アメリカの大物ジョン・ルイス議員が、Black Lives Matter/ブラック・ライヴズ・マターは「良いトラブル」だと話した。彼が長年呼びかけ続けていることが、深い。(フロントロウ編集部)

黒人差別の歴史の生き証人であるルイス議員

 アメリカの伝説的存在ジョン・ルイス議員は、1940年生まれの80歳。1950年代から60年代にかけてキング牧師やマルコム・Xなどが率いた黒人の人権を求める公民権運動に参加しており、歴史の生き証人となっている。

 そんなルイス議員が、CBSの『ThisMorning』に出演し、現在世界中で多くの人が賛同するBlack Lives Matter/ブラック・ライヴズ・マター(黒人の命にも価値がある)ムーブメントについて口を開いた。

画像: 黒人差別の歴史の生き証人であるルイス議員

Black Lives Matterは「良いトラブル」

 Black Lives Matter/ブラック・ライヴズ・マターは、2012年に起こった、自警団ボランティアによる非武装の黒人高校生の射殺事件をきっかけに起こったもの。その後も黒人の命が白人警官によって奪われ続けており、2020年もすでに複数名の命が奪われている。とくに5月にジョージ・フロイドが、白人警官に膝で首を押さえつけられ死亡した事件をきっかけに、黒人の命すらも軽く扱う社会に怒れる市民の声が爆発。黒人コミュニティが存在する世界各国で抗議デモが開催されている。

 公民権運動という歴史的な時代も通り抜けてきたルイス議員にとって、人種に関係なく多くの人が黒人差別に対して声を上げているBlack Lives Matterを見ることは、非常に心を動かされることだという。

「非常に感動しました。アメリカ中で、そして世界中で、あれほどまでに多くの人が道へ出て、声をあげ、主張し、私が言うところの“良いトラブル”に巻き込まれたんですから」

画像: Black Lives Matterは「良いトラブル」

トラブルは悪いことではない

 フロイド氏の事件が起きた際には、あと何人の黒人が殺されなければいけないのかと考え、泣いたというルイス議員。しかし、“良いトラブル”が起こっている世界には希望も感じたと明かした。

 ルイス議員が言った「良いトラブル」というフレーズは、彼がたびたび使用しているもの。議員は公演やテレビ出演、インタビューで、たびたびこのように話している。

「声をあげなさい。トラブルに巻き込まれなさい。良いトラブル、必要なトラブルに」

 差別を受けている人が声をあげると、差別主義者や、彼らを擁護する人々が被害者を誹謗中傷することは少なくない。とくに、もっと穏やかに主張すべき、言い方を考えるべきと、その内容ではなく伝え方を非難することは、トーン・ポリシング(Tone Policing)といって、差別を受けている人を黙らせる行為のひとつ。

 しかし、差別をしている人と差別を受けている人では、すでに関係のパワーバランスが不均衡。さらに、社会に存在するどの差別も今に始まったことではなく、これまでも多くの人が声をあげてきているにもかかわらず、社会は充分には変わってこなかった。そんな歴史を自分の目で見てきたルイス議員は、必要なトラブルに巻き込まれることを恐れずに、声をあげていくよう呼びかけ続けている。(フロントロウ編集部)

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