カミングアウトすることで「道を切り開きたかった」
6月のプライド月間の最終日に「同性愛者」であることを公表したラッパーのリル・ナズ・X(Lil Nas X)が、カントリー&ラップソング「オールド・タウン・ロード(Old Town Road)」がアメリカで空前の大ヒットを記録し、まさに人気絶頂のさなかともいえるこのタイミングでカミングアウトに踏み切った理由を英TV番組『BBC Breakfast』で打ち明けた。
「自分のやりたいことをやってここまで来たし、この先、自分の意志に背くような人生を歩むようなことはしたくなかった。それから、(カミングアウトすることで)より多くの人のために道を切り開いてあげたかった」
カミングアウトしたのは自分自身のためでもあるが、自分と同じような境遇にあるほかの人たちのためでもあると告白。さらに、一部の人たちから批判や差別的なコメントが届いていることについては、「自分もSNSで否定的なことを言っていた時期がある」としたうえで、相手の気持ちもわかるからこそ怒るようなことはせず、「(返信は)冗談で返すようにしてる」と明かした。
黒人社会ではいまだにLGBTQ+の人たちへの差別が根強く残っており、ヒップホップ界はショービズ界のなかでもLGBTQ+への風当たりが強く厳しい世界だと言われている。
近年、LGBTQ+コミュニティーへの理解を求める動きが活発化している影響もあり、状況は変わりつつあるものの、“黒人”でなおかつ“ラッパー”のリル・ナズ・Xが、自身のキャリアにおいて「まさにこれからが勝負」というこのタイミングでカミングアウトしたことは、キャリアのうえではリスクが高いが、社会全体で見ると今後につながる“希望の光”といえる。(フロントロウ編集部)