バジリスクを封じ、真の継承者だけが部屋を開いて怪物を解き放ち、学校からふさわしくない者を一掃するという伝説を残した。約1,000年後、その伝説どおりに部屋を開いたのが、スリザリンの末裔トム・リドル、のちのヴォルデモートである。女子トイレの蛇口に隠された入り口、巨大なスリザリン像の口から現れるバジリスクなど、『秘密の部屋』のクライマックスはすべて彼の置き土産だった。
スリザリンの子孫は誰?
ゴーント家からヴォルデモート、アメリカの魔法学校の創設者まで
| 子孫 | どんな人物か |
|---|---|
| ゴーント家(マールヴォロ、モーフィン、メローピー) | 純血と家柄に固執し、没落した一族 |
| トム・リドル(ヴォルデモート) | メローピーの息子。秘密の部屋を開き、分霊箱を作った |
| イゾルト・セイア | 北米の魔法学校イルヴァーモーニーの創設者。ゴーント家の血を引く |
| デルフィー | 舞台『呪いの子』に登場するヴォルデモートの娘 |
ワーナー・ブラザース公式サイトWizarding Worldに掲載された、ローリングによる北米の魔法学校イルヴァーモーニーの物語によると、スリザリンの血は遠くアメリカにも渡っている。創設者イゾルト・セイアはゴーント家の血を引き、伯母ゴームレイス・ゴーントはスリザリンの杖(芯はバジリスクの角)を持っていたとされる。蛇語の能力も、こうした子孫に受け継がれていった。
スリザリン寮は「悪の寮」なのか?
純血主義は創設者の一面で、寮そのものは悪ではない
創設者の思想ゆえに、スリザリン寮は「闇の魔法使いの巣窟」と見られがちだ。実際、ヴォルデモートや多くの死喰い人を輩出している。だが寮の本質は野心と機知であり、ハリーを守り抜いたスネイプ、最後にヴォルデモートから離れたマルフォイ家、そしてハリーが息子に、自分が知るなかで最も勇敢な人はスリザリン出身だったと語ったエピローグが、寮の名誉を回復していく。創設者の負の遺産と、そこから生まれた誇りの両方を描くのが、ハリポタの奥行きだ。
サラザールの名がついた毒蛇がいる?
インドで見つかった新種のハブが「サラザール」と命名された
現実の世界にも、スリザリンの名を受け継いだ生き物がいる。2020年、インド北東部のアルナーチャル・プラデーシュ州で見つかった緑色の毒蛇の新種が「トリメレスルス・サラザール(Trimeresurus salazar)」と命名された。インドの英字紙The Hinduによると、名前の由来はサラザール・スリザリンだという。蛇を象徴とする寮の創設者らしいエピソードだ。
まとめ:サラザール・スリザリンの要点
- 約1,000年前にホグワーツを創設した4人のひとりで、蛇語の使い手
- マグル生まれの入学に反対して他の創設者と決裂し、学校を去った
- 秘密の部屋とバジリスクを残し、末裔のヴォルデモートがそれを開いた
- 形見のロケットは分霊箱にされ、子孫の血はアメリカにも渡った
スリザリンの物語は「創設者の思想が1,000年後の戦争を生む」という、シリーズでもっともスケールの大きい因果の物語でもある。(フロントロウ編集部)



















