「別の結末を願っていた」ゼンデイヤ…『ユーフォリア』ルーの最期とは


以前フロントロウでもお伝えしたとおり、HBOの人気ドラマ『ユーフォリア/EUPHORIA』シーズン3の最終回(93分)が米時間6月1日に放送された。主人公ルー・ベネット(演:ゼンデイヤ)がフェンタニル混入の薬物で命を落とすという衝撃の結末に、主演俳優が「別の未来を願っていた」ことが明かされている。(フロントロウ編集部)
衝撃の最終回――現実と作品が重なるシーン
最終回「In God We Trust(我々は神を信じる)」で、ルーはフェンタニルが混入されたパーコセット錠剤を服用して死亡した。薬を用意したのは犯罪組織のボス・アラモ・ブラウン(演:アドウェール・アキノエ=アグバエ)。彼が意図的に置いた薬を、ルーは気づかずに手に取った。
死の直前、ルーは幻覚の中でかつての親友フェズコと緑の野原で再会する場面が描かれ、「作中でもっとも美しい場面だった」とSNSで語られた。フェズコを演じたアンガス・クラウドは2023年7月に25歳で他界している。現実と作中がリンクするそのシーンに、多くの視聴者は涙した。
一方で「依存症に苦しむ視聴者への配慮が欠けている」という批判も即座に広がり、最終回への反応はファンの間で真っ二つに割れた。米Varietyは最終回を「冗長だ」と批評し、シリーズは最後まで議論を呼ぶ作品となった。
ゼンデイヤが求め続けた「希望の物語」
じつは、主演のゼンデイヤはずっと異なる結末を思い描いていたという。米Hollywood Reporterなどの報道によれば、ゼンデイヤはルーというキャラクターに「依存症を抱える人々が回復できる、希望の物語」を込めることを望んでいた。薬物依存と闘いながら立ち直っていくルーの姿が、同じ苦しみを抱える視聴者にとって希望の光になると信じていたとされる。
しかし、制作者のサム・レヴィンソンはまったく異なる判断を下した。「ルーのような人間は生き延びられない——それが正直な結末だと感じた」と米Deadlineのインタビューで語り、「今の時代、依存症の物語を語るなら、現実に起きている結果から目を背けることはできない」とも述べている。主演俳優の意向よりも、リアリズムを優先した形だ。

故アンガス・クラウドへ捧げた「祈り」
レヴィンソンがルーの死を選んだ背景には、故アンガス・クラウドへの追悼という理由もあった。アンガスは2023年7月、薬物の過剰摂取で25歳の若さで亡くなっており、彼が演じたフェズコは『ユーフォリア/EUPHORIA』を象徴するキャラクターのひとりだ。
レヴィンソンは「この最終回は、アンガスを称え、未来への祈りを込めたものだ」と語った。ルーの死はフィクション上の選択であると同時に、現実に薬物で命を落としたアンガスへのオマージュとして描かれている。ルーが幻覚の中でフェズコと再会するラストシーンは、そのメッセージをより深く刻み込むための演出だったと言える。
賛否が渦巻くなか、ゼンデイヤは放送後に自身のSNSで静かに感謝のメッセージを綴った。彼女が願い続けた「もうひとつの結末」が描かれることはなかった。しかし米Rolling Stoneに寄せられたあるファンのコメントには「ゼンデイヤ史上最高のテレビドラマでの演技だった」とあり、役者としての彼女のパフォーマンスは最後まで輝いていた、と言えるかもしれない。












