ついに今日(日本時間2月6日)開催される、第51回目のスーパーボウル。アメフトの最高峰NFL(米ナショナル・フットボール・リーグ)の優勝者を決める決勝戦で、毎年試合さながらの注目を集めるのが、ハーフタイムに行われる豪華アーティストによるパフォーマンス。
今年はシンガーのレディー・ガガが満を持してパフォーマンスを行うこともありさらに注目度がアップ!
アメリカ国内で年間視聴率1位を記録し続け、最高視聴率が45%を超えることもある同番組で、意外にも許されている音楽界のタブーが。それは、「口パクOK」という暗黙の了解。
実力重視のアメリカでは、通常、大規模なイベントやライヴであれば、アーティストたちは生歌を披露することを要求される。口パクに対しては「ファンへの冒涜」、「プロとして失格」とネガティブなイメージを持たれることが多く、口パクをしたことがバレようものなら世間から落胆や叱責の声を浴びせられるなど、キャリアに大きな傷がつくことも…。
2013年のオバマ大統領の2期目の就任式で国歌斉唱を口パクして非難されたシンガーのビヨンセが、その後の会見で突如アカペラを披露し、汚名返上したというエピソードも。
スーパーボウルでは「口パクOK」な理由
しかし、日本に比べると口パクに対して寛容ではないアメリカで、どういう訳か、スーパーボウルのハーフタイムに関しては、アーティストたちが口パクをしても責められることはない。
それにはいくつかの納得がいく理由がある。
視覚的エンターテインメントが重視されるため
まず1つ目は、大きなスタジアムを会場とする同イベントのショーでは、激しいダンスや仕掛けをつかったダイナミックでド派手なパフォーマンスを要求されるという点。
観客やお茶の間の視聴者たちが視覚的に楽しめるショーが望まれるハーフタイムショーでは、歌そのものよりも、凝った演出が好まれる。
オバマ大統領の就任式後に行われた2013年のハーフタイムショーでは「絶対に生で歌う!」と宣言したビヨンセは、デスティニーズ・チャイルドのメンバーとの復活パフォーマンスを含むメドレー内の数多くの曲で見事な生歌を披露して観客を沸かせた。
会場に設置された巨大ステージを縦横無尽に移動しながらパフォーマンスを披露するアーティストたちが息切れをして歌声が途切れてしまっては、せっかくの流れが台無しになってしまうこともあり、普段はめったに口パクをしない生歌派の歌手でも、一部を口パクにするなどの工夫をして、与えられる12分間を乗り切っている。
完璧なパフォーマンスが求められるため
もう1つの理由は、国民の半数近くが視聴するモンスター級の番組だけに、絶対に失敗が許されないため。
アーティストたちは出演が決まると同時に、何カ月も前からこの日のために準備や練習を重ねており、本番では、ただ単に、歌唱中に音程を外してしまう、歌詞を間違えるなどのミスだけでなく、マイクや楽器、音響機材などの故障によるトラブルを未然に防ぐため、パフォーマンスの大半では事前に録音した音源が使われることが多い。
2013年にシンガーのブルーノ・マーズのサポートとしてゲストパフォーマンスをしたロックバンドのレッド・ホット・チリ・ペッパーズは、ボーカルのアンソニー・キーディス以外はテープ演奏だったことを認めていて、その他のメンバーの楽器はアンプにも繋がれていなかった。だから自由に飛んだり跳ねたりできたのか…。
今年のハーフタイムショーでのガガのパフォーマンスでは、宙吊りなどの仕掛けも準備されているとウワサされているほか、ガガ本人も事前のインタビューで「激しい有酸素運動をしているのと同じようなパフォーマンスになるわ。それに合わせてハードなトレーニングに励んだの」と明かしている。
それだけに、普段は生歌重視の彼女も、今回ばかりは部分的に口パクを取り入れる可能性が高い。