以前一緒に仕事をした俳優のアン・ハサウェイに、撮影現場で出演者やスタッフにある“厳しめなルール”を課していると暴露された映画監督のクリストファー・ノーランが、アンが語った内容は正確ではないと、広報を通じて反論した。(フロントロウ編集部)

アン・ハサウェイの「ドSルール暴露」に反論

 故ヒース・レジャーが悪役ジョーカーを演じた『ダークナイト』を含む、“ダークナイト・トリロジー”と呼ばれる『バットマン』3部作や『インセプション』、『インターステラー』、『ダンケルク』といった名作を生み出し、9月には待望の最新作『TENETテネット』がひかえている奇才クリストファー・ノーラン監督。

 天才肌で仕事の仕方やプライベートでも常人とは一線を画す強いこだわりを持つことで知られるノーラン監督に関して、『ダークナイト・ライジング』と『インターステラー』でタッグを組んだ俳優のアン・ハサウェイが、先日、ノーラン監督は撮影現場から“椅子”を排除していると暴露したが、これについて、ノーラン監督が広報を通じて反論した。

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 「彼(ノーラン監督)は現場に椅子を置くことを許可しないの。その理由は、椅子があるとみんなが座ってしまうから。座っている間は仕事をしていないのと変わらないんだって」と、俳優のヒュー・ジャックマンとリモート対談を行なった米Varietyの企画『Actors on Actors(アクターズ・オン・アクターズ)』で明かしたアン。

 アンは、「思考力や野心、技術的な腕前や感情的な側面に関しても、彼は本当に素晴らしい作品を作ってきた。しかも、いつもスケジュールよりも早く撮影が終わるし、費用だって安く済んでいる。もしかしたら、椅子禁止ルールがひと役買っているのかもしれないね」とノーラン監督を尊敬し、その手腕に一目置いていると語ったが、ノーラン監督曰く、撮影現場で椅子を“全面禁止”にした覚えはないという。

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 ノーラン監督の代理人は米IndieWireに出した声明で「はっきり言っておきますが、クリストファー・ノーラン監督が撮影現場で禁止としているのは携帯電話(つねにルールが守られているとは言えませんが)と喫煙(これはちゃんと守られています)だけです」と明言。

 「アンが話していた椅子とは、(確認用の)ビデオモニターの周りに群がっていたディレクターズチェアのことで、それらは、身体的な必要性ではなくヒエラルキーの象徴として設置されていました。クリス(※)は自分自身もディレクターズチェアを使用していませんでしたが、一般的な椅子までもセットから排除したということはありません。キャストも製作スタッフも、必要に応じて、いつでもどこでも、好きなところに座って良いことになっています」と続けた。

※ノーラン監督の愛称

 この声明からも分かるように、ノーラン監督が排除していたのは、ディレクターズチェアのみだったよう。しかもその裏には、ディレクターズチェアという、与えられる人が限られたアイテムを現場近くに置くことで、職場での力関係を誇示するのには反対だというノーラン監督なりの強いこだわりがあった。

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 自身が権力の象徴だと考えるディレクターズチェアを無くすことで、自由な気風を生み出すとともに、モニター回りを簡素化して仕事をしやすいようにしていたノーラン監督。

 禁煙はもはや常識ともなりつつあるが、携帯やスマホの使用禁止というルールは、待ち時間が長くなりがちな映画撮影の現場では、やはりなかなか厳しい。

 声明にあるとおり、このルールを破ってしまう人は多いようだが、前情報があまり明かされないことで知られるノーラン監督の作品だけに、情報漏洩を防ぐためにも、このルールは理にかなっていると言える。ちなみにノーラン監督自身はスマホはおろか、メールアドレスも所有していないと言われている。

 アンの暴露により、やはり厳格で気難しく“ドS”といった印象を持たれそうになってしまったノーラン監督だが、彼の言動の背景には、いつも何かしらの深い理由があるようだ。(フロントロウ編集部)

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