9. 人種差別問題を一蹴
10月に発売される最新アルバム『ビューティフル・トラウマ』からの先行シングルとして8月にリリースされた「ホワット・アバウト・アス」。ソロとしては約5年ぶりとなる同曲は、全世界45カ国のiTunesチャートで1位を記録。
「私たちはどうなるの?」と問いかけるこの曲のMVで、ピンクは、人種や性別を超えたさまざまな人々が抱える苦悩を表現し、社会に溢れる不公正に警笛を鳴らしている。
そんな彼女は、今年8月に米・ヴァージニア州シャーロッツビルで行われた白人至上主義者集会の参加者が、カウンター・デモを行っていた反差別派の女性を自動車でひき殺したヘイト・クライム(憎悪犯罪)にも憤りの声を上げていた。
事件にショックを受けたピンクは、すぐさま自身のSNSを通じて人種差別主義者たちを皮肉交じりに痛烈に批判。
**「信じがたいかもしれないけど、彼らは"白人"の大多数ではありません。私たち白人は、このアソコの小さな特権階級の甘やかされた負け犬どもを恥ずべき存在だと思っています。
ああいう一部の奴らのせいで、物事がややこしくなるの。彼らのパパとママはお小遣いを減らすべきだわ」**―白人至上主義者を批判したインスタグラムの投稿より抜粋
呆れた様子のピンクは、被害者や不安を感じる世間の人々に向け「あの馬鹿どもに代わって私がお詫びするわ」と謝罪の言葉を口にすると、別の投稿では「ヘイトは愛に勝てない」と人種差別をこの世から無くすためには、お互いを愛して受け入れることが重要だと熱く語った。
8. 性別によるステレオタイプを完全無視
ファッションもヘアメイクも中世的なスタイルを好み「女性だからこうあるべき」という固定観念に真っ向から立ち向かっているピンクが、性別によるステレオタイプを破った代表的なエピソードといえば、現夫でモトクロス・ライダーのケアリー・ハートとの交際中に、彼に自らプロポーズをしたという逸話。
交際から4年ほど経った2005年のある日、モトクロス・レースに出場中だったケアリーの応援に駆け付けたピンクは、スタンドに侵入。なんと、走行中だったケアリーに向け「私と結婚してくれる?マジだよ!」と書かれたボードを掲げて求婚した。
そのときの写真がコチラ。
このピンクの思い切った行動は、「女性ならば男性からプロポーズされて結婚するのが当然」という従来の常識に縛られないロマンチックなプロポーズとして、10年以上経った今も語り継がれている。
7. 別れましたけど、何か?
その後、2006年に結婚したピンク&ケアリー夫妻には、普通では考えられないエピソードが。
当時すでにトップスターとして世界中でツアー公演を行うなど多忙を極めていたピンクは、ケアリーと過ごす時間を充分に持てず仲違い。2人は、結婚からわずか2年で別居へ…。
離婚説もささやかれるなか、なんとピンクは、この年リリースした5枚目のアルバム『ファンハウス』の収録曲「ソー・ホワット」のMVに別れたはずのケアリーを起用!
