トム・クルーズがジャック・リーチャーを演じた映画シリーズは、なぜ2作で終わったのか。原作小説の作者リー・チャイルドが、3作目にストップをかけたのは自分だったと明かした。決め手となったのは、映画とドラマにおける「お金の流れ」の違いだったという。(フロントロウ編集部)
契約書に盛り込んでいた条項
トム主演の映画版は、クリストファー・マッカリーが監督・脚本を務めた『アウトロー』(2012年)と、エドワード・ズウィック監督の『ジャック・リーチャー NEVER GO BACK』(2016年)の2作。トムは、元米陸軍憲兵のジャック・リーチャーを演じた。
リーは米メディアのインタビューで、「映画の契約には、2本作ったあとに続けるかどうかを私が拒否できる条項を入れていた。そして、その拒否権を行使した」と語った。映画化の契約を結んだのは2005年。長い開発期間を経て1作目が公開され、2作の製作が完了したのが2017年だった。
映画化そのものを後悔しているわけではない。1作目が公開されたのは2012年12月で、翌月にはリーの既刊のペーパーバック8冊がベストセラーのトップ10に入ったという。リーは「そんなことはお金では買えないし、断れるはずもない」と振り返っている。
「2億ドルに見合う俳優なんている?」
では、なぜ3作目は作らなかったのか。リーは、2017年の時点で映像を取り巻く環境が大きく変わっていたと説明する。一気見できる配信ドラマが普及し、2005年にはなかった選択肢が生まれていた。
ひとつ目の理由は、尺の長さ。リーは配信ドラマを「とんでもない贅沢」と表現し、「8時間でも10時間でも12時間でも、好きなだけ使える。光も影も、静かな場面も楽しい場面も、物語をまるごと描ける。90分に詰め込まなくていい」と話した。
もうひとつはお金の問題。「映画では、俳優がお金を呼び込む。2億ドル(約300億円)の投資に見合う俳優なんている?」と問いかけ、「テレビならプラットフォームが出資するから、誰でも起用できる。まったく無名の人でもいい。キャスティングは完全に自由になった」と続けた。
配信版はシーズン6まで決定
こうして2022年に始まったのが、アラン・リッチソン主演のPrime Videoのドラマシリーズ『リーチャー ~正義のアウトロー~』。8月に配信が始まったシーズン4は、最初の28日間で世界6,600万人の視聴者を集め、すでにシーズン5とシーズン6の製作も決まっている。シーズン5では、原作小説『Make Me』をもとに、リーチャーが列車で米中西部の町マザーズ・レストへ向かい、ある失踪事件をめぐる謎に巻き込まれていく物語が描かれる。
トムが演じたリーチャーにも根強いファンはいる。ただ、原作者自身が選んだのは、時間をかけてじっくり物語を描ける道だった。シーズン6まで続く現状を見る限り、その判断は正しかったのかもしれない。


















