ランジェリーブランドのヴィクトリアズ・シークレットへ、モデルたちが安全な労働環境を求めて公開書簡を送った。(フロントロウ編集部)

公開文書の内容とは?

 その舞台に立てば、トップモデルとしての活躍が保証されると言っても過言ではないほど、業界を牽引していることでも知られる人気ランジェリーブランドのヴィクトリアズ・シークレット

画像1: 公開文書の内容とは?

 そんなブランドにファッション業界における安全な労働環境を求めるため、100人以上のモデルたちが連盟で同ブランドのCEOジョン・ミハスへ公開文書を送った。モデルの労働環境改善などを目指す非営利団体のモデル・アライアンス(MODEL ALLIANCE)と協力して公開されたこの手紙には、ヴィクシー・エンジェルとして活躍したドウツェン・クロースやモデルのクリスティ・ターリントン、ミラ・ジョヴォヴィッチなどが署名しており、こう綴られている。

画像: ドウツェン・クロース

ドウツェン・クロース

「私たちがこうして手紙を送るのは、ヴィクトリアズ・シークレットと仕事をしたいと願うモデルや若い女性たちの安全とより良い環境への懸念を表明するためです。この数週間、私たちはモデルやモデル志望の女性たちに対する性的暴行、レイプ、性行為のための人身売買に関する疑惑をたくさん耳にしてきました。これらの疑惑とヴィクトリアズ・シークレットに直接的な関係はないかもしれませんが、あなたの企業がこの状況を改善するのに大きな役割を担っていることは明らかです」

 ヴィクトリアズ・シークレットへ業界の環境改善に協力するよう語りかけるこの手紙では、ブランドの親会社エルブランドのCEOレスリー・ウェクスナーの親しい友人の実業家ジェフリー・エプスタインが、未成年の女性たちに対して性的暴行や買春行為をしていたことに言及。

 さらにブランドと仕事をしたことがあるフォトグラファー、ティミール・エミック、デビッド・ベルメール、グレッグ・カデルが、モデルたちにとった不適切な行動が報じられたことを受け、「彼らがヴィクトリアズ・シークレットと仕事をしたことを利用し、弱い立場の少女たちを誘い、不当に扱っていたことに大変動揺しています」と書かれている。

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「この業界で今まで容認されすぎてきた、こうした不当な扱いを経験した私たちの多くにとって、これらの報道を耳にするのは、とても生々しく胸をえぐられる思いです。私たちは、報復や自分たちのキャリアに傷をつけられることを恐れずに声を上げ、自身の体験を語る勇気ある女性たちと共にあります。このような物語を耳にし続けるのは心が痛みます。私たちは、これを変えることができます。変えなくてはなりません。RESPECT(※)のときです」
※非営利団体モデルアライアンスのプログラムで、「モデルたちによるモデルたちのための唯一のセクハラ対策プログラム」のこと

「私たちはヴィクトリアズ・シークレットに対して、その才能やブランドと仕事がしたいと願う人たちを守るために、意味ある行動を取るように求めます。ヴィクトリアズ・シークレットはリーダーになり、この業界に今すぐ必要な変化をもたらす権限や影響力を発揮するチャンスを持っています。日々、ファッションブランドや出版社、そしてモデル事務所は、ファッションにおいて、何が受け入れられ、何が受け入れられないか基準を決めています。もしヴィクトリアズ・シークレットがこれらの不当な扱いに反対の姿勢を見せ、RESPECTに参加して意味ある変化を起こすことに協力したのなら、それは私たちの業界が前に進むための新しい道を切り開く大きな役割を果たすことになるでしょう。ヴィクトリアズ・シークレットへ、あなたが変化をもたらすことができるのです」

 影響力をもつヴィクトリアズ・シークレットに対して、労働環境の改善やモデルの安全保証を率先して欲しいと訴えるこの書簡が公開される前には、「トランスセクシュアルのモデルやプラスサイズのモデルは起用しない」と、多様性を拒否する発言をして批判を浴びていたブランドのマーケティング担当エド・ラゼックが辞任を発表。さらに女性の「美=セクシー、華奢」というイメージを植えつける原因のひとつとも言われてきたファッションショーの中止がウワサされ、ブランド史上初トランスジェンダーのモデルが起用されるなど、徐々に生まれ変わりの姿勢を見せているヴィクトリアズ・シークレット。

画像: エド・ラゼック(左)

エド・ラゼック(左)

 ブランド自体だけでなく、そのモデルたちも大きな影響力をもつ同ブランドが今後、どのように業界に変化を生み出していくのか。これからの動きに注目したい。(フロントロウ編集部)

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