スパイダーマン騒動を収めたのは…
2019年8月、MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)を制作するマーベル・スタジオとその親会社にあたるウォルト・ディズニーが、「スパイダーマン映画」をめぐり、ソニー・ピクチャーズに対して新たな契約を交渉したことで、両社が契約を解消しそうになるまで大きく発展した一連の騒動。
マーベルコミック『スパイダーマン』を映像化する権利を持つソニー・ピクチャーズが、ディズニーが要求する新たな契約内容に同意しなかったことで、トム・ホランド演じるスパイダーマンがMCUから除外されることや、MCUの『スパイダーマン』シリーズをプロデュースしてきたマーベル・スタジオのケヴィン・ファイギ社長がプロデューサーから退くことがほぼ確定となり、MCUファンの間では今後の『スパイダーマン』がMCUとはまったく別物の作品として描かれることを懸念して、抗議の声が殺到した。
熱狂的なファンの声が募ったこともあり、9月末にトム演じるスパイダーマンのMCU残留が決定し、ソニー・ピクチャーズがマーベル・スタジオと共同でスパイダーマン映画のシリーズ第3作目の制作をすること、そしてスパイダーマンがMCU映画に最低でも1作品出演できることが発表された。
ファイギ社長も再び映画に携わることになるMCUの『スパイダーマン』第3弾は、2021年7月16日に全米公開される予定。
一時は、スパイダーマンがMCUからいなくなることが確実視されていたなかで、状況が一変したことについて、なんとトムが自ら、両社のトップに呼びかけたことが大きな転機につながったと米The Hollywood Reporter(以下、THR)が伝えている。
トムが自ら直談判
トムは、8月末からディズニーのチェアマン/CEOであるボブ・アイガーと、ソニー・ピクチャーズのチェアマンであるトム・ロスマンに声がけを開始し、契約を見直すよう何度も直談判したという。
ソニー・ピクチャーズにとってトムは、『スパイダーマン』シリーズのほかに、同社配給のタイトル未定の新作映画に主演することが決まっていることから、THRはトムにはロスマン会長に自分の意見を聞いてもらうだけの権力があるという見解を示している。
また、エンタメ業界で最も影響力のある人物といっても過言ではないディズニーのアイガー会長にも自ら歩み寄ったトムの行動によって、それからわずか1ヵ月足らずでディズニーとソニーの新たな契約が結ばれた。
世間を揺るがせたスパイダーマン映画をめぐる騒動は、トムの積極的な呼びかけによって、スパイダーマンがMCUにひとまずは残留するという多くのファンが望む形で終結。
2つの大企業の架け橋となったトムの計らいは、まさにリアル・ヒーローのよう。(フロントロウ編集部)