『トップガン』でマーヴェリックを演じたトム・クルーズと、アイスマンを演じたヴァル・キルマーは、現実でも対立していた時期が。当時をヴァルが振り返った。(フロントロウ編集部)

『トップガン』でライバルを演じたトム・クルーズとヴァル・キルマー

 1986年の『トップガン』に続く36年ぶりの新作として大ヒットを記録している映画『トップガン マーヴェリック』には、主演のトム・クルーズだけでなく、ライバルだったアイスマン役のヴァル・キルマーもカムバック。

 ヴァルは、2017年に咽頭がんで2年の闘病を経験してきたことを明かしており、気管切開も経験。しかしトムが、ヴァルが出演しないのであれば自分も出演したくないと考えていたほどアイスマンの再登場を望んでいたため、その強い思いに制作陣もヴァルも動かされて、アイスマンのカムバックが実現した。

 それほどまでに深い絆を持つトムとヴァルだが、じつは、1作目の『トップガン』の撮影時には、スクリーンの外でも対立。その理由について、ヴァルが、彼を追った2021年のドキュメンタリー映画『Val(原題)』のなかで語っている。

画像: 『トップガン』でライバルを演じたトム・クルーズとヴァル・キルマー

 「脚本ではアイスマンのことはほとんど書かれていなかったんです。なので、私は彼をリアルなものにしようと挑戦し、彼のバックストーリーを明確にしました。彼の父親は息子を無視する人物だったため、結果としてすべてにおいて完璧になる必要が行動の理由にあると。完璧さへの執着が彼を非常に傲慢にします。トムのキャラクターと自分のキャラクターの間にあったライバル関係を、意図的にスクリーンの外でも続けました。そして結果的に起こったのが、本当にメゾット演技(※)のようで、俳優たちは2つに分かれました。マーヴェリックとグースが一組、そしてスライダー、ハリウッド、ウルフマン、そして私のアイスマンがもう片方です。キャラクター間の衝突を演じるのは楽しかったですよ」
 ※アメリカの演出家であるリー・ストラスバーグが役者の訓練のために考案した演技法で、演じるキャラクターに深く入りこんで演じる方法。

 トムとヴァルだけでなく、グースを演じたアンソニー・エドワーズや、スライダー役のリック・ロソヴィッチたちまでもが、劇中の関係性をオフの時間にも保っていた。さすがにスクリーンの外では、トゲトゲした対立関係ではなかったと思いたいが、現場に緊張感は漂っていたはず。

 そんななかでも、30年以上が経っても続く絆がトムとヴァルの間で育まれたことについてヴァルは、「しかし実際には、いつもトムのことを友人だと思っていましたし、私たちはいつでもお互いのことをサポートしてきました」と語った。

 この36年で2人の人生には様々なことが起こった。そして今、ふたたび2人が共演したことには、胸が熱くならずにはいられない。

(フロントロウ編集部)

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