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カンヌ出品作が日本公開へ──パリの象徴「新凱旋門」誕生の裏で、建築家は何を失ったのか

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BY FRONTROW Press
カンヌ出品作が日本公開へ──パリの象徴「新凱旋門」誕生の裏で、建築家は何を失ったのか

第78回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門に出品された映画『The Great Arch』が、邦題『新凱旋門物語』として日本公開される。7月17日よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館、アップリンク吉祥寺ほか全国順次公開。パリの街並みに刻まれた巨大建築の裏側を描く本作は、建築映画でありながら、ひとりの人間の信念が削られていく過程を追った濃密なドラマでもある。

舞台となるのは、エッフェル塔や凱旋門に次ぐパリの新たな象徴として知られる「新凱旋門(グランダルシュ)」。ルーヴル美術館のガラスのピラミッドから一直線に伸びる“パリの歴史軸”の終点に立つ、白く巨大なキューブ建築だ。その完成日は1989年7月14日、フランス革命200周年という国家的祝祭の日であり、同じ夜、映画『ポンヌフの恋人』の花火がパリの空を彩った。だが、その祝祭の陰で、ひとりの建築家の運命は大きく揺さぶられていた。

国際設計コンペで無名ながら大抜擢されたデンマーク人建築家スプレッケルセン。国家プロジェクトの中心に立った彼を待っていたのは、名誉だけではなかった。理想を形にしようとすればするほど、工期、予算、政治的圧力が立ちはだかる。芸術か妥協か、その選択は次第に彼の人生そのものを侵食していく。

主演は『ザ・スクエア 思いやりの聖域』で注目を浴びたクレス・バング。理想に取り憑かれた建築家の狂気と純粋さを体現する。実務を担う協同建築家役に『落下の解剖学』のスワン・アルロー、官僚役としてグザヴィエ・ドランが脇を固め、三者の緊張感ある対峙が物語を一気に引き締める。

さらに、日本を代表する建築家・伊東豊雄氏からも推薦コメントが寄せられた。国家と芸術、政治と理想の衝突を真正面から描いた本作は、建築史の一幕であると同時に、創作に関わるすべての人間に突き刺さる問いを投げかける。パリの象徴は、何を犠牲にして生まれたのか。その答えが、スクリーンに刻まれる。

『新凱旋門物語』 

【STORY】                                                                                                                                                  

1983年、パリ。ミッテラン大統領はフランス革命200周年を祝う新モニュメントの建設を構想していた。国際設計コンペで選ばれたのは、無名のデンマーク人建築家ヨハン・オットー・フォン・スプレッケルセン。

イタリア・カッラーラ産の大理石によるキューブ状のアーチと、そのふもとに雲のような屋根が浮かぶ大胆なプランは、大統領の心を射止め、彼を一夜にして時の人にした。

しかし、完璧を追い求める彼の前には、予算や政治的圧力、周囲の思惑が立ちはだかる。理想を貫くか、現実に折り合いをつけるか。巨大プロジェクトの渦中で、一人の建築家が下す“ある決断”とは――。

監督・脚本:ステファン・ドゥムースティエ  出演:クレス・バング、スワン・アルロー、グザヴィエ・ドラン 原作:「新凱旋門物語 ラ・グランダルシュ」 ロランス・コセ著 北代美和子訳(草思社)

2025/フランス・デンマーク/フランス語・英語・デンマーク語・イタリア語/106分/1.37:1/5.1ch 原題:L’Inconnu de la Grande Arche 英題:The Great Arch 字幕:齋藤敦子

後援:在日フランス大使館、アンスティチュ・フランセ、デンマーク王国大使館 協力:ユニフランス 配給:ミモザフィルムズ ©2025 AGAT FILMS, LE PACTE 

【公式サイト】https://mimosafilms.com/thegreatarch/

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