今年2月、アメリカ・コネチカット州出身の若い女性がある偉業を達成した。現在27歳のカサンドラ・デ・ぺコルが成し遂げたのは、女性として世界で初めて国連加盟国の193カ国に台湾、コソボ共和国、パレスティナ(※)を加えた196カ国を旅したという記録。
※これらの国々は国際的には多数の国から国家として認められていない。
さらに、カサンドラは、前ギネス記録保持者の旅行期間を半分以下に短縮し、わずか18カ月と26日間でこの世界一周を達成した。
キッカケは素朴な疑問と好奇心
カサンドラが『エクスペディション196(探検196)』と名づけた冒険に繰り出すことに決めたキッカケは、「自分が生活するこの国の外には、一体何があるんだろう?」という素朴な疑問と好奇心。
「中東の国々って本当にニュースで伝えられている通りの場所なんだろうか?」、「アマゾンのジャングルは実際にはどんな風になっているのだろう?」と、世界の国々の本当の姿を自分の目で確かめてみたくなったという。
10代後半から20代前半にかけて、バックパッカーとして26カ国を渡り歩いたカサンドラは、すっかり外国を旅することの魅力に憑りつかれることに。一度は故郷コネティカットで職に就いたものの、ある日、旅への情熱が抑えきれなくなり、事務用品店で大きな世界地図を購入すると、その地図を自宅の部屋の壁にピンで留め、世界中の国々を結ぶ旅のルートをサインペンで描き始めたという。
カサンドラの『エクスペディション196』は、綿密な計画と準備を経て、2015年7月24日、彼女の25歳の誕生日にスタート。各国への滞在期間は2~5日間と観光をして回るには短かったものの、彼女が人生をかけた同プロジェクトは今年2月2日に無事完了した。
196カ国を旅するためにかかった費用は?
カサンドラが196カ国を旅するために要した費用は約2,250万円(198,000ドル)。出発前にベビーシッターなどのアルバイトを掛け持ちして貯めた115万円ほどの軍資金以外は、彼女のプロジェクトの存在を知り、資金提供を申し出たさまざまな企業や団体によって大半がカバーされたという。
旅行中には非営利研究組織のインターナショナル・インスティテュート・オブ・ピース(国際平和協会)の平和親善大使にも任命され、行く先々の国で観光局関係者や政治家と面会したり、学生たちの前で自身の体験を元に講演を行うなど、世界平和のアピールに努めた。
旅を終え、彼女が世の中の女性たちに伝えたいこと
これまでのどの女性もが成し得ない快挙を達成したカサンドラ。現在は、もう次の目的地である南極大陸への冒険の旅の計画を練り始めている彼女は、以前、世の中の女性たちにこんなメッセージを送っていた。
旅を通して、女性だからという理由で、男性だったら陥らないような厄介な状況に悩まされたり、利用されそうになったり、騙されそうになったりしたこともあったわ。でも、私は不当な扱いを許さないということを学んだの。
私の経験を知ることによって、世界中の若い女性たちが(もちろん男性たちにも)、これまで男性にしか成し得なかった目標や偉業を達成できるんだっていうことを知って欲しいわ。
カサンドラの旅の様子は、彼女のインスタグラムや『エクスペディション196』の公式ウェブサイトで見ることができる。
さらに、今後は、自身の経験を活かして彼女と同じように世界を旅して回ることを夢見る若者たちに向けたファンディング講座の立ち上げも企画しているという。