良質な睡眠のために選びたい4種類の食品
ここ最近国内外で注目のキーワードになっている、睡眠の質。日々のストレスや生活習慣、スマホから発せられるブルーライトなどによって睡眠の質が低下すると、心身の健康や美容にも悪影響を及ぼしてしまうことが注目を集め、サプリメントやデバイスなど睡眠の質を上げるためのアイテムが続々と登場。
さらに日本のGoogle検索では、「睡眠の質を上げる方法」というワードの検索数が昨年に比べてなんと600％も増加している。そんな睡眠の質は、毎日の食事と大きく関係しているって知っていた？
多くの研究によると、食べ物でどんな栄養素や成分を取り入れるかによって睡眠の質に差が出ることが分かっている。では睡眠の質を上げるには何を食べればいいのか、専門家が勧める4種類の食べ物を紹介。
トリプトファンが豊富な食べ物
オートミール、赤身肉、卵、納豆
トリプトファンは、オートミールや赤身肉、卵、納豆、魚、牛乳などに豊富に含まれる必須アミノ酸のひとつで、睡眠の質を高めるのに欠かせないもの。なぜならトリプトファンには、睡眠ホルモンと呼ばれるメラトニンを増やす働きがあるから。
コロンビア大学の栄養医学の准教授であり、睡眠に関する研究を行なうメディカルスリープセンターのディレクターでもあるマリー・ピエール・サンオンジ博士は、「トリプトファンは、日中はセラトニン（通称：幸せホルモン）に変化し、夜間はメラトニン（通称：睡眠ホルモン）に変化するという特徴がある」と米Eatingwelで説明。このメラトニンが体内時計を正常に整えることで、睡眠の質を高めてくれるという。
Sleep Medicine Reviews 誌に掲載されたデータによると、17件の研究を分析したところ、トリプトファンを摂取することでメラトニンの分泌が活発になり、睡眠の質が高まるという結論が出たそう。
マグネシウムが豊富な食べ物
ほうれん草、大豆、カボチャの種、バナナ
サプリメントでも定番のマグネシウムも、睡眠の質を上げる効果が期待できる栄養素のひとつ。マグネシウムは、ほうれん草やひじき、大豆、カボチャの種、チアシード、アーモンド、バナナなどに豊富に含まれている。
アメリカ睡眠医学会に所属するマイケル・ブレウス博士は、「マグネシウムは神経を落ち着かせて安定させる働きがあるから、リラックスするのを助けて自然な睡眠に導いてくれる」と説明。一方不足すると不眠や不安などの原因になることも多いため、日常的に摂取することが大事だと明かした。
またマグネシウムは、必須ミネラルでありながら体内で自然につくられることはないためとくに不足しやすく、米国立衛生研究所によるとアメリカ人の48％がマグネシウム不足だという。日本の食事は元々マグネシウムを摂取しやすい傾向であったものの、食の欧米化によって摂取量は減少しつつあるそう。
ビタミンＤが豊富な食べ物
しいたけ、サーモン、サンマ、バター
エリンギやしいたけなどのキノコ類や、鮭やサンマなどの魚類、バター、卵などから摂取できるビタミンＤも、睡眠の質を高める働きを持っている。
ブレウス博士によると、ビタミンＤには睡眠と覚醒のリズムを正常にして、よい睡眠習慣をキープする働きがあるという。Journal Sleep誌に掲載された研究では、3,000人以上の被験者のうち、ビタミンＤが少ない参加者はそうでない参加者に比べて睡眠の質と量の両方のレベルが低かったという。
ちなみにビタミンＤは、日光を浴びることでも生合成される成分。そのためブレウス博士は、1日15分以上は屋外で過ごす時間をつくるようアドバイスした。
オメガ3脂肪酸が豊富な食べ物
アボカド、くるみ、亜麻仁油、サバ
睡眠の質を上げたいなら、オメガ3脂肪酸も摂取するべき栄養素のひとつ。オメガ3脂肪酸が豊富な食品には、亜麻仁油やエゴマ油などのオイル類、アボカド、くるみ、サバなどがある。
オメガ3脂肪酸と睡眠の質の関係についてブレウス博士は、「オメガ3脂肪酸にはメラトニンの生成を促す作用があるため、体内時計を正常に整えることができる」と話し、この働きによって睡眠の質の向上が期待できると説明した。
睡眠の質を上げるのに役立つ4種類の食品。この機会に、普段の食事が睡眠にとって良いものなのかを見直してみては。（フロントロウ編集部）
