アメリカのZ世代では、親にカミングアウトしているLGBTQ+当事者が増えている。しかし、イジメの問題など、まだまだ取り組まなければいけない問題もある。(フロントロウ編集部)

親にカミングアウトしやすい社会を

 アメリカ心理学会(APA)の調査によると、現在の10代のLGBTQ+当事者は、以前よりも親にカミングアウトしやすくなっているという。

 今回の調査で対象となったのは、13歳から18歳のゲイ、バイセクシャル、クィア、パンセクシャルの少年たち1,194人。そのうち、母親や女性の保護者にカミングアウトしている回答者は66%、父親や男性の保護者にカミングアウトしている回答者は49%となった。

 APAによると、1990年代に母親にカミングアウトできていた10代の少年は40%、父親に対しては30%だったため、親にカミングアウトしている少年の数は増えていることが分かる。

画像: 親にカミングアウトしやすい社会を

 Z世代ではないにしろ、俳優のルビー・ローズやベン・プラット、ドラァグクイーンのナオミ・スモールズも10代の頃にカミングアウトした経験について明かしており、親はすんなりと受け入れてくれたと話していた。

 これまで多くの人がLGBTQ+コミュニティのために闘い、現在では映像作品におけるレプリゼンテーションも意識されている。また、例えばシャーリーズ・セロンなど、LGBTQ+当事者の親も愛に溢れる姿勢を見せてきており、社会が変わってきていることが感じられる。

社会の変化はまだまだ求められている

 一方で、LGBTQ+の10代の子供たちが直面する問題もまだまだ多い。2020年に米American Journal of Preventive Medicineで発表された調査では、10代の当事者のうち91%が、少なくとも1度は、偏見が根本にあるイジメを経験したことがあると回答。

 また、米JAMA Pediatricsに発表された調査では、2003年から2017年までに10歳から19歳までの若者の1万件の自殺事件を検証。そのうち、LGBTQの若者の場合は、イジメを経験していた割合が、非LGBTQ+の若者の場合の5倍にのぼった。イジメは、直接的なものとオンライン上のものの両方を含む。

 イジメのほかにも、LGBTQ+当事者が自分自身のセクシャリティを嫌悪するインターナライズド・ホモフォビア(internalized homophobia/内在化した同性愛嫌悪)など、社会によって作り出されている苦悩は多い。

 社会によって苦悩が作り出されているなら、社会を改善して、多くの喜びが作りだされる社会に変えていきたいもの。親として、友達として、アライとして、できることをしていくことが大事。(フロントロウ編集部)

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