地元のヒーロー、ライアン・レイノルズを称えて
マーベル・コミック発の異色のヒーロー、デッドプールを主人公に描いた映画『デッドプール』シリーズに主演する俳優のライアン・レイノルズは、カナダ・バンクーバーの出身。
ことあるごとに故郷カナダの人々に救いの手を差し伸べ、振興にも貢献してきたライアンは、2020年内だけでも、カナダをベースにした下記のチャリティなどに協力してきた。
― 妻でドラマ『ゴシップガール』の俳優のブレイク・ライブリーとともに、ホームレスの若者を支援する団体に約4000万円、先住民族の女性たちの就職支援や職業訓練などを支援する団体に約1600万円を寄付。
― バンクーバー在住のある女性が盗難被害に遭った際、彼女の亡き母の声が録音されたクマのぬいぐるみを見つけるため、懸賞金として約55万円を提供。
― イヌイットの人々が多く暮らす、カナダの準州ヌナブトの子供たち300人に冬用のアウターを提供するのを支援。
― 新型コロナウイルスの影響により、卒業式に参加できないヌナブトの生徒たちのために400枚のピザを購入。
― 新作映画の撮影に向け、ポケットマネーを使って、黒人・先住民・有色人種(BIPOC)のスタッフを雇用。
― 困難に直面している地元の子供たちを勇気づけるため、数えきれないほどのビデオメッセージや手紙などを送付。
これらにくわえ、もっとも最近では、新しい土地に引越したばかりで「誕生日までに友だちができないかも…」と不安がっていたブリティッシュコロンビア州に住む9歳の少年のために、率先してバースデーメッセージ動画を送るという心温まる行動にも出ている。
"I was in complete shock. It was really awesome." 9-yo Damien Smith is celebrating his bday today with +1200 cards from around the world & a message from @VancityReynolds. Damien recently moved to the Shuswap, & struggled to adjust, prompting his dad to ask for help. @NEWS1130 pic.twitter.com/diQFTidcDz
— Tarnjit Parmar (@Tarnjitkparmar) November 25, 2020
メディアで報じられたものから、地元の人たちしか知らない小さな優しさまで、さまざまな形で善い行いをしてきたライアン。
映画でスーパーヒーローを演じるだけでなく、プライベートでも“まさにヒーロー”といった行動を見せているライアンを、どうにかして称え、感謝を表する方法はないかと模索したバンクーバーの人々は、「市内にある通りに彼の名前をつけよう」という案に行きついた。
ライアンが地元の人々の提案を「全力で拒否」
地元ラジオ局104.9ラジオの番組『The Kevin and Sonia Show』が主導して始めたオンラインでの署名運動は、記事執筆時点で目標数の6割以上を達成。
多くの人が「ライアン・レイノルズ通り」の誕生を望むなか、署名運動への参加を呼びかけるあるユーザーのツイートに返信する形で、ライアン本人が反応したのだが、なんと、自分の名前にちなんだ通りができることへの彼の答えは「NO」。市民たちからの申し出を全力で拒否した。
「すごく親切だと思うけど、断じてパスさせていただくよ。だって、もし渋滞とかが起こったら、みんな『ライアン・レイノルズはめちゃくちゃだ』とか『ライアン・レイノルズはマジで渋滞してる(溜まってる<※>)』とか言うんだろ?そんなの、僕の兄たちにとって格好の笑いのネタだもん」
※「渋滞する(backed up)」 には、スラングで男性が長い間、射精をしておらず、精液が体内に溜まっているという意味もある
Very kind but hard pass. If traffic sucks everyone will say, “Ryan Reynolds is a mess” or “Ryan Reynolds is really backed up”.
— Ryan Reynolds (@VancityReynolds) November 28, 2020
My brothers would enjoy this too much.
ライアンがユーモアを交えて拒否反応を示したことで、署名運動の主導者たちは「どうする?」「続けるべき?」と、参加者たちに問いかけているけれど、はたして今後どうなる?
自分の名前がついた「通り」が存在するセレブたち
欧米では、他界した偉人たちを偲んで通りに名前がつけられるケースが多いけれど、存命のセレブの名前をつけた通りが誕生することもある。
シンガーのリアーナは幼少時代を過ごした祖国バルバドスの通りが2017年に「リアーナ・ドライブ」と命名。ニューヨークの西53番通りは、ロックバンド、U2にちなんで2009年に「U2ウェイ」と改名された。
バミューダ諸島のナショナル・スタジアム近くの通りは、2008年にビヨンセが通ったことで、「ビヨンセ・ブルバード」と命名。ビヨンセの夫でラッパーのジェイ・Zは、2006年にナイジェリアのクワラ州で『ウォーター・フォー・ライフ』と呼ばれる、現地の人々に安全な水を供給するチャリティを発足したことで、現地の道路が本名を交えた「ショーン・ジェイ・Z・カーター・ストリート」と名づけられた。
そのほか、元ビートルズのポール・マッカートニーは英リバプールに「ポール・マッカートニー・ウェイ」、ボブ・ディランは米ミネソタ州に「ボブ・ディラン・ウェイ」、ロックバンド、フー・ファイターズのフロントマンのデイヴ・グロールはオハイオ州に「デイヴィッド・グロール・アリー」と、故郷にそれぞれ自分の名前がついた通りが存在する。
(フロントロウ編集部)