アメリカの人気トーク番組『エレンの部屋』の新シーズンの初回放送で、司会者のエレン・デジェネレスが同番組をめぐる“騒動”について公の場で初めてコメントした。(フロントロウ編集部)

エレン・デジェネレスが騒動を謝罪

 キム・カーダシアンを筆頭とするカーダシアン/ジェンナー家の面々やシンガーのジャスティン・ビーバー、俳優のレオナルド・ディカプリオなど、数々の有名セレブとプライベートで交流があるエレン・デジェネレスが、2003年から約17年間にわたって司会を務める人気トーク番組『エレンの部屋』。

 今年7月、元スタッフと現スタッフから番組プロデューサー陣によるセクハラやパワハラ、差別発言といった悪質な職場いじめ、さらには給料の未払いなど劣悪な労働環境を告発する声が相次いだことがきっかけで、一時、打ち切りの危機に瀕しているとのウワサもあった同番組の新シーズンの放送が現地時間9月21日にスタート。番組冒頭、神妙な面持ちでカメラの前に立ったエレン本人が、騒動について自らの口で説明した。

画像: Photo:©︎The Ellen Show/YouTube

Photo:©︎The Ellen Show/YouTube

 以下、エレンのコメント全訳。

 「すでにご存じの方も多いと思いますが、この夏、私たちの番組に対して劣悪な職場環境を訴える声があり、その後、調査が行われました。(告発によって)ここで起こってはならないことが起きていたことを知りました。私はその事実を真剣に受け止めると同時に、影響を受けたすべての人たちに謝罪します。私には特権とパワーがあります。そしてそれは責任を伴うものです。よって、私にはこの番組で起きたことに責任を負う義務があります。この番組の名前は『ザ・エレン・デジェネレス・ショー(邦題:エレンの部屋)』で、私はエレン・デジェネレスです。私の名前はそこにも、あそこにも書かれており、(番組の公式グッズである)下着にもプリントされています。過去数週間にわたって、みんなでこの番組や私たちの職場、そして私たち全員が未来に望むものについて話し合ってきました。私たちは必要な変化を受け入れたうえで、今日、新たなチャプターをスタートさせます。

 実際の私は“テレビで見る人物像とはかけ離れている”という内容の記事やSNSの投稿を目にしました。私が世間の人たちから『親切な女性』というイメージを抱かれていることが理由です。(『親切な女性』と思われるようになった)きっかけについてご説明します。私はタイラー・クレメンティ(※)という一人の若者が同性愛者であるがゆえにいじめられた末に、自分の命を絶った後、「互いに親切に」と言うようになりました。世界にはもっと親切が必要だと思ったからです。(タイラーの自殺が)私たち全員がそれを必要としていることを思い出させてくれました。そして今、私たちはこれまで以上に互いに親切である必要性があると思います。 『親切な女性』という立ち位置にいるのは簡単なことではありません。これから自分に冠やニックネームをつけることを考えている人は、『親切』というワードは使用しないでください。 やめておいたほうが無難です。私はあなたがテレビで見る人物そのもの。それが真実です。
※2010年9月、自室で恋人の男性とキスしているところをルームメイトに隠し撮りされたうえ、無断でその模様を生配信されSNSで共有されたことを苦に、「橋から飛び降りる、ごめんね」と書き残し、橋から飛び降り自殺した。その後、動画を隠し撮りして拡散させた学生2人はプライバシー侵害の容疑で逮捕・訴追され、この事件がきっかけとなり、若者の自殺や同性愛者差別に関する問題意識を高める活動が盛んになった。

 私は『親切』という言葉だけで成り立っているわけではありません。私だって時に悲しみ、怒り、不安を感じ、欲求不満を抱き、せっかちになります。私はこれらのすべての問題と向き合っています。まさに問題解決に取り組んでいる最中であり、とくに短気なところをどうにかしようと頑張っています。正直あまりうまくいっていません。(いまだに)ちょっとでも遅れたりすると、つい口に出してしまいます。

 でも、聞いてください。みなさんも知っての通り、私はトーク番組の司会者です。ご存じの方もいるかもしれませんが、その前は俳優をしていました。(俳優時代は)映画でストレートの女性を演じたりもしていましたし、そこそこ良い役者だったと思います。けれど、ここで17年間ものあいだ、みなさんのことを欺き続けられるほどの演技力はありません。これが私の本当の姿で、私はつねに“最高の自分”でいることをモットーにしています。もし私が誰かを失望させたり、誰かの心を傷つけたりしたのなら、心から謝罪します。(傷つけたことが)事実であれば、私は自分自身に失望すると同時に、同じ傷を背負います。なぜなら私はつねに人として成長しようとしているからです。人生のあらゆることを学ぶ機会ととらえています。私は人々を笑わせて、気分を良くするためにこの世界に入りました。それが私の好きなことです。それとジェンガ。(司会業と同じくらい)あのゲームが好きです。

 そして今、私は270人のトップに立つ“ボス”であり、その270人がこの番組を作り上げてくれました。 270人の仲間にとても感謝しています。一人一人が幸せで、ここで働くことを誇りに思ってくれたら、それ以上は何も望みません。今年の夏は世界中の人々にとって恐ろしい夏でした。多くの人が仕事を失い、(新型コロナウイルスの)パンデミックで愛する人を失い、山火事の影響で家を失い、今も続く火事の恐怖に怯えながら暮らしています。また、私たちの周りには人種差別が蔓延っています。ニュースを見るたびに、何から始めるべきかと考えています。私の希望は、私たちの番組がみなさんにとって幸せと喜びの場所であり続けられることです。1日たった1時間でもいいから、(この番組が)人々にとっての逃げ場であり、笑い場であり続けることができればいいなと思っています。この先もずっとすべての人たちを支え続けたいと思います。そして、この新シーズンを今までにない最高のシーズンにすることを約束します」

 これまでとは違って波乱の幕開けとなった『エレンの部屋』の新シーズン。いまだに批判の声もあるが、果たして「今までにない最高のシーズン」で視聴者の信頼を回復することはできるか。(フロントロウ編集部)

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