SF映画の大作『ターミネーター』
1984年に公開されたジェームズ・キャメロン監督の映画『ターミネーター』は、未来で繰り広げられる人類と機械との果てしない闘いを描いたSF大作。アーノルド・シュワルツェネッガーが「ターミネーター」と呼ばれるアンドロイドの“T-800”を演じ、爆発的な人気となった。
2019年には1991年に公開された『ターミネーター2』の続編『ターミネーター:ニュー・フェイト』が公開され、再び注目の的に。
ジェームズ・キャメロンが1ドルで『ターミネーター』脚本権利を売った理由
ジェームズは『ターミネーター』の他にも『タイタニック』や『アバター』など、様々な名作を生み出してきたことで知られている。しかし、『ターミネーター』を制作したころはまだ無名で、経済的にギリギリの生活を送っていたそう。
彼が『ターミネーター』の監督となるまでに監督した作品は、自主制作の映画と『殺人魚フライングキラー』というホラー映画の2本のみ。当時様々な挫折を味わいほとんど文無しの状態になった彼は、ある日「ガイコツのロボット」を夢に見て、そこからインスピレーションを得たことにより『ターミネーター』の脚本に着手したという。
その後納得のいく作品が書き上がり、ジェームズは脚本を持ってプロデューサーの元へ。それを映画化するにあたってジェームズが要求したのは「自分が監督を務めること」だった。
プロデューサーはその脚本を気に入ってはいたものの、映画スタジオにとって無名のジェームズを監督にするという判断は、危ない橋を渡るようなものだった。結局、ジェームズはその脚本の権利をタダ同然の1ドルで売り渡し、やっとのことで監督の座をモノにした。
ちなみに、その時ジェームズが脚本の権利を売ったのは、のちに妻となるゲイル・アン・ハード。2人は1985年に結婚したが、1989年には離婚している。
ジェームズ・キャメロン、売り渡したことを後悔
『ターミネーター』は、約7億400万円(640万ドル)という低予算で制作されたにもかかわらず、約86億円(7,840万ドル)以上の興行収入をあげる大ヒットを記録。その後続編『ターミネーター2』が1991年に公開された。しかし、『ターミネーター3』『ターミネーター4』『ターミネーター:新起動/ジェニシス』と公開されたにもかかわらず、クレジットにはジェームズの名前がない。
これは、『ターミネーター』で脚本の権利を売ってしまったことが関係していたのだった。ジェームズは、その時の判断を今でも悔やんでいるそうで、「売却しなければよかったのに」と米Toronto Sunに明かした。さらに、「もし小さいタイムマシンがあって、ツイートぐらいの長さの文章を送れるんだったら、『売るな』と送りたいよ」と、相当後悔の念が強い様子。
しかし2019年に、米著作権法により『ターミネーター』の権利はジェームズのところへ戻ってきた。彼は2019年に『ターミネーター:ニュー・フェイト』が公開された際、米Colliderの取材で3部作の構想があることを明らかにしていたため、今後『ターミネーター』シリーズの新作が制作される可能性は大いに考えられる。(フロントロウ編集部)