米人気チョコ「リーセス」、訴訟後にパッケージ表記を変更


アメリカのハロウィンに欠かせないチョコレート菓子「リーセス・ピーナッツバター・パンプキン」。そのパッケージに、今年から新たな注意書きが加わった。背景にあるとみられるのは、「パッケージの絵と中身が違う」として起こされた500万ドル(約7億5,000万円)の損害賠償を求める訴訟だった。(フロントロウ編集部)
「くり抜かれた顔」がなかった
リーセスは、米ハーシー社が手がけるピーナッツバター入りチョコレートの人気ブランド。ハロウィンの時期には、カボチャの形をした限定商品が店頭に並ぶ。そのパッケージには、ジャック・オー・ランタンのように目と口がくり抜かれたチョコレートのイラストが描かれている。
米NBC Washingtonによると、訴訟が起こされたのは2024年。フロリダ州の消費者らが、ハーシーの複数の季節限定商品について「消費者を欺くマーケティングだ」と訴えた。原告のひとりは、2023年にパンプキンを3袋購入。パッケージに描かれているような目と口があると思って購入したものの、袋を開けると、中に入っていたのは顔のない、ただのカボチャ形のチョコレートだったという。
訴えの対象はパンプキンだけではなかった。おばけ、コウモリ、アメリカンフットボールのボール、雪だるま、靴下、ベルなどをかたどったリーセスについても、パッケージに描かれた装飾が実際の商品には施されていないと指摘。原告側は、ハーシーのマーケティングがフロリダ州の消費者保護法に違反しているとして、500万ドルの損害賠償を求めていた。
裁判所は「主観的な失望」と判断
これに対してハーシーは、パッケージのイラストは商品の正確な再現ではなく、装飾例にすぎないことを一般的な消費者なら理解できると反論。パッケージには「デコレーションの提案」という注意書きがあり、消費者は欠陥のない、食用に適した商品を受け取っていると主張した。
連邦地裁のメリッサ・デイミアン判事は、2025年9月にいったん訴えを退け、原告側に訴状を修正する機会を与えた。その後、修正された訴状が提出されたものの、2026年9月16日に改めて訴えを棄却。原告側は具体的な経済的損害を示せておらず、訴訟を起こすために必要な法的資格を十分に立証できていないと判断した。判決のなかで判事は、原告側の主張によれば、被った損害は「主観的な失望」にとどまると指摘している。
ただし、今回の棄却は、請求内容そのものの妥当性を判断したものではない。原告側の弁護士は判決に失望を示し、控訴を検討しているという。
新しい注意書きは「くり抜き模様はありません」
そして、今年のハロウィン。米Delishによると、パンプキンのパッケージには「Carving Not On Actual Product(実際の商品にはくり抜き模様はありません)」という新たな注意書きが加えられた。これまでの「デコレーションの提案」という表現よりも、具体的な内容を明示したものだ。
NBC Washingtonによると、ハーシーは表記を変更した理由を公表しておらず、訴訟との関係についても説明していない。ただ、新しいパッケージが店頭に並んだのは、2度目の棄却からわずか数週間後のこと。そのタイミングに注目が集まっている。
一方、Delishの筆者は、リーセスを食べて育った人なら実際の商品がどのような見た目なのか知っているはずだとして、ブランド側を擁護している。パッケージのイラストどおりの「顔」を再現したい人は、自分でチョコレートに切り込みを入れるしかなさそうだ。

















