17歳のフィリピン系アメリカ人
オリヴィア・ロドリゴは2003年2月20日生まれの俳優でシンガーソングライター。現在17歳のオリヴィアは、Disney+ (ディズニープラス)のドラマ『ハイスクール・ミュージカル:ザ・ミュージカル』で主役のニニを演じて一躍ブレイクを果たした。
現在はアメリカのカリフォルニア州を拠点に活動しているオリヴィアは、アイルランド系とドイツ系の血筋を持つアメリカ人の母親と、フィリピン系アメリカ人の父親のもとに生まれている。オリヴィアは2018年、米CAAMとのインタビューで自身のフィリピン系のルーツについて言及して、「曽祖父が10代の頃にフィリピンからアメリカに移住してきた」ことを明かしている。
「おじいちゃんもフィリピン人。父親は、フィリピン料理がでてくるような家庭で育っていて、おじいちゃんはいつもタガログ語を話していたの。そうした伝統は私たちの世代にも引き継がれていて、感謝祭の時には、(フィリピンの料理である)ルンピアとかを食べてる」とオリヴィアは米CAAMとのインタビューで語っている。
ディズニー・チャンネル『やりすぎ配信! ビザードバーク』に出演
幼少期の頃から歌うことに興味を持っていたというオリヴィアだけれど、彼女が最初に成功を収めたのは、俳優として。オリヴィアが演技の道に興味を持ったのは、幼少期に通っていた歌の先生がきっかけだったそうで、米CAAMとのインタビューのなかで、「歌のレッスンを始めた時に、歌の先生が『あなたの歌声は素晴らしいですね。演技の教室に通ってみてはどうですか?』と言ってくれて、それで、地元の演劇教室に通い始めたの」と明かしている。
「私はすぐに演技を好きになって、先生には、『もしも本格的にやりたいのなら、オーディションを受けてみなさい』と言われたの。とても幼かった私は、そうした経験にとてもオープンだったこともあって、たくさんのオーディションに臨んだ。その多くで落ちてしまったけれど、12歳の頃に『やりすぎ配信! ビザードバーク』に受かったの」とオリヴィアは続けている。
オリヴィアのデビュー作は、2015年に公開された映画『An American Girl: Grace Stirs Up Success(原題)』で、なんとデビュー1作目から主役に抜擢! その後、オリヴィアは2016年から2019年にかけてディズニー・チャンネルで放送されたオリジナルドラマ『やりすぎ配信! ビザードバーク』に出演。メインキャストの1人であるペイジを演じた。オリヴィアは本作のほかに、ドラマ『New Girl / ダサかわ女子と三銃士』にゲスト出演したこともある。
ちなみに、『やりすぎ配信! ビザードバーク』に出演した時にはテーマソングを歌うなど、既にシンガーとしての才能を垣間見せていた。
『ハイスクール・ミュージカル:ザ・ミュージカル』の主役に抜擢
そして、『やりすぎ配信! ビザードバーク』で既にティーンの間では知られた顔になっていたオリヴィアがその人気を確実なものとしたのが、Disney+ (ディズニープラス)のドラマ『ハイスクール・ミュージカル:ザ・ミュージカル(以下、『HSMTMTS』)』への出演。
2006~2008年にかけてテレビ放送・劇場公開された映画『ハイスクール・ミュージカル(以下、『HSM』)』シリーズを観て育った高校生たちを描いたドラマ『HSMTMTS』は、制作が発表された当時から世界中のファンの間で大きな話題になっていたが、オリヴィアはなんとその主役に大抜擢。オリヴィアは本作で、それまではほとんど主役を演じたことがなかったにもかかわらず、『HSM』ではヴァネッサ・ハジェンズが演じたガブリエラ役に抜擢される主人公のニニを演じている。
劇中歌「All I Want」を書き下ろしている
リッキーを演じてW主演を務めるジョシュア・バセットらと共にドラマで見事な歌声を披露しているオリヴィアは、『HSMTMTS』の劇中歌も自ら書き下ろしている。オリヴィアが書いたのは「All I Want(オール・アイ・ウォント)」と題された楽曲で、恋をしている相手を思いながらも、「私が救われなくちゃダメな女の子だとでも思ってるのかな?」「あなたに歩み寄るつもりがないなら/そんな愛のために頑張るつもりはない」などと歌う、聴く人たちをエンパワーしてくれるような力強いアンセム。
同曲は、米シングルチャートBillboard Hot 100にランクインし、TikTokでもヒットを記録した。
