『エンパイア・オブ・ライト』はサム・メンデス監督が映画館や80年代への思いを込めた作品だが、要素が散らかっている。そのなかでもオリヴィア・コールマンは圧倒の演技。(フロントロウ編集部)
オリヴィア・コールマンの演技、映画愛、ノスタルジー…
イギリスにある海辺の街を舞台に、映画館で働くオリヴィア・コールマン演じるヒラリーと、マイケル・ウォード演じるスティーヴンが心を通わせる映画『エンパイア・オブ・ライト』。エンパイア(Empire)は帝国という意味だが、イギリスでは映画館の名前に使われることも多く、エンパイアという有名映画館チェーンもある。そのため、本作が映画への愛に溢れたものであることはタイトルの時点で明白で、さらにメンデス監督の母親への思いも込められているという。
本作の見どころは、すでに話題になっている通り、主人公ヒラリーを演じたオリヴィア・コールマンの演技力。さらに、彼女を温かく見守る映画館の仲間たちを、トビー・ジョーンズトム・ブルック、ハンナ・オンスローらが演じており、彼らの包容力には見ているこちらも安心させる。
また、本作を本作たらしめる映画館という舞台は美しく、人が絆を深めるステージとしてふさわしい。新型コロナウイルスのパンデミックで映画館がなくなってしまうのではないかと心配し、映画館への愛を形にしたいと思ったことが、サム・メンデス監督が本作を制作するきっかけになったという。そのため、本作で描かれている映画館は、映画ファンの心を掴むだろう。