大統領選への出馬を表明したカニエ・ウェスト
カニエ・ウェストは米現地時間7月5日に自身のツイッターを更新。「俺たちは今、神を信頼し、みんなが持つビジョン(未来像)を統一し、未来を築くことでアメリカの約束を果たさなければならない。俺はアメリカ大統領に立候補する。#2020VISION」とツイートして、来たる今年の11月3日(火)に行われるアメリカ大統領選挙に出馬する意向を示した。
We must now realize the promise of America by trusting God, unifying our vision and building our future. I am running for president of the United States ��! #2020VISION
— ye (@kanyewest) July 5, 2020
カニエがこの発言にどれだけ本気かは現時点で分からないものの、以前からカニエと親しくしているテスラ社やスペースX社のCEOを務めるイーロン・マスクが「私は君を全面的に支持する」とコメントして全面的なサポートを約束したり、彼の妻でリアリティスターのキム・カーダシアンがカニエのツイートに“アメリカの国旗の絵文字”で反応したりしており、どうやら彼1人の意向でツイートしたことではなさそう。
カニエはこれまでドナルド・トランプ現大統領への支持を公言しており、今年4月には、今年の大統領選で再選を目指しているトランプ大統領に投票することを宣言したばかりだった。今年の大統領選は、現時点で正式に共和党・民主党両党の大統領候補は発表されていないものの、事実上、共和党に所属する現職のトランプ大統領と、民主党のジョー・バイデン元米副大統領の争いになると見られていた。
カニエが正式に立候補するとなれば、トランプ大統領の支持者がカニエになびく可能性は低いと見られており、必然的にバイデン氏の支持者がカニエに“鞍替え”をして、本来、バイデン氏が獲得するはずだった票がカニエに流れることが予想される。世論調査の分析を行うサイトである米FiveThirtyEightが集計した世論調査によれば、現時点ではバイデン氏の支持率のほうがトランプ現大統領の支持率よりも高い。
しかし、カニエが正式に立候補し、バイデン氏からカニエに票が流れるという結果になれば、トランプ大統領との差が縮まることになる。そのため、今回のカニエの立候補について、自身の当選よりも、自身が支持するトランプ大統領の“逆転再選”を目論んでいるのではとの見方もある。
テイラー・スウィフトのファンがカニエ・ウェストに対抗
実業家やテレビパーソナリティーとして活躍していたトランプ大統領が現にそうであるように、必ずしも政治家としての経験を問わないアメリカの大統領選では、政治家としての経験を持たないカニエでも制度上は大統領になる権利はあるのだけれど、これまで度々問題発言を連発してきたカニエが立候補を表明したことに対し、不快感を示すアメリカ国民も多い。
当然というべきか、2009年のMTVビデオ・ミュージック・アワードでカニエがテイラーのスピーチを妨害した事件を発端に、10年以上にわたってカニエとバトルを繰り広げてきたテイラー・スウィフトのファンたちは、カニエの立候補に猛反発。多くのファンたちがSNS上でカニエの立候補に不快感を示している。
「もしカニエが大統領に当選したら、テイラー・スウィフトに彼の最初のスピーチに乱入してもらって、(カニエが2009年のMTV VMAでテイラーに話しかけた口調を真似て)『ヨー、カニエ。おめでとう。あなたには喋らせてあげるけど、ビヨンセのほうが大統領にふさわしいと思う』って言ってもらいたい」と1人のファンはツイート。
If Kanye gets elected as president, I want Taylor Swift to gate crash his first speech and say something like, “Yo Kanye, I’m happy for you, imma let you finish but I think Beyoncé deserves to be president instead.” #KanyeWest #Kanye2020
— ishika is a bitch | saums stan account (@ishoeka) July 5, 2020
また、別のファンはカニエとトランプ大統領の“コンビ”に対抗するため、「オーケー。それなら、ジョー・バイデンにはテイラー・スウィフトを副大統領として発表してもらおう。カニエとトランプを倒すためにね。いい加減にしてほしい。もうウンザリ」とツイート。
okay so i need @JoeBiden to announce @taylorswift13 as his vice-president in order to defeat Kanye West & Trump. enough is enough. we’re tired af. #Kanye2020 pic.twitter.com/ucjmgNmXNe
— sami (@sraihane1) July 5, 2020
テイラーの親友であるセレーナ・ゴメスの名前も出しながら、「テイラー・スウィフトが大統領で、セレーナ・ゴメスが副大統領っていうのはどう?」とツイートしたユーザーも。
how about taylor swift as the president and selena gomez as vice president? #kanye2020 pic.twitter.com/tKiabc2OGu
— cody (@codyswiftgomez) July 5, 2020
米大統領選に立候補できるのは35歳以上なため、現在30歳のテイラーは立候補することができないのだけれど、カニエの立候補を受けて、テイラーにも立候補してほしいと願うファンは多いよう。
Taylor Swift will defeat Kanye West and become the first female president of the United States.
— Predictors (@ppredictors) July 5, 2020
「テイラー・スウィフトがカニエ・ウェストをやぶって、全米最初の女性大統領になる」
一方、当のテイラー本人はトランプ大統領に反対する立場を示している。テイラーは今年5月、トランプ大統領がBlack Lives Matter(ブラック・ライヴズ・マター)のデモ参加者を「悪党」呼ばわりし、軍による暴力を容認もしくは賛美する内容のツイートをした際、「任期を通して白人至上主義や人種差別の火を煽っておいて、あなたには、脅迫的暴力に対して道徳的に優れているフリをする神経があるの? 『略奪が始まれば、銃撃が始まる』ですって? 私たちは11月にあなたを投票で辞職させる」とツイートしてトランプ大統領に“宣戦布告”した。(フロントロウ編集部)