ちなみに、オリヴィアは同曲の中でも、「あなたが戻ってきてくれないなら、愛のために頑張るつもりはない」という歌詞が最も共感できる歌詞とのこと。「私は愛に溢れた人間で、人のために何かをしてあげるのが大好きなの。それで、時間やエネルギー、関心を1人の人にすべて注ぎ込んでしまうんだけど、そのお返しがないような時はツライよね」とオリヴィアは米Geniusとのインタビューで語っている。
オリヴィアはまた、劇中で歌われる「Just For A Moment(ジャスト・フォー・ア・モーメント)」の制作にも携わっており、こちらは劇中でのロマンス相手であるリッキー役のジョシュア・バセットと共に書き上げた。
デビューシングル「drivers license」がグローバルチャートで大記録を達成
そして、2020年1月8日にシンガーとしてのデビューシングル「drivers license(ドライバーズ・ライセンス)」をリリースしたオリヴィア。
「先週、運転免許をとったよ/ずっと話題にしていたよね/だって、あなたはすごく楽しみにしてくれていたから/私があなたの家まで運転して行くのを」というフレーズから幕を開ける「drivers license」は、失恋について歌った楽曲となっていて、オリヴィアは同曲について、「『drivers license』を書いていたとき、私はとても複雑で多面的な失恋を経験していました」と説明している。
オリヴィアが元恋人への憧れを抱きながら郊外を目的もなく一人でドライブする姿が描かれたミュージックビデオと共にリリースされた「drivers license」は、リリースされるや否や、Apple MusicやSpotifyのグルーバルチャートで首位を獲得するなど、瞬く間にヒットとなった。
さらに、Spotifyのグローバルチャートにおいては、ホリデーソングではない楽曲として、1日に史上最も再生された楽曲になる快挙も達成。これは、エド・シーランとジャスティン・ビーバーのコラボ曲「I Don't Care」が持っていた記録を破ってのものとなっている。加えて、アリアナ・グランデによる「thank you, next」が持っていたこれまでの記録を破って、Spotifyにおいて、女性アーティストの楽曲としてアメリカで史上最も1日に再生された楽曲にもなった。
ちなみに、『HSMTMTS』で共演したジョシュアとは、お互いに認めてはいないものの交際していたのではないかとする噂がファンの間では囁かれており、“年上のブロンド女性”が歌詞に登場する「drivers license」は、ジョシュアと、彼との急接近が話題になっているサブリナ・カーペンターについて歌った楽曲なのではないかとする説も浮上した。
テイラー・スウィフトやロード、ホールジーが憧れ
幼少期から音楽が大好きだったオリヴィアは、かねてからテイラー・スウィフトへの憧れを公言しており、米EUPHORIAとのインタビューでは、10歳にして既にレコードプレーヤーを購入していたことを明かした上で、初めて買ったレコードがテイラーの『レッド』だったことを打ち明けている。ちなみに、2枚目に買ったレコードは、2014年の第56回グラミー賞で最優秀楽曲賞を受賞した名曲「Royals」を弱冠16歳にしてリリースしたシンガーソングライターのロード(Lorde)による『ピュア・ヒロイン』だったそうで、こちらは「今までで一番好きなアルバム」なのだそう。
オリヴィアは女性シンガーソングライターの音楽を好んで聴いているといい、「女性のシンガーソングライターには目がないの」と、英Schön! Magazineとのインタビューで明かしている。「永遠のアイドルはテイラー・スウィフト。音楽を通じてのストーリーの伝え方や、イメージの描き方にはいつもインスパイアされる。もしテイラーに会うようなことがあれば、自然発火してしまいそう」と、冗談を交えながらテイラーへの揺るがない愛を語った上で、「それから、グレイシー・エイブラムスやロード、ホールジー、フィービー・ブリジャーズも大好き」と続けた。
テイラーもオリヴィアのデビュー曲を絶賛
そして、オリヴィアはそんな憧れのテイラーからお墨付きも得ている。オリヴィアのデビュー曲「drivers license」は、リリースから間もなくしてiTunesで3位にランクインしたのだけれど、同曲の上位の1位にはテイラーの「イッツ・タイム・トゥー・ゴー(It’s Time to Go)」が、2位には「ライト・ホウェア・ユー・レフト・ミー(Right where You Left Me)」がランクイン。
