300人が集団レッスン
イギリス王室のジョージ王子がバレエのレッスンを受けることを嘲笑した米女性キャスターの言動が大炎上した件を受け、有名男性ダンサーたちがニューヨークを拠点に活動するダンサーたちに声をかけ、集団ダンスレッスンを開催した。
現地時間の月曜朝、タイムズスクエアに集まったのは、男性が踊りを愛することの自由を支持し、偏見をなくそうと訴える総勢300名を超える男女ダンサーたち。
参加者の中には、「Boys Dance Too! (男の子たちだってダンスをする!)」、「Male Dancer(男性ダンサー)」といったプラカードを用意してきた人や、ジョージ王子が6歳でダンスを習い始めたという情報にならって「I wish I started at 6! (僕も6歳から始められればよかった!)」というメッセージを書いたカードを持参した人も。
ダンスへの愛と情熱を込めて優雅に舞う彼らの姿に、街ゆく人々は興味深そうに見入っていた。
女性キャスターが再び謝罪
ジョージ王子に関する不適切な言動が非難を浴びた米情報番組『グッドモーニング・アメリカ』のキャスター、ララ・スペンサーは、タイムズスクエアでの集団バレエレッスンを主導した男性ダンサーたちを同番組に招いてインタビューを敢行。
映画『キャッツ』にも出演する元ニューヨーク・シティ・バレエ団のプリンシパル、ロビー・フェアチャイルドや人気ダンスオーディション番組『アメリカン・ダンスアイドル』で活躍する振り付け師のトラヴィス・ウォールといった一流ダンサーたちから、ダンスを愛する幼い男の子たちが直面しがちな苦悩や世間からの偏見にまつわる話を聞いたララは、番組内で「私はとんでもない間違いを犯しました。私がしてしまったダンスにまつわるコメントは、無神経で浅はかでした。心からお詫びします。ダンス・コミュニティに属する人々の話を聞き、幼い男の子たちがダンサーを夢見るということが、どれだけ勇敢なことかを学びました」と真摯にコメントし、改めて謝罪した。
「トキシック・マスキュリニティ」
今回、ララの言動が炎上した背景には、昨今海外で問題視されている「トキシック・マスキュリニティ(Toxic Masculinity/有害な男らしさ)」への反発が大きく影響している。
「トキシック・マスキュリニティ」とは、男性の外見や性質について偏った規範を設定し、規範に沿わない行動や思想を罵ったり、嘲笑したりして排斥することや、またはその概念のことを言う。
男性やまだ幼い男の子に対して、「男はつねに強くあれ」、「男たるもの涙は見せるな」、「女々しいことはするな」と、古くから残る“男らしさ”の既成概念を押しつけることは、多様性が重要視される今の時代の流れに合っていないばかりか、社会が抱える様々な問題の元凶となっているのではないかとも指摘されている。
そのため、ララのように「男の子がバレエを習う=男らしくない」と決めつけ、嘲笑うような風潮はなくすべきだと多くの人々が声を上げた。
ちなみに、ジョージ王子の叔父であるヘンリー王子は、以前から何度も公の場で「トキシック・マスキュリニティ」から派生する男性たちのメンタルヘルス問題に懸念を示しており、「真の強さや男らしさというものには、必要なときに誰かに助けを求めることができるかどうかということも含まれます。一人で静かに苦しむ必要はないのです」と、鬱や不安に苦しむ男性たちにエールやアドバイスを送っている。 (フロントロウ編集部)
※誤解を招く表現があったため、この記事は一部内容を修正しました。