カニエの不適切な言動が波紋を呼ぶ
2022年9月に自身のブランドであるYeezyとコラボ相手であるGAPとのイザコザが報じられて、10年契約を破棄して以降、問題行動や言動を繰り返しているカニエ・ウェスト。
パリで開催されたYeezyのショーでは、黒人に対する暴力や差別の撤廃を訴える抗議運動「Black Live Matter(黒人の命には価値がある)」に対抗して白人至上主義的なスローガンとして知られる「White Lives Matter(白人の命には価値がある)」と書かれたTシャツを着て大炎上。ジジ・ハディッドなどのセレブがこの問題に反応していた。
さらには反ユダヤ主義的な暴言を吐き続け、2020年に白人警官により殺害された黒人男性のジョージ・フロイドの死因は薬物だったというデマを拡散するなど、不適切な行動が続いている。
カニエは以前からメンタルヘルスの問題を抱えていることを明かしており、彼がこのような行動に及ぶたびにそれを理由に彼を擁護する声があるが、一方で、今回に関しては「もう擁護はするべきではない」という声も増えている。
そのなかで、彼に人種差別的なスピーチを続ける場所を与えている一部メディアには批判が集まっており、テレビ司会者のトレヴァー・ノアは、「社会が(メンタルヘルスの問題を抱えたカニエを)助けるために、『今は彼の前にマイクを突きつけて何でもかんでも言えるようにするタイミングじゃないでしょう』と言わないことには不満を覚えている」とコメント。
また、レブロン・ジェームズが出演するトーク番組『The Shop: Uninterrupted』はカニエとのインタビュー回をお蔵入りにして、その理由をこう語った。「収録の前日にカニエと直接話して、彼が尊厳を持った議論をして、最近の発言について説明する準備ができていると判断しました。残念ながら、彼は『The Shop』をさらなるヘイトスピーチや極めて危険なステレオタイプを繰り返す場所として利用しました。『The Shop』は深く考えられた議論や異なる意見を受け入れています。一方で、いかなる種類のヘイトスピーチも容認しておりません。私たちのチャンネルがヘイトを助長するために使われることは決して許しません」。
バレンシアガやアナ・ウィンターがカニエと手を切る
カニエは長年、バレンシアガ(Balenciaga)のデザイナーであるデムナ・ヴァザリアと親密な関係にあり、デザイナーとして何度もコラボしたことがあるほか、つい先日開催された、バレンシアガのパリ・ファッション・ウィークでは、カニエをモデルとして起用した。しかし、一連の言動により「バレンシアガはこのアーティストとは関係はなく、今後一緒にプロジェクトを行なう計画もありません」と、親会社であるケリングがWomen's Wear Dailyが入手した声明の中で述べた。
kanye west opening for balenciaga ss2 at #PFW
— johnzinhu saw dua (@halluciting) October 2, 2022
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さらに2人でランチに行くなど公私ともに仲が良かった米Vogueの編集長であるアナ・ウィンターも、カニエの不適切な言動により、関係を切ることに決めたと米TMZが報じている。そのため、ファッション業界で最も影響力を持つ米Vogueにカニエやカニエのブランドが登場することがなくなるうえ、アナが議長を務めるメットガラへの出席もなくなるとされている。
ちなみに、カニエとタッグを組み、大ヒットスニーカーYeezyブーストを発表するアディダス(Adidas)は、この一連の騒動に沈黙を貫いており、それがゆえ、ツイッターでは「#boycottadidas」というタグが出現し、カニエと関係を切らないならボイコットしようという運動が繰り広げられている。(フロントロウ編集部)