アーティストが楽曲の原盤権を所有しづらい音楽業界の現状に対して、連日、怒涛のツイートを通じて批判しているカニエ・ウェストが、長年の宿敵であるテイラー・スウィフトの“肩を持つ”ことを宣言。(フロントロウ編集部)

カニエ・ウエストが音楽業界のシステムを批判

 自身が音楽業界に対し抱いている疑念や不満を、すでに削除されたものも合わせると数十件にもおよぶツイートを連投してぶちまけているラッパーのカニエ・ウェストが、かれこれ10年以上にわたってバトルを繰り広げている宿敵のテイラー・スウィフトが、別の相手とやり合っている“揉め事”を解決するために手を貸すと宣言した。

 テイラーが抱える“揉め事”とは、彼女がデビュー以来、2018年まで所属していたレコード・レーベル、ビッグマシン・レコーズと同社を買収し、テイラーが移籍前にリリースした全楽曲の原盤権を手にした音楽マネージャーのスクーター・ブラウンとのいざこざのこと。

画像: カニエ・ウエストが音楽業界のシステムを批判

 テイラーは、移籍後の2019年に、自身は、原盤権を買い取ることを希望していたものの、ビッグマシン・レコーズのスコット・ボーチェッタCEOはその機会を与えてくれず、会社ごと、シンガーのジャスティン・ビーバーやアリアナ・グランデのマネージメントを手がけるスクーターに売り渡してしまったと主張。

 自身が丹精込めて作った楽曲の原盤権が因縁の相手であるスクーターの手にわたってしまった状況を「悪夢」と呼んだほか、彼らのやり方を糾弾し、その後も、アワードの受賞スピーチやMVなどを通じて遠回しに批判するといった行動にも出ている。

画像: 左:テイラーの前所属レーベル、ビッグマシン・レコーズを買収したスクーター・ブラウン。シンガーのジャスティン・ビーバーを発掘した“恩師”としても知られ、アリアナ・グランデやデミ・ロヴァートといったトップアーティストもクライアントに持つ。右:ビッグマシン・レコーズCEOのスコット・ボルチェッタ。テイラーにとっては元恩師。

左:テイラーの前所属レーベル、ビッグマシン・レコーズを買収したスクーター・ブラウン。シンガーのジャスティン・ビーバーを発掘した“恩師”としても知られ、アリアナ・グランデやデミ・ロヴァートといったトップアーティストもクライアントに持つ。右:ビッグマシン・レコーズCEOのスコット・ボルチェッタ。テイラーにとっては元恩師。


テイラーの「原盤権奪還」に力添えをすると約束

 今回、カニエは、奇しくも、犬猿の仲であるテイラーと同様に“アーティストが自分で作った楽曲の版権を所有するのが当たり前になるべき”と主張している。

 カニエは、自身のいくつかの楽曲の原盤権を所有するソニー・ミュージックとユニバーサル・ミュージックに対し、買い取りを申し出たものの、両社は交渉に応じず。

 これを受け、カニエは、ツイッターで契約書のコピーを公開したり、音楽業界の仕組みへの反発を表すため、最高峰のアワードであるグラミー賞の受賞トロフィーを便器にぶち込んで放尿したりと、かなり荒々しい方法で世間に自分の言い分をアピール。ひいては、経済誌フォーブスの編集者の電話番号を晒すという暴挙に出て、一時、ツイッターから出禁を食らった。

画像: テイラーの「原盤権奪還」に力添えをすると約束

 出禁前には、連投ツイートのなかで、著名なアーティスト仲間に賛同を求めたのだが、そのなかには、カニエとは、犬猿の仲であるはずのテイラーの名前も。

「(U2の)ボノ、リツイートしてくれないか? ポール(・マッカートニー)、リツイートをお願い。ドレイク、ケンドリック(・ラマー)、テイラーでもいい、愛してる。君たちの力が必要なんだ」

 そして、出禁明けに行なったツイートでは、なんと、自らがテイラーの原盤権奪還に協力すると、こう宣言した。

「テイラー・スウィフトが彼女の原盤権を取り戻せるように、個人的に取り計らうつもりだ。スクーターとは家族ぐるみの親しい友人だからな」


テイラーは無反応&テイラーファンは冷ややかな反応

 テイラーの肩を持ち、自分が何とかすると宣言したカニエだが、もうカニエとは関わりを持ちたくないのか、これまで彼が何度かインタビューなどで自分の名前を出してもスルーしてきたテイラーは、やはり今回も無反応。

 そして、テイラーのファンたちからは、カニエのツイートに「テイラーの問題に首を突っ込まないで」、「テイラーのことは放っておいて」、「あなたの助けなんかいらない」とカニエがこれ以上テイラーに関与することを拒むコメントが相次いでいる。


アディダスの「新トップ」になったと報告

 ちなみに、カニエは、音楽業界に関する不満のほかにも、自身がコラボスニーカーを発表しヒットさせているスポーツブランドのアディダス(adidas)の新トップになったとも宣言。

画像: アディダスの「新トップ」になったと報告

 「(ラップグループの)Run-D.M.C.<ラン・ディーエムシー>が俺に言っていたように、すべての靴から靴ひもを無くす。もっとナチュラルに、ひもなしにする」とツイートしたり、「アディダスとプーマ(PUMA)を和解させて、ジェイ・Zと俺も和解する…。プーマのデザインは恥ずかしくなるくらいゴミだけど、俺が個人的にプーマとアディダスのデザインを手がけてすべてOKにしてやる」と、プーマのデザインをディスり、さらに、かつては仲が良かったものの、現在は不仲の先輩ラッパーのジェイ・Zと自身の関係にも言及した。

 アディダスは、現時点ではカニエが社のトップに任命されたという宣言については、事実だと認めるアナナウンスはしていない。

 11月に行なわれるアメリカ大統領選への出馬を表明したり、やっぱり出ないと示唆したりを繰り返しているカニエ。ここ数カ月間は、政治集会で妻キム・カーダシアンが長女ノースちゃんを妊娠した際に堕胎を考えたと涙を流しながら暴露するなど、不穏な行動が目立っており、今回も持病の双極性障害が影響して、精神のバランスを崩したために奇行に出ているのではないかとの見方も。とにかく、ファンたちを心配させている。

画像: 7月に行なった政治集会のスピーチの最中にノースちゃんの堕胎を考えたこと、自身も父に堕胎されそうになったエピソードを明かし、涙を拭うカニエ。

7月に行なった政治集会のスピーチの最中にノースちゃんの堕胎を考えたこと、自身も父に堕胎されそうになったエピソードを明かし、涙を拭うカニエ。

 米Peopleは、カニエがキムとの約束を破り、精神を安定させるための薬を飲むのをやめてしまったという関係者の証言を伝えている。何を言っても聞く耳を持たずに暴走を続けるカニエに対し、ずっと彼に良くなって欲しいと寄り添ってきたキムは、彼を愛してはいるものの、もう為す術がなく「自分は無力だ」と感じて絶望しているとも関係者は語っている。(フロントロウ編集部)

This article is a sponsored article by
''.