トラヴィス・スコットとドレイクのパフォーマンス中に悲劇
現地時間11月5日に米テキサス州ヒューストンのNRGパークで開催されたラッパーのトラヴィス・スコット主催の音楽フェス「アストロワールド」で、ヘッドライナーを務めたトラヴィスがパフォーマンスを行なっていた際、ステージ前方に観客が殺到したことが原因でこれまでに10人が亡くなり、300人以上が負傷する大惨事が起きた。
この日のヘッドライナーを務めたトラヴィスは、会場で悲劇が起きていることが明らかになってからも40分にわたってパフォーマンスを続けたとされている。また、トラヴィスのステージの終盤には、コラボレーターであるラッパーのドレイクもゲストとして参加。トラヴィスとのコラボ曲「Sicko Mode」を含む5曲をパフォーマンスした。
125人の被災者がトラヴィス・スコットらを訴える
トラヴィスら主催者に対しては、11月12日までに少なくとも100件を超える訴訟が起こされていたが、今回、犠牲になったアクセル・アコスタの代理人を含む、125人の被災者がトラヴィスやドレイク、プロモーターの米ライブネーション、フェスティバルを配信したApple Musicらを相手取り、7億5,000万ドル(約825億円)の損害賠償を求める訴訟を起こしたことが明らかになった。
フェスティバルを訪れていたアクセル・アコスタは、「興奮し、手のつけられない状態となった制御不能の観客たちに強い力で圧迫され、息ができなった」ことが原因で亡くなったという。享年21歳だった。「彼が大観衆の下敷きになり、生死を彷徨っていた時にも、およそ40分にわたって音楽は鳴り続け、配信されました」と訴状には記されている。アクセルはその場で死亡が確認されたという。
「被災者たちがあの夜にアストロワールドへ出かけたのは楽しむためでした。彼ら自身も、彼らのご家族も、彼らが極めて危険な環境に出かけて行くことになるとは警告していませんでした」と弁護人は主張している。
トラヴィスは、これまで一貫して“大惨事が起きているのを知らなかった”と主張。惨劇を受けて、2日間にわたって開催を予定していたフェスティバルのチケットの払い戻しを行なったほか、犠牲者の葬儀費用を負担すること、今回の悲劇で心理的にダメージを負った参加者に無償でセラピーを提供することなどを発表した。
今回新たに提出された訴状には、本名をジャック・ウェブスターというトラヴィスのこうした対応について、「アコスタ家としてはむしろ、ウェブスターには圧迫されて亡くなった方々の葬儀費用を負担すると公の場で述べるのではなく、適切なプランニングや、十分な数のセキュリティや医療スタッフを確保するために、事前に個人的にお金を費やしてもらいたかった」と記されている。
トラヴィスやドレイク、米ライブネーション、Apple Musicなどは現時点でこの新しい訴訟についてコメントを発表していない。(フロントロウ編集部)