注意すべきは飲み物だけじゃない!レイプドラッグを気づかないうちに注射される「ニードル・スパイキング」の被害に遭う女性が欧米で急増。8人が死亡したラッパーのトラヴィス・スコット主催の音楽フェスでもその疑いが出ている。(フロントロウ編集部)

数年前から「レイプドラッグ」を使用した性犯罪が広まる

 ご存じの方も多いと思うが、近年、性的暴行を目的に睡眠薬や抗不安薬などのレイプドラッグを飲み物等に混ぜる行為が社会問題となっている。レイプドラッグは、においや色もないため飲み物に混入されていても気づくことが難しく、飲んでしまうと正常な判断が困難になり、最悪の場合、意識を失うことも。

画像: 数年前から「レイプドラッグ」を使用した性犯罪が広まる

 統計によると、アメリカ人女性の5人に1人がレイプドラッグによる被害にあっており、日本でも数年前からレイプドラッグを使用した性犯罪が増えている。

 海外では、ドラッグが混入した飲み物(=液体)に反応して色が変わるコースターやストロー、マニキュアといった防止グッズの開発も進んでいるが、それでもレイプドラッグを悪用した性犯罪が後を絶たず、「知らない人から飲み物は受け取らない」、「トイレに行くときも絶対に自分の飲み物からは目を離さない」といった対策を自分で取るしかないというのが現状。

 セレブのなかにも複数の被害者がおり、過去にシンガーのケシャやドラマ『The OC』のミーシャ・バートン、ドラマ『リバーデイル』のカミラ・メンデスが何者かにレイプドラッグを盛られたうえで性的暴行を受けた経験を語っている。

新たな手口「ニードル・スパイキング」とは

 しかし、危険なのは飲み物だけではない。今、欧米で被害が急増しているのが、バーやナイトクラブで相手が気づかないうちに手や首などにレイプドラッグを“注射”する、「ニードル・スパイキング(Needle Spiking)」と呼ばれる新たな犯罪の手口。

 相手に気づかれないように注射することは簡単ではないが、とある医師は「針が刺さったことをほとんど感じないほど細い針もあります。また、お酒を飲んだ後であれば、針による痛みを感じにくくなるかもしれません」と英BBCに話す。

 実際、体に残された注射痕を発見して初めて被害に遭ったことに気づく人も多いそうで、被害者のなかには急激に気分が悪くなって手足がうまく動かなくなり、翌朝まで記憶を失っていたと語る人が少なくないという。

 英The Independentによると、ここ数週間でノッティンガム、エクセター、スコットランド、北アイルランドなどイギリスの複数の地域でニードル・スパイキングが疑われる事件が報告されており、つい最近も、シェフィールドのナイトクラブでニードル・スパイキングの被害に遭ったと思われる10代の女性3人が病院に搬送される騒動があった。

 また、先日、8人の死者と300人以上の怪我人が出たラッパーのトラヴィス・スコット主催の音楽フェスでも、乱闘騒ぎで制止に入った警備員がニードル・スパイキングの被害に遭った(※)ことを米TMZが報じている。
※性的暴行が目的でなくても相手が気づかないうちに注射する行為はすべてニードル・スパイキングと呼ぶ。

更新:その後の捜査でニードル・スパイキングの被害には遭っていないことが明らかになった。当該の警備員が意識を失ったのは薬物ではなく頭部に強い衝撃が加えられたことが原因だという。

画像: 新たな手口「ニードル・スパイキング」とは

 ただし、飲み物にレイプドラッグを混ぜる手口同様、被害を未然に防ぐ決定的な手段がないこともあって、イギリスではナイトクラブが入場時にゲストを徹底的に検査することを法的に義務付けることを求める請願書に15万人超の署名が集まっているほか、議会での討議も検討されている。(フロントロウ編集部)

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