過去の楽曲をパフォーマンスできない?
テイラー・スウィフトが、7月の前所属レーベル、ビッグマシン・レコーズの買収により、彼女が制作した過去の楽曲の原盤権を手にすることとなった音楽マネージャーのスクーター・ブラウンとビッグマシン・レコーズのCEOであるスコット・ボーチェッタから、自身の旧作をライブで歌うことを妨害されていると告発した件について、アーティスト仲間や彼女と親しいセレブたちが次々に憤りのコメントを発表している。
テイラーは、インスタグラムを通じて発表した長文声明で、11月24日に開催されるアメリカン・ミュージック・アワードの授賞式で「アーティスト・オブ・ザ・ディケイド(過去10年で最も輝かしい功績を残したアーティスト)」と呼ばれる特別賞を受賞することとなったことを明かし、それに合わせて、過去のヒット曲のメドレーを計画していたものの、スクーターとスコットから原盤権に関する契約を盾に、それを阻止されたことを告白。
さらに、ネットフリックスで配信予定のドキュメンタリー番組に関しても、旧楽曲やパフォーマンス映像の使用が許可されなかったことや、過去作の使用を許可する交換条件として、テイラーが今後予定している過去の楽曲の再レコーディングを中止し、今後一切、この話題に言及しないことを要求されたことも明かした。
セレブ仲間がテイラーを擁護
ファンに向けて、「こんなの間違っています」、「今、私はみんなの助けが欲しい」、「もう為す術がありません」と悲痛な心情をさらけ出したテイラーの訴えに、以前から楽曲の「原盤権は作り手が保有するべき」主張してきた彼女に賛同するアーティスト仲間や、彼女の置かれた不利な状況に同情を示すセレブたちが口々に意見を述べている。
シンガーのホールジーは「こんなのただの意地悪。彼らはテイラーを罰しようとしている。(中略)人々が彼女のために立ち上がることはないと見込み、世間は彼女がただ大袈裟に騒ぎ立てているだけと見なすだろうと高を括っている」と怒りを露わに。
モデルのジジ・ハディッドは「スコット&スクーターへ。正しい対処の仕方は何か、もう解ってるでしょ。テイラーと彼女のファンたちには、音楽を称賛する権利がある!」と、テイラーと敵対するスクーターとスコットを名指しした。
さらに、テイラーと深い親交があるわけではないものの、同じシンガーソングライターとして彼女の気持ちに理解を示したイギリス人シンガーのリリー・アレンは、「テイラーの意見に賛同するわ。なんて酷いの。音楽界にはまだ『#MeToo』の波は訪れないのかって、みんな不思議に思ってるよね? 」とコメントしたほか、DCドラマ『バットウーマン』の女優のルビー・ローズも「これは許されないね…」と権力を振りかざしたスクーターとスコットを言葉少なに批判した。
親友のセレーナ・ゴメスが長文投稿で感情爆発
テイラーを襲った危機的状況に、13年来の親友であるセレーナ・ゴメスも、憤りを露わに。
インスタグラムストーリーに、まだブレイク前だったテイラーとの思い出話なども交えた長文のメッセージを投稿して、テイラーの訴えを100%支持する意向を示した。
以下、セレーナのコメントの全文訳。
「私の心は今すごく重い。気分が悪いし、すごく腹が立ってる。コメントすることで、もし、報復にあったって私は構わない。これが私の意見よ。
彼らは、強欲で、言葉巧みで、権力を振りかざしている。心無さすぎる。私の友だちが14歳の頃に寝室で書き始めた言葉の数々に対して、何のリスペクトもない。彼らは、私たちの世代で最も優秀なソングライターから、ファンたちと一緒に自分が作った音楽を祝福するチャンスを無理やり奪い取って粉々にしたのよ。
私とテイラーは13年来の仲。彼女は、私が知る中で最もひたむきで、勇敢で、どんな障害にも屈服しない強い意気を持った強い女性よ。そんな彼女を“ビッチ”と呼ぶ人もいるけど、私が言いたいのは、テイラーは、真のアイデンティティと強さを持ち、曲がったことは許さない女性だということ。
彼女がデビューアルバムの『フィアレス』を発売前に聴かせてくれたとき、私たちは嬉しくて、ベッドの上で飛び跳ねたわ。あの時のテイラーは輝いていた。彼女は、自分がつけてきた日記が、ついに世界中の人たちに読んでもらえることを誇らしく感じていた。それと同時に、みんなに気に入ってもらえなかったら…と不安も抱えていたけど。
結局、『フィアレス』は、最も素晴らしい作品の1つになった。あのアルバムは、孤独を感じていたり、失恋に胸を痛めていたり、痛手から立ち直ろうとしていたたくさんの若い女性たちを救ったわ。彼女たちはそれまで、自分たちは世間から無視されていると感じていた。テイラーは、そんな1人ではどうしていいかわからなかった女性たちに、楽曲を通じて、声を与え、もう一度、夢を信じさせてくれた。
私はテイラーが、自分だけの美しい人生を創り出すために、ずっと自分にチャレンジを課し続ける姿を目の当たりにしてきた。だからこそ、テイラーが最も大切にしているのは、家族と愛とファンと自分が作った音楽だって、確証を持って言える。
彼女を取り巻く残念な状況に変化が訪れることを、心から望むわ。自分の親友が(もちろんほかの友だちもだけど)、ことあるごとに足を引っ張られるのを見るのは、最悪な気持ち。でも、テイラーは戦うわ。彼女は絶対に戦うことをやめない。人は選択することで成長する。なかには、ずっと変わらない人もいるけどね。私はただ、彼らが心変わりすることを望んでるわ。愛してる。
テイラーがレーベル移籍後に発表した最新アルバム『ラヴァー』以前の楽曲をパフォーマンスできなくなることは、彼女が作った過去の楽曲の数々にに心を動かされ、励まされてきたファンたちにとっても大問題だと指摘したセレーナ。
その後、ビッグマシン・レコーズ側は、「テイラーの主張は事実ではない情報に基づくもの」という主旨の声明を発表したが、テイラー側はこれを否定し、両者が真っ向からぶつかり合う状況が続いている。
ツイッター上では、テイラーが直面している不条理への抗議を訴え、彼女に楽曲使用の自由を与えるべきだと唱える人々の間で「#IStandWithTaylor(私はテイラーを支持する)」「#FreeTaylor(テイラーを解放して)」などのハッシュタグを添えた投稿が溢れかえっている。(フロントロウ編集部)