『ブレット・トレイン』には、ブラッド・ピットの実際の人生を表すかのような描写が多数! あぁ…、家で見られるようになったら、大爆笑しながらもう一回見よう。(フロントロウ編集部)

“仮想ジャパン”が面白すぎる『ブレット・トレイン』

 伊坂幸太郎による小説『マリアビートル』を原作に、映画『デッドプール2』のデヴィッド・リーチ監督がブラッド・ピット主演で映画『ブレット・トレイン』を制作。原作に登場した殺し屋の七尾が、映画ではブラッド演じるレディバグとして主人公となり、高速列車(新幹線)内を駆け巡る。

 主人公が七尾になってはいるものの、小説のメインキャラクターの多くが登場。大筋の展開も、新幹線に集結した殺し屋たちの因縁と殺し合いの物理的・頭脳的戦いを描く。一方で、本作はハリウッド映画。ハリウッドが作った“仮想ジャパン”はどうしたって面白すぎる…!

 スタントダブルとしてのキャリアも持ち、『アトミック・ブロンド』や『ワイルド・スピード/スーパーコンボ』といったド迫力アクションを監督してきたリーチ監督作品なのだから、本作もアクションに力を入れているのは当然。しかし日本人にとって、新幹線は他の電車に比べて比較的安全な電車である印象があるはず。そんな電車が、ガラスが割れても、ドアが開きっぱなしでも一切止まらずに走行し続けるのにはツッコミを入れずにはいられない。

 しかも各駅のホームにそんなにいかつい軍団が集合してたら、速攻警察呼ばれるって…! なんでホームや電車内にいる他の利用客もビビってないのよ…! 夜から朝まで走り続ける新幹線って、北海道から博多まで行けるのでは…? 面白すぎか…!?

セラピー、有害な男らしさ…、ブラピが向き合ってきたものがそのまま映画に

 そんな本作でブラッドが演じるレディバグは、ブラッドそのもの…!? ブラッドは世界各地を飛び回っているとはいえ、さすがに殺し屋の裏の顔は持っていないと思うが、そこじゃない。

 レディバグはセラピーを受けており、作中では、“マンスプはしちゃいけない”と自分を戒めるシーンも。マンスプというのはマンスプレイニング(Mansplaining)のことで、男性が女性に対して、女性は知識がないだろうという思い込みと偏見を持って自分の知識を上から目線で話す行動を指す。

 ブラッドといえば、アンジェリーナ・ジョリーとの離婚や裁判を経て、自分自身の有害な男らしさに向き合ってきたことをオープンにしてきた。離婚の原因の1つにはブラッドのアルコール依存症があったため禁酒会に通い、家族でファミリー・セラピーを受けていたこともある。

 そして過去には、ジェームズ・グレイ監督との会話のなかで、「(男として)よりオープンでいることは、自分の愛する人や両親、子どもたち、そして自分自身ともっと良い関係を築けることになるんじゃないか?」という考えに至ったことも明かしている

 そんなブラッドのことを知っているファンがレディバグの姿を見れば、なんだかジ~ンとくるかもしれない。また、その視点から見ると、レディバグに仕事を回すマリアに彼が普通に弱音を吐いているのも良いエッセンスかも。

画像: セラピー、有害な男らしさ…、ブラピが向き合ってきたものがそのまま映画に

家に帰って、周りを気にせずもう一回大爆笑しながら見よう…

 本作は“コメディ”アクションとして海外ですでに評判。それは全編を通してリーチ監督らしいユーモアが仕込まれているからなのだが、日本人にとっては声を出して大爆笑するアクションシーンにある。

 なぜなら、その場面のBGMが麻倉未稀の「ヒーロー」だから!

 世代ではないにもかかわらず、一瞬ラグビーと山下真司の顔が脳裏に浮かびそうになったほど、日本人のDNAに染み込んでいる楽曲のなかで、ブラッドたちが全力のアクションをかましてくる…。

 そうそう、これこれ! ハリウッドにやってほしかったのは厳密な日本の景色を作ることとかじゃなくて、何か全力さが伝わってくる、日本のファンもシラけない高予算映像なんだ! アメリカの映画館なら大爆笑の嵐だろうが、こればっかりは日本の劇場内でも大爆笑して良いんじゃないだろうか。

 福原かれんとマシ・オカのカメオ出演は、マシ・オカは良かったが、福原かれんは彼女の良さがまったく伝わらないまま終わってしまったので残念。しかし楽しい映画が見たいならオススメの一作。

(フロントロウ編集部)

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