「風に吹かれて」などの名曲で知られるシンガーソングライターのボブ・ディランが、現地時間11月4日、バチカンでローマ教皇レオ14世と非公式に面会した。教皇からはロザリオが、ディランからは自伝が贈られた。(フロントロウ編集部)
黒いパーカー姿で使徒宮殿へ
85歳のボブ・ディランが訪れたのは、教皇の執務などに使われる使徒宮殿。黒いパーカーのフードをかぶった姿で教皇と握手を交わし、向かい合って腰を下ろした。
バチカン・ニュースは、面会は短時間で、あいさつや和やかな会話が中心だったと伝えている。教皇はロザリオを、ディランは2004年に出版した自伝『Chronicles: Volume One』をそれぞれ手渡した。米America誌によると、自伝にはディランのサインが入っていたという。この自伝は、日本でも『ボブ・ディラン自伝』という題名で翻訳版が出版されている。
同席した教皇庁文化教育省の次官アントニオ・スパダーロ神父は、Facebookに「歴史的な出会いに立ち会い、胸が熱くならずにはいられませんでした」とつづった。
教皇が著書で引用した、幻の反核ソング
今回の面会に先立ち、教皇は今年7月に出版した平和をテーマとする著書で、ディランの楽曲を引用していた。再軍備や核兵器の危険性を訴える序文に、ディランが1963年に書いた「Go Away You Bomb」の一節が引用されていたのだ。
この曲は正式に録音されたことがなく、アルバムにも収録されていない。ニューヨークのグリニッジ・ヴィレッジでフォーク音楽の拠点となる施設を運営していたイジー・ヤングが、知人のディランに核爆弾を題材にした曲を依頼したところ、翌日には歌詞を持ってきたという。タイプ打ちされた歌詞に手書きの修正が加えられた原稿は、2013年にクリスティーズのオークションに出品され、初めて公になった。教皇が引用したのは、人間が作り、所有し、振りかざす爆弾への怒りを表現した一節だった。
前回の教皇との対面は1997年
ディランがローマ教皇と対面するのは、今回が初めてではない。1997年には、イタリアのボローニャで開催されたカトリックの大会で、ヨハネ・パウロ2世と約30万人の若者を前に、「天国への扉」など3曲を披露した。演奏後にはカウボーイハットを脱いで壇上に上がり、教皇と握手を交わしている。この際、教皇は「風に吹かれて」の歌詞に登場する問いかけに答える形で、人間が進むべき道はただ1本だと説いた。
シカゴ出身のレオ14世は、音楽家との交流も重ねている。今年6月にはスペインでバッド・バニーと面会し、夏には同じくシカゴ出身のパティ・スミスも招いた。
ディランは現在、「Rough and Rowdy Ways」ツアーを続けており、ミラノやボローニャなどを訪れている。



















