今年6月、日本代表戦のスタジアムに流れた1曲でダウンロード数が跳ね上がったボン・ジョヴィの「Livin’ on a Prayer(リヴィン・オン・ア・プレイヤー)」。あの再ブレイクから3カ月足らずで、同曲は今度は大会そのものの顔になった。9月16日から始まる『アジア大会 愛知・名古屋』のイメージソングに起用されている。(フロントロウ編集部)
6月のピッチで起きたこと
きっかけは偶然だった。6月21日のワールドカップ、日本対チュニジア戦。ハイドレーションブレイクのあいだにスタジアムで「Livin’ on a Prayer」が流れると、日本でのダウンロード数が動き始めた。
決定打は5日後だ。6月26日の日本対スウェーデン戦では、選手たちがピッチへ戻っていく場面で同曲が大音量で鳴り、その様子がそのままテレビ中継に乗った。この日のダウンロード数は前週金曜日比で1,325%。iTunes Storeの総合TOP100に入り、最高90位まで駆け上がった。1986年の曲が、2026年のチャートで動いたことになる。
そして9月16日、TBS系列で『アジア大会 愛知・名古屋』の生中継が始まる。日本での開催は32年ぶり。初日は夜7時、サッカー男子から放送され、大会は10月4日まで続く。TBSスポーツの公式YouTubeで公開されている告知映像でも、すでに同曲を聴くことができる。
なぜ40年前の曲が、いまスタジアムで機能するのか
「Livin’ on a Prayer」が世に出たのは1986年8月。3rdアルバム『Slippery When Wet(ワイルド・イン・ザ・ストリーツ)』に収録され、同年秋にシングルとして切られた。書いたのはジョン・ボン・ジョヴィ、リッチー・サンボラ、そして外部ソングライターのデズモンド・チャイルド。全米Billboard Hot 100で1位を獲得している。

歌われているのは、ヒーローでも勝者でもない。港で働くトミーと、ダイナーで働くジーナ。組合はストライキ中で給料は入らず、それでも「まだ道の半分だ」と手を取り合う若いカップルの話だ。生活が苦しいという前提から始まる曲が、40年後にスポーツの現場で機能しているのは、この歌が最初から「勝った人のための曲」ではなかったからだろう。
トークボックスで加工されたイントロが鳴った瞬間に曲名がわかり、サビでは数万人が同じフレーズを歌える。スタジアムという場所の要求に、この曲は構造からして応えてしまう。
声を取り戻した年に、重なったこと
起用が重なった2026年は、バンドにとっても節目の年だった。ジョン・ボン・ジョヴィは2022年に声帯の手術を受け、長いリハビリを経て、今年7月にようやく本格的なツアーへ復帰している。
ニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデンから始まった「Forever Tour」は、エディンバラ、ダブリンを回り、9月9日のロンドン・ウェンブリー・スタジアムで幕を閉じた。その最終公演でジョンは、まだ終わっていないと観客に語り、2027年のツアーをブッキング中であることを明かしている。
声を失いかけた男が戻ってきた年に、彼が20代で書いた曲が日本のスタジアムで鳴り続けている。『アジア大会 愛知・名古屋』は9月16日から10月4日まで、TBS系列で独占生放送される。



















