グラミー賞、ザ・ウィークエンドへの手厳しい仕打ちに非難轟々
シンガーのザ・ウィークエンドは、2019年11月にリリースした「Blinding Lights(ブラインディング・ライツ)」が全米シングルチャートで堂々の1位に。その後40週にわたってトップ10以内にランクインし続ける大ヒットを記録し、2020年最大のヒット曲とも称されたが、先日発表された第63回グラミー賞のノミネートリストにザ・ウィークエンドの名前は無かった。
“ノミネート0(ゼロ)”というまさかの結果に、彼のファンをはじめとする多くの人々が落胆し、異議を唱えるなか、ザ・ウィークエンドは、SNSを通じて、グラミー賞を主催するザ・レコーディング・アカデミーに抗議。「グラミー賞は腐ったままだ。あなた方には私と私のファン、そしてこの業界に、“透明性”をはっきりさせる義務がある」と不満を露わにした。
ザ・ウィークエンドが再び沈黙を破る
ザ・レコーディング・アカデミーの会長を務めるハーヴェイ・メイソン・Jr氏は、ザ・ウィークエンドの落選について、「我々はすべてのレコードに対して公正であり、すべての音楽を聞いています。それはアルバムであっても同じです」などと、審査員たちによる厳正な判断の結果であると強調。
しかし、一部では、ザ・ウィークエンドが、グラミー賞の1週間前に開催されるNFLチャンピオンシップ、スーパーボウル2021年大会のハーフタイムショーのパフォーマーに抜擢したことが原因なのではないかとの説も浮上した。
この件に関しても、ザ・レコーディング・アカデミー側は否定しているものの、ザ・ウィークエンドは、グラミー賞のノミネート発表から一夜明け、再び自身が受けた“完全無視”に言及。
じつは、グラミー賞のステージでパフォーマンスを行なう話があり、何週間も前から主催者側と協力して準備を始めていたことを暴露しながら、「俺の見解では“ノミネートゼロ=招待されてない”ってこと」と皮肉っぽくコメントした。
超大御所シンガーが擁護&元カノが反応
ザ・ウィークエンドのグラミー賞落選に納得がいかない人々がSNS上で、「ザ・ウィークエンドはグラミー賞を #Robbed(奪われた)」、「#GrammySnub(グラミー賞スルー)」といったハッシュタグとともに憤りを口にするなか、ザ・ウィークエンドにとっては大先輩にあたる大物シンガーも「#GrammySnub」というハッシュタグを使って彼を擁護。
その人物とは、イギリス人シンガーのエルトン・ジョン。
普段から、自分が気に入った若いアーティストたちの作品を紹介したり、ファンに薦めたりしているエルトンは、インスタグラムに「Blinding Lights」のカバーアートを投稿し、「私の謙虚な意見を言わせてもらうと、『Blinding Lights』は年間最優秀楽曲であり、年間最優秀レコードだ」とコメントした。
このエルトンの投稿に「いいね」で賛同を表したのが、ザ・ウィークエンドが、2015年から2019年の夏までの約4年間、何度か破局と復縁を繰り返しながら交際していた人気モデルのベラ・ハディッド。
ベラは直接コメントをしたわけではないものの、エルトンの投稿に反応することで、ザ・ウィークエンドへの支持を表明した。
ザ・ウィークエンドとベラは、破局後も頻繁に連絡を取り合っていると言われており、2020年9月に開催され、ザ・ウィークエンドが最優秀ビデオ賞を受賞したMTVビデオ・ミュージック・アワード(VMA)のバックステージでも、仲睦まじげに話している姿が目撃されていた。
波乱含みのグラミー賞
音楽界最高峰の栄誉と言われるグラミー賞は、アーティストのキャリアを大きく左右するアワードなだけに、毎年、ノミネートが発表されると、世間から「誰がスルーされた」、「あのアーティストのほうが相応しいはずなのに」といった不平不満が少なからず噴出する。
しかし、今年は、ザ・ウィークエンドへのあからさまな“完全無視”のほかにも、シンガーのジャスティン・ビーバーが、R&Bを意識して作った自身のアルバムが「ポップではなくR&B部門にノミネートされていないのは奇妙」と主催者に向かって疑問を投げかけたほか、ラッパーのニッキー・ミナージュが、「7曲が同時にBillboardのチャートにランクインして、過去10年で女性ラッパーとして最高の初週成績を残していたのに、グラミーが私に最優秀新人賞をくれなかった時のことは忘れたことがない。アイツらは、ボン・イヴェールという白人男性にそれを授与したの」と、黒人女性である自分の活躍は正当に評価されず、白人男性を優遇したと主張。
さらに、R&Bシンガーのテヤナ・テイラーが、最優秀R&Bアルバム部門の候補に挙がった5人のアーティスト全員が男性だったことに呆れ、「もう、最優秀“男性”R&Bアルバム賞って呼べばいいんじゃない。だって、このカテゴリにペニスばっかり」と、つぶやくなど、アーティスト本人たちがグラミー賞への不信感を露わにしている。
波乱含みのグラミー賞の授賞式は、日本時間の2021年2月1日に米ロサンゼルスのステープルズ・センターで開催。日本ではWOWWOWが独占中継する。
新型コロナ禍での開催とあり、主催者はパフォーマンスや受賞者へのトロフィー授与の方法を模索しているというが、どんなイベントとなるのか、いろんな意味で注目が集まる。(フロントロウ編集部)