曲の冒頭から「旦那とはもう終わっちゃったかも。だって彼がいまどこにいるのかわからないし」と歌い話題となったこの曲は、世界各国のチャートで1位を記録し、ピンクの代表曲に。
あえてケアリーを出演させたことについて、「『旦那が居なくなったのよ』って歌うとウケるかなと思って」と話していたピンクだったが、後になって、じつは「MVでの共演を口実に彼とまた会えることが嬉しかった」とカワイらしい一面を覗かせていた。
6. 体形批判に「余計なお世話」
正義感が強く曲がったことが大嫌いなピンクは、他人の体形にあれこれと難癖をつける「ボディ・シェイミング(体型批判)」にも牙を剥いている。
あるレッドカーペット・イベントに登場した彼女の写真を見て、「太りすぎ」「体重が増えたんじゃない?」とコメントしたネットユーザーたちに対し、「私の体重について気にしている人たちがいるみたいだけど、余計なお世話。私はまったく平気だから心配してくれなくて結構よ! 私の健康的で肉感的で超強靭なボディはいま休暇中なの」とピシャリ。
さらに、「私の夫はスーパーで私のお尻を鷲掴みにしながら『(体重が増えたことで)愛する部分が増えたね』って嬉しそうに言ってたわ」とユーモアたっぷりにつけ加えていた。
5. エンタメ界のあの大事件にも反応していた
情に厚いピンクは自分のことだけでなく、たとえ他人事であってもことでも、不当な扱いを受けている人を見たら黙っていられない。
2009年のMTV ビデオ・ミュージック・アワード(以下VMA)で、ラッパーのカニエ・ウェストが最優秀女性ビデオ賞を受賞したシンガーのテイラー・スウィフトからマイクを奪いスピーチを妨害したあの有名な事件の舞台裏でも、じつは、ピンクはある行動を起こしていた。
自身も「ソー・ワット」で同カテゴリーにノミネートされていたピンクは、カニエの失礼極まりない行動にブチギレ。カニエの近くを通った時に彼ににらみをきかせて思わず詰め寄りそうになったところを、セキュリティーに制止されるという場面が。
カニエ本人に直接文句を言うことができなかったピンクはその後、ツイッターでこうコメント。思わぬ災難に見舞われたテイラーを擁護していた。
「カニエ・ウェストはこの世で一番大きなゴミくずね。テイラー・スウィフトには同情する。彼女はスウィートで才能あふれる女の子だし、あの瞬間を邪魔されるべきではなかったわ」—VMA後、ツイッターでカニエを批判して
4. 体をはって動物愛護を叫ぶ
ピンクが熱くなるのは、人間のためだけではない。「動物たちはこの世で一番純粋で美しい存在だと思ってる」と話す彼女は、「ファッションのために動物たちが傷つけられるのは許せない」と毛皮製品は一切身に着けないことを誓っている。
過去には、世間に大きな影響力を持つほかのセレブたちにも自身に賛同して欲しいとメッセージを送ったことも。
**「世間からセレブリティと呼ばれている人へ
憧れられる存在であるなら、毛皮を着用することで世間に与える価値観に責任を持つべきよ。
毛皮を着ている人を見ると、その動物に襲われればいいのにと思う。ちっとも格好良いことではないわ」**—英ニュース・オブ・ザ・ワールド紙に語って
さらに、2006年には、イギリスのバッキンガム宮殿の近衛兵の帽子を熊の毛皮からフェイクファーに変えて欲しいとエリザベス女王に直接手紙を書くという大胆な行動に。「見た目を良く見せるために動物の尊い命を奪う必要は無いはずです」と意見したことを明かした。
3. LGBT+コミュニティを熱烈サポート
他のセレブたちが支持を声高に叫ぶようになるよりもずっと前からLGBT+(※)コミュニティををサポートしてきたピンク。
※レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーの頭文字をとった総称
その功績を称えられ、2010年の人権啓発キャンペーンでアワードを贈られたピンクは、受賞スピーチで、性的趣向によって他人を特別視しないことこそが、本当の意味での寛容さに繋がると力説し称賛を浴びた。
「自己紹介で自分の名前や年齢星座を言っても、相手からはごく普通のつまらない反応しか得られないように、『私はゲイです』と明かしても、同じような普通のリアクションしか返ってこないような世の中になって欲しいと思っています。同性同士の結婚が“同性婚”という特別な呼称ではなく、普通の結婚のカタチの1つとして世間一般に定着するような社会を築くべきなのです」 ―ヒューマン・ライツ・キャンペーンでのスピーチより
