食べるアートは“再現禁止”──ミシュラン2つ星「ムガリッツ」、異端の厨房にカメラが入った90分
「パンもデザートもない」。そんな挑発的な言葉が掲げられたレストランが、スペインの片田舎に存在する。ムガリッツ。ミシュラン2つ星を誇るその厨房に、カメラが90分間密着した。
手で食べ、舌で味わう。食器すら排したテーブルは、もはや“食べる”という概念の解体と再構築だ。ムガリッツの厨房は、鍋やフライパンの代わりに注射器が飛び交い、料理というより実験が行われている。スタッフたちは、アートカードを片手に議論を重ね、五感を刺激する一皿をゼロから生み出していく。
しかし、その料理は、永遠には残らない。ムガリッツでは、半年間の研究の末に完成した料理が、シーズン終了と同時に“火に包まれる”という。記録にも...