2020年12月13日のテイラーの30歳の誕生日には、「ハッピーバースデー、ママ」とテイラーを“母”になぞらえて祝福するほど彼女を崇拝しているオリヴィアは、テイラーの楽曲に続けて自分の楽曲がランクインしたことがとても嬉しかったようで、「アメリカのiTunesチャートでテイラーと並ぶことができるなんて。私、涙の水たまりの中にいるよ」と嬉しくて号泣する様子を伝えるコメントと共に、ランキングのスクリーンショットを自身のインスタグラムに投稿した。
すると、なんとテイラー本人がこの投稿にコメント。テイラーは「さすが、私のベイビー。本当に誇りに思うよ」とメッセージを寄せ、自身を“母”と崇める“娘”のオリヴィアを祝福した。憧れのテイラーから“娘”として祝福されたオリヴィアは、「息するってどうやるんだっけ?」というコメントを添えて、「信じられない! これは私の高校生活最後の年のハイライトだよ」と大歓喜する動画をSNSに投稿した。
ちなみに、テイラーがオリヴィアに賛辞を寄せたのはデビュー曲「drivers license」をリリースした時が初めてではなく、オリヴィアが2020年4月にMTV主催のチャリティコンサート番組『AloneTogether Jam Session(アローン・トゥギャザー・ジャムセッション)』でテイラーの楽曲「クルーエル・サマー(Cruel Summer)」の弾き語りカバーを披露した際には、「すごい才能」、「素晴らしい!」、「美しいパフォーマンスをありがとう」とオリヴィアの歌唱力を絶賛していた。
�A GIFT FOR YOU �@Olivia_Rodrigo sang @taylorswift13's "Cruel Summer" for our MTV #AloneTogether jam session!! � #StayHome pic.twitter.com/VmY1hxgHl3
— MTV (@MTV) April 22, 2020
ファッションはサステナブル重視
オリヴィアは、ファッションへの強いこだわりの持ち主でもあり、2020年12月に掲載された英Schön! Magazineとのインタビュー撮影には、すべてサステナブルな衣装で臨んでいる。
サステナブルなファッションを意識するようになったのは、「数年前に、『ザ・トゥルー・コスト ファストファッション 真の代償』というドキュメンタリーを観た」ことがきっかけだったと英Schön! Magazineに明かしている。『ザ・トゥルー・コスト ファストファッション 真の代償』は、2015年に公開されたドキュメンタリーで、ファストファッション業界の舞台裏に迫り、服がどのように作られているかを追った作品。
「私はそれを観て、私個人の行動がいかに環境に影響を与えているかということについて初めて考え始めたの」とオリヴィアはインタビューで語っている。「14歳にして、地球が取り返しのつかないことになってしまうかの瀬戸際に自分たちの世代がいることを知るのは、ちょっと恐ろしかった。多くの専門家が、ファッション業界は、石油業界に次いで世界で2番目に汚染的な業界だって言っている。私はすごくショックを受けた」。
オリヴィアはこのドキュメンタリーを観て、それまでとはファッションに対する考え方が変わったのだそう。「その時までは、モールに行って、1度しか着ないような安い服を買うことが大好きだったの。その(業界の)裏でどんなことが起きているかなんて、知りもしなかった。それから、あまり発展していない国では、女性や子供たちがファッション業界にいいように使われているでしょ」と、作品を通じて知った現実を振り返った上で、「そういうわけで、ここ何年かは、できるだけ服の消費をサステナブルなものにするように心掛けているの」とオリヴィア。
「古着を買うのはすごく楽しいし、リフォーメーション(Reformation)やリサセイズガー(Lisa Says Gah)のようなサステナブルなブランドは最高。服をどう入手するかだとか、日々の行動がこれからの世代にどんな影響を与えるかを考えることは、すごく大切なことなの」と続けて語り、今ではできる限りサステナブルなファッションをするように心掛けていることを明かした。
デビューシングルをリリースしたばかりのオリヴィアだけれど、異例とも言えるスピードでの「drivers license」のヒットは、2021年最初のビッグサプライズとなった。次世代を代表するポップスターの1人となるポテンシャルを秘めているオリヴィアから、これからも目を離さないで。(フロントロウ編集部)