2. ワーキングママの日常を赤裸々に晒す
シンガーとしてのキャリアと並行して現在6歳の娘ウィロウちゃんと、昨年誕生した息子のジェイムソンくんの2児の母としても奮闘しているピンク。
今年4月、ピンクはハイキング中にジェイムソンくんに授乳する姿を撮影したセルフィーをインスタグラムに投稿。
「どこか別の場所でやってほしい」という反対派と「自然なことであり母親の都合を優先するべき」という擁護派の間で意見が分かれている、「人前での授乳がアリかナシか」という議論は、昨今のフェミニズム旋風に押されて欧米で盛んに意見が交わされていることもあり、このピンクの授乳写真も大きな話題に。
さらに、8月には搾乳ブラを着けてバスルームで搾乳する様子の写真を公開。世間からはあまり見慣れない搾乳中の姿に対して驚きや戸惑いの声も上がった。
このピンクの行動は、母乳育児中のワーキング・ママたちの多くが日常的にしている「陰の努力」である搾乳という孤独な作業に光を当てるためのもの。
大きな影響力を持つセレブである自分がワーキング・ママとしての苦労を晒すことで、同じように日々頑張っているママたちへの無言の応援メッセージを送っている。
1. 多様性のすばらしさを熱弁
ピンクはある日、娘のウィロウちゃんがおもむろにつぶやいた「私はすごく醜い女の子だわ。ロングヘアの男の子みたい」というひと言に愕然。
その時は何も言わなかったというピンクは、家に帰って、娘に見せるためのスライドプレゼンテーションを作成。
ピンクはこのプレゼンテーションにマイケル・ジャクソンやデヴィッド・ボウイなど他人に笑われても自分自身を貫き通した偉大なアーティストたちを登場させ、娘に自分らしさを称えることの素晴らしさを力説。
そして最後に、自分もたびたび「男みたい」「主張が多すぎる」「体つきがゴツすぎる」などと批判されることを娘に明かし、「だからと言って、ママは髪を伸ばしてる?体つきを変えている?自分自身を変えている?」と娘に問い、同時に「ママは世界中のアリーナを完売させているでしょ」と締めた。
MTV VMAのスピーチでこの一件を明かしたピンクは会場中からスタンディングオベーションを受けた。
「私たちは変わらなくたっていいの。貝から砂利を見つけて真珠にしましょう。色んな種類の美しさがあるってことをより多くの人に届けるのよ。私のベイビーガール、あなたは美しいわ。愛してる」―MTV VMAでの受賞スピーチより抜粋
5年ぶりのアルバムも姐さんからのメッセージでいっぱい
人種差別から育児まで、現代のさまざまな問題に対してハッキリと自分の意見を主張しているピンク。そんな彼女が、自分が信じる正義や社会に対するストレートで熱い想いを詰め込んだ楽曲の数々が10月13日に発売される5年ぶり7作目となる待望の新アルバム『ビューティフル・トラウマ』には収録されている。
P!NK
アルバム『ビューティフル・トラウマ|Beautiful Trauma』
10月13日(金)全世界同時発売
2,200円+税(SICP-5625)
トラックリスト
01. Beautiful Trauma | ビューティフル・トラウマ
02. Revenge | リベンジ
03. Whatever You Want | ホワットエヴァー・ユー・ウォント
04. What About Us | ホワット・アバウト・アス
05. But We Lost It | バット・ウィー・ロスト・イット
06. Barbies | バービーズ
07. Where We Go | ホウェア・ウィー・ゴー
08. For Now | フォー・ナウ
09. Secrets | シークレッツ
10. Better Life | ベター・ライフ
11. I Am Here |アイ・アム・ヒア
12. Wild Hearts Can't Be Broken | ワイルド・ハーツ・キャント・ビー・ブロークン
13. You Get My Love | ユー・ゲット・マイ・ラヴ
14. White Rabbit | ホワイト・ラビット ※国内盤ボーナス・トラック
●初回仕様限定紙ジャケット
日本公式サイト:http://www.sonymusic.co.jp/artist/pink/