『ブラック・ウィドウ』をめぐってディズニーを訴えたスカーレット・ヨハンソン
7月8日(木)より映画館にて公開、7月9日(金)よりディズニープラス プレミア アクセスにて配信がスタートしたMCUの最新作『ブラック・ウィドウ』をめぐり、主演を務めるスカーレット・ヨハンソンが契約違反を理由にウォルト・ディズニー・カンパニーを提訴。
ギャラに映画の興行収入に対する利益が含まれていたスカーレットは、当初自身が結んだ契約では、『ブラック・ウィドウ』はほかのMCU映画と同様に劇場公開のみとなるとされており、ディズニー側がその契約を破ったと主張。ディズニープラスでも配信されたことで、5,000万ドル(約54億円)もの損失を被ったと訴えている。
ウォルト・ディズニー・カンパニー側は、スカーレットの主張はパンデミックの長期化を無視した自己中心的なもので、追加報酬を得るためのものであると痛烈に批判。それに対してスカーレットの代理人は「彼らは、ヨハンソン氏が新型コロナウイルスという世界的パンデミックに対してあたかも無神経であるかのように、臆面もなく不当に非難しました。これは、彼女のイメージを彼らも私自身も知らない別の誰かかのように操作するためのものです」と徹底抗戦の構えを見せている。
また、ハリウッドで働く女性の権利を守る団体のWIF、ReFrame、TIME'S UPが今回の訴訟について声明を出し、ディズニー側の対応を「ジェンダーに基づく人格攻撃」だと批判するなど、映画界を巻き込む騒動に発展している。
ディズニーCEOがストリーミング配信についてコメント
そうしたなか、米現地時間8月12日にウォルト・ディズニー・カンパニーの収支報告が行なわれ、CEOのボブ・チャペック氏が新型コロナウイルス禍における公開方法の変化などについて語った。
米Varietyによれば、チャペック氏は収支報告の冒頭で現在のディズニーとしての公開戦略について、「(ウォルト・ディズニー・カンパニーの会長である)ボブ・アイガーと私は配給チームと共に、この手法こそが可能な限り多くのオーディエンスにリーチするのにふさわしいものだと判断しました」と語ったという。
また、「COVID以降、我々はタレントとの数百回もの協議を重ねてきましたが、概してスムーズに進みました」とも語り、チャペック氏はスカーレットとの訴訟の争点となっているギャラ問題について、出演俳優たちとの交渉も比較的順調に進んだことも示唆したと報じられている。「我々はビジネスモデルにかかわらず……全員が満足できるように、タレントに平等な補償をするための方法を模索しました」とチャペック氏は語ったと米Varietyは報じている。
加えて、チャペック氏は、劇場での公開とディズニープラスでの配信を同時期に行なうという公開戦略については、「グローバルな市場の状況や顧客の行動に基づき、作品ごとに決定しました」とした上で、今後も「その作品やそれを構成する要素にとっての最善」の手法をとっていくとも語ったという。
ちなみに、ディズニーへの訴訟をめぐっては、『ブラック・ウィドウ』と時期を同じくして公開・配信された『ジャングル・クルーズ』で主演と製作を務めたドウェイン・ジョンソンがディズニーを訴えることはないと米Varityが推測している一方で、5月に公開・配信された映画『クルエラ』で主演を務めたエマ・ストーンは訴訟を起こすかもしれないと米Screen Rantが報じている。(フロントロウ編集部)