『トップガン』と『トップガン マーヴェリック』、オープニングの違い
世界的大ヒットとなった1986年の『トップガン』から36年の時を経て、トム・クルーズ主演のまま制作された続編の『トップガン マーヴェリック』は、前作への愛に満ちた作品として高く評価されている。
制作陣の愛は、映画本編の冒頭からドカンと見せつけられる。『トップガン マーヴェリック』を見る前に、『トップガン』を予習していったファンならすぐに気がついたと思うが、続編のオープニングシーンはオリジナル版のものと同じように撮られている。
前作より、故トニー・スコット監督からバトンを受け継いだジョセフ・コシンスキー監督は、米EWのインタビューで、オープニングシーンについてこんな思いを語った。
「最初の数分は、これが『トップガン』の映画であるとみなさんに伝えたかったんです。みなさんと同じくらい、私たちもオリジナル作品を愛していますから。そしてあそこから、私たちの物語は非常に異なる方向へ進んでいく。でも最初の数分で、観客に分かって欲しかったんです。“心配しないで。私たちもオリジナルを愛しています。これも『トップガン』映画です”と」
制作陣からオリジナル作品への愛と敬意は、観客にも伝わっただろう。しかしじつは、あるポイントだけは異なるそう。「タイトルシーンと音楽は(1作目と)同じなんですよ。しかし空母での戦闘機はすべて新しいものです。オリジナル作品ではA-6とF-14だったんですが、続編ではF-18とF-35です。あれは空母のエイブラハム・リンカーンとセオドア・ルーズベルトですべて撮影されました」。
2作品のオープニングでは、戦闘機が違う! 監督は続編で、「ハードコアな『トップガン』ファン」への隠しネタをいくつも入れているようで、劇中でマーヴェリックが言うセリフの「ミサイルには近すぎる。銃に変更する(Too close for missiles, switching to guns)」や、戦闘機に貼られていた「missiles and guns(ミサイルと銃)」というステッカーも、前作から取ってきたものだと明かしている。
前作を理解したうえで、新たな時代の作品を完成させた監督の圧倒的なバランス感覚が、本作が大ヒットを記録している理由のうちの大きな1つと言える。彼は続編の制作について、「本作のなかでマーヴェリックがトップガンにカムバックするように、観客にも、私たちはトップガンへ戻るのだと感じてほしかった。2作品は同じ感覚を持っていなくてはいけません。しかし同時に、私たちは私たちの物語を伝えなければいけないというのも分かっていましたし、進化していく方法を自分で見つけなければいけないことも分かっていました」と、振り返った。
(フロントロウ編集部)