日本時間10月24日から25日にかけて、ビリー・アイリッシュからジェニファー・アニストランまで多数のセレブのインスタグラムに同じメッセージが掲載された。その背景にある騒動とは。(フロントロウ編集部)

カニエ・ウェストの発言がLAで白人至上主義者に使われる

「私は、自分のユダヤ人の友人たちとユダヤ人を応援しています」

 日本時間の月曜日から火曜日にかけて、ビリー・アイリッシュ、ミランダ・カー、ヘイリー・ビーバー、ジェニファー・アニストン、ナオミ・ワッツ、クロエ・モレッツ、エル・ファニングなどトップセレブたちが一斉に同じメッセージをSNSに投稿している。フロントロウ編集部が確認しただけでも、このメッセージを投稿したセレブの数は30名を超えた。

 この一斉投稿のきっかけになったのは、直前の週末にロサンゼルスの高速道路405号線で起きたショッキングな出来事があるのだが、それを説明するためには、まずは数週間前にさかのぼる必要がある。

画像: ©Twitter/Oren Segal ※写真の一部にぼかしを入れています

©Twitter/Oren Segal ※写真の一部にぼかしを入れています

 45号線での出来事が起こる数週間前の10月初め、ラッパーやデザイナーであるカニエ・ウェストがSNSで“ユダヤ人は強欲で世界の富をコントロールしている”という、ユダヤ系の人に対するネガティブなステレオタイプを繰り返し、「ユダヤ人に対してデフコン(防衛基準態勢)に入る」と投稿。“ユダヤ人=強欲”というステレオタイプはナチスが反ユダヤ人キャンペーンで使っていた偏見で、アメリカユダヤ人委員会(AJC)は「ユダヤ人を強欲と関連づける行為は歴史を通じて反ユダヤ主義を煽り、今日もなおユダヤ人に影響を与えています」としている。この投稿を理由にインスタグラムとツイッターのアカウントをロックされたカニエは、その後もインタビューで“ユダヤ人が世界をコントロールしている”という主張を繰り返している。

 そして先週末、ロサンゼルスの高速道路405号線にかかる橋に数人のグループが集まり、「ユダヤ人に対するカニエの意見は正しい」「知っている人はクラクションを鳴らして」と描かれたバナーを掲げ、ナチスの敬礼をした。セレブリティが大きなプラットフォームを使ってまき散らした偏見が、差別的な活動を助長する材料となったのだ。

 これを受けて、多くのセレブが先のメッセージをSNSに続々と投稿。ジェニファー・アニストンはさらに、「セレブリティの発言が現実世界でのヘイトにインパクトを与えるかどうか疑問を持っていた人はこれを見てください」というツイートを引用。リリー・ジェームズやリリ・ラインハートは「セレブリティが陰謀論やヘイトを拡大させているときは非難してください。あなたはその人をマトモに受け止めないかもしれないですが、受け取る人がいるのです。反ユダヤ人主義は冗談で済むことではありません」という投稿を引用した。

 リース・ウィザースプーンは「直接だろうと、オンラインだろうと、どこだろうと、どのような形だろうと、反ユダヤ主義は嘆かわしいことです。それはヘイトであり受け入れることはできません」とツイート。オーランド・ブルームは「(ヘイトな)言葉がアクションに繋がらないようにする責任が私たちにはあります。はっきりと声を挙げて非難しなければ我々は火に油を注いでいるも同然です」というメッセージをインスタグラムに投稿した。

 そして俳優のジェイミー・リー・カーティスは、「カニエは間違っていて、アディダス、あなたのモットーも間違っています。“不可能なんてありえない(※アディダスが使用するスローガン)”は“何も言わないなんてありえない”になるべきです。言葉には責任があるのです」とインスタグラムに投稿。これは、カニエと契約を結ぶアディダスが、カニエの不適切な言動に対してアクションを取るよう強く求められている件に触れている。

 現時点で、カニエと長年コラボレートしてきたバレンシアガが彼との関係を断絶することを発表したほか、金融会社のJPモルガン、カニエのエージェント会社であるCAA、カニエの弁護士であるカミーユ・ヴァスケスがカニエとの契約を打ち切ったと報じられている。(フロントロウ編集部)

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