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生理用品をトイレで無料提供、世界と日本で広がる動き

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BY FRONTROW Editorial Dept.
生理用品をトイレで無料提供、世界と日本で広がる動き
写真:Getty Images

 トイレットペーパーや石けんと同じように、生理用品もトイレに置かれているべきではないか。そんな考え方から、FRONTROWは2023年に海外のトイレで生理用品がどのように無料提供されているかを調べた。あれから3年がたった2026年、イギリスの王室属領であるマン島では無料提供を定める法律が成立目前となり、日本でも大学の個室トイレに無料のナプキンを置く動きが広がっている。世界と日本の「いま」を整理した。(フロントロウ編集部)

法律で「無料」を守ったスコットランド

 この分野の先駆けとなったのがスコットランドだ。スコットランド政府は、必要とする誰もが無料で生理用品を手にできる権利を法律で保障した世界初の国だとしている。

 スコットランドでは2018年から学校や大学、地域の施設での無料提供に予算をつけ、2020年10月には学校に生理用品の無料提供を義務づける規則を施行。同年11月には、誰でも無料で生理用品を受け取れるようにする法案が議会の全会一致で可決され、2021年1月に国王裁可を受けた。この法律は2022年8月15日に施行され、自治体と教育機関には、必要とする人が生理用品を無料で、尊厳に配慮したかたちで、複数の種類から選んで入手できるようにすることが法的に義務づけられた。

 受け取れる場所を探しやすくする工夫もある。2022年1月には、無料で生理用品を入手できる場所を検索できるアプリが公開され、公開時点でスコットランド全土の1,992カ所とつながっていた。

マン島、北アイルランドに広がる“スコットランド方式”

 この流れは周辺にも広がっている。北アイルランドでは2022年に生理用品の無料提供を定める法律が成立し、行政による無料提供の仕組みや、公的機関に提供を求める規定が設けられた。

 そして2026年、新たに動いたのがマン島だ。地元のIOM Todayによると、2025年に議員立法として提出された生理用品の無料提供法案(Period Products (Free Provision) Bill)は、マン島議会(ティンワルド)での審議を終え、2026年7月に国王裁可に向けた手続きへと進んだ。今後はイギリス法務省による審査などを経て、国王裁可を受ければ法律として成立する。

 この法案は、公共施設で生理用品を無料で手に入れられるようにすることを目指すもので、提出した議員は、生理の貧困に向き合うこの取り組みを誇りに思うとSNSでつづった。現在のマン島では、無料の生理用品を受け取れる場所はフードバンクや首都ダグラスの市立図書館などに限られているといい、法律が成立すれば、年齢や背景を問わず島全体で無料提供が進むことになる。同紙は、この法案がスコットランドと北アイルランドの制度から着想を得たものだと伝えている。

アメリカは州ごとに差、資金の打ち切りも

 アメリカでは、州ごとに対応が分かれている。生理用品の支援団体Alliance for Period Suppliesによると、2026年8月15日時点で、学校で生徒が無料で生理用品を使えるようにする法律が施行されているのは26州とワシントンD.C.だ。

 たとえばミネソタ州では2024年1月から、4年生から12年生までの生徒が利用するトイレに生理用品を無料で置くことが全学区に義務づけられ、費用は州予算でまかなわれている。ペンシルベニア州は2026~2027会計年度の州予算に、学校向けの生理用品の助成金300万ドルを盛り込み、これで3年連続の予算化となった。一方、ミズーリ州は同じ会計年度にこの予算を打ち切っており、州の財政状況によって後退するケースもある。同団体は、2023年に生理のある生徒の4人に1人が生理の貧困を経験したという調査結果も紹介している。

日本はどうなっている? 個室トイレに置く動きが大学にも

 日本には、スコットランドのように無料提供を義務づける法律はない。生理用ナプキンの無料提供サービス「OiTr(オイテル)」を展開するオイテル株式会社は、海外で無償提供や税の軽減・撤廃といった対策が進む一方、日本の支援は自治体単位にとどまっているのが現状だと指摘している。

 そのなかで広がっているのが、民間の仕組みを活用した個室トイレへの設置だ。OiTrは、個室トイレ内のディスペンサーに流す広告の協賛費を財源に、アプリと連動してナプキンを無料で提供するサービスで、2時間ごとに1枚、25日間で最大7枚まで受け取れる。2026年9月時点で、全国35都道府県の406施設に計4,467台が設置されている。

 最近では学校での導入も目立つ。東京・文京区の跡見学園女子大学は、2026年9月24日から文京キャンパスでOiTrの運用を始めた。同大学はもともと保健室で生理用品を配布し、2023年からは女子トイレの共有スペースに無料のナプキンを入れたボックスを置いていたが、「個室の中で受け取りたい」「周りの目を気にせず使いたい」という学生の声を受けて導入を決めたという。

 2023年にフロントロウが取材したロール式ナプキン「Egal」のCEOも、生理用品はトイレットペーパーと同じように考えるべきだと話していた。法律で保障するのか、企業や学校の取り組みで広げるのか。方法は国によって違うものの、必要な人が誰にも頼まず、その場で手に取れる環境づくりは、2026年も少しずつ前へ進んでいる。

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