被害者をさらに傷つける「ヴィクティム・ブレーミング」
今、アメリカでレイプと同じくらい問題になっているのが、事件の被害者に対して非難や批判を浴びせる「ヴィクティム・ブレーミング」という行為。
例えば、証拠がないことを理由に「ウソをついているのでは?」と疑ったり、「被害に遭ったのは露出の多い服を着ていたから」と、被害者に責任があるかのように責めたりと、世間から被害者に向けられる「ヴィクティム・ブレーミング」の内容は様々。すでに心身ともに大きなダメージを負う被害者を、世の中がさらに苦しめているという現実に心が痛む。
セレブも「ヴィクティム・ブレーミング」の被害者に
シンガーのケシャが、プロデューサーのドクター・ルークを性的暴行で告発した件でも、世間から「証拠がないからウソ」「すべてはお金目的」といった声が上がり、「ヴィクティム・ブレーミング」の実態が浮き彫りに。
これに異議を唱えたのが、シンガーのアリアナ・グランデ。
彼女は根底に女性差別があることを指摘し、「これが男性アーティストだったら、こんな風に批判されることはなかったと思うわ」と、被害者であるケシャを一方的に責める世の中を痛烈に批判した。
レイプ被害者を苦しめるものはほかにも
レイプ被害者を苦しめるのは、「ヴィクティム・ブレーミング」だけではない。「セカンドレイプ」と呼ばれる二次被害も問題視されている。
「セカンドレイプ」とは、捜査や裁判のために何度も事件のことを聞かれたり、事件が報道されることによって好奇の目にさらされたりすることで、レイプ被害者が心理的ダメージを受けることを言う。この「セカンドレイプ」こそが、被害に遭ったことを誰にも言えず、泣き寝入りしてしまう最大の原因とも言われている。
被害者にとっては、「レイプされた」ということを申告するだけでもやっと。今後、1人でも多くの被害者が声を上げられるようになるには、「ヴィクティム・ブレーミング」や「セカンドレイプ」といった問題が、一刻も早く解消されることが大切なのではないだろうか。