アルマーニ、モデルにヌードを強要するな
高級ファッションブランドであるジョルジオ・アルマーニ(GIORGIO ARMANI)の創設者でデザイナーのジョルジオ・アルマーニが、モデル業界で一見“プロフェッショナル”に行なわれている露出度の多い恰好での撮影について、ミラノ・ファッションウィークの後、米WWDに口を開いた。
「昨今では、女性のレイプ被害が多く語られるようになったけれど、女性はデザイナーたちによって日々レイプされていますよ。私は、いくつかの広告について話しています。女性が半裸で、挑発的に描かれているものです。多くの女性たちは、そのようにならなくてはいけないというプレッシャーを感じています。それは、私に言わせればレイプです。不適切です」
“レイプ”という強い言葉を使用して、モデルおよびアパレル業界の在り方を批判したアルマーニ氏。プロフェッショナルな場でのヌードの強要は、過去にも多くの女性が声を上げている。
アートは何をしても良いわけではない
90年代を代表するファッションモデルとして、今なお多くのモデルの憧れであるケイト・モス。彼女が16歳で撮影したヌード写真はその美しさから世界に衝撃を与えたけれど、ケイトはたびたび、当時の撮影での不快感を明かしている。2012年には米Vanity Fairに、当時は撮影の前にトイレに行って泣いたと話し、2018年には対談インタビューで、娘が自分がヌードになった頃と同じ年齢になったけれど、絶対にヌードはさせないと話した。
当時ケイトが頻繁にともに仕事をしていたフォトグラファー、コリン・デイが撮影したケイト。
また、キム・カーダシアンなど、多くのセレブを担当してきたフォトグラファーのマーカス・ハイド(Marcus Hyde)が、無名モデルたちにヌード写真を強要していた事件では、声を上げた女性が「業界ではそれが普通なんだと自分に言い聞かせて我慢した」と、アルマーニ氏の言うようなプレッシャーがあったことを明かしている。
映像の分野でもヌードを強要されたと明かしている女性は多く、ドラマ『ワン・トゥリー・ヒル』のソフィア・ブッシュは、不必要なヌードを強要された過去を告白。また、作中で女性のヌードが性的に消化されていることについて、「(ドラマを見ている)16歳の少女たちに、こんな行動や、こんな方法で評価されようとすることを教えるべきじゃない」と主張し、上層部と闘い続けたことも明かした。
その他にも、ドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』のエミリア・クラークは、自分が求める方法でのヌード撮影が拒否されたり、自分のヌードシーンに男性からの不適切なコメントが多く投稿されていたりしたことに、たびたび不快感を表している。
アートだから、作品に必要だから、といった理由で、女性が性的に搾取されてきた一面があるモデル業界や俳優業界。しかし人々が団結して声をあげ始め、早急に倫理的な変化が求められている。(フロントロウ編集部)