4人の旬な女性アーティストがコラボしたシングル「ガールズ(GIRLS)」。
「女の子とキスしたい時もある/赤ワイン、女の子とキスしたい」「私はフィフティフィフティ、隠すつもりはないわ」という歌詞からも分かるとおり、この曲は、男性だけでなく女性も恋愛対象になる女性の視点で歌われた曲。
ただこの曲、バイセクシャルのためのアンセムだと称賛される一方、LGBT+コミュニティを中心に一部で批判が噴出している。
ステレオタイプを助長している?
曲に対して出ている最大の指摘が、曲の歌詞がバイセクシャルの女性の視点からではなく、男性視点で“女性と女性のからみ”が描かれているように聞こえ、バイセクシャルの女性に対するステレオタイプを助長しているのではないかという点。
制作陣の過半数が男性だったことがその批判をさらに加熱させており、同性愛者であることをカミングアウトしているシンガーのヘイリー・キヨコは、「女性のことを男性視点で描く行為をあおっていると同時に、女性同士の恋愛を過小評価している」と批判。
ヘイリーはとくに、酔った勢いでキスをしたと歌っているかのように聞こえる「赤ワイン、女の子とキスしたい」という歌詞に反応しており、「私はワインを飲まなくても、女の子とキスはするわ。生まれてからずっと女性が好きなんだから」とコメントした。
この曲にはほかにも、クィアであることをカミングアウトしているシンガーのケラーニが、「(曲に)気まずい言いまわし、発言、瞬間がけっこうあった」と苦言を呈している。
ちなみに「ガールズ」は、ケイティ・ペリーが女性とのキスを歌った「キス・ア・ガール」に一部インスパイアされているというが、最近、ケイティ自身が「キス・ア・ガール」は「歌詞の一部にステレオタイプが使われていた」として、今の自分ならばその部分を変えるとGlamour誌に認めたばかりだった。
リタ・オラ、カーディ・Bが謝罪
この批判を受け、リタ・オラとカーディ・Bがコメントを発表。
リタ・オラ
「ガールズは私の実体験が忠実に描かれた、私の真実なのです。私はこれまで女性とも男性とも恋愛をしてきました。そしてこれは、私のパーソナルな旅なのです。曲中で私が使った表現のせいで傷ついた人に謝ります。LGBTQ+の人のことも、誰のことも、意図的に傷つけようと思ったことはありません」
カーディ・B
「この曲には悪意はなかったし、誰かを傷つけるつもりもありませんでした。私自身、女性と経験があります。すごくたくさんの女性と!この曲はそんな自分の経験を思い起こす、良い曲だと思いました。私は過去にも、LGBTコミュニティに対して失礼であることを知らずにそういった言葉を使ったことがあります(※)。それに対しては、謝ります。全員が正しい“言い方”を知っているわけではありません。私は学び、もうその言葉を使っていません」
※カーディの婚約者であるラッパーのオフセットの「クィアとはつるめない」という歌詞に対して批判が出た時、カーディはオフセットをかばい物議を醸した。
“最強コラボ”として注目され、LGBT+へのサポートの気持ちも込めてリリースされた曲に対し、思わぬ形で謝罪することとなったアーティストたち。
ただ、批判を受けた一方、彼女たちを擁護する声もあり、批判したヘイリーやケラーニも、「意図的にやったことでないのは分かっている」「彼女たちを愛しているし応援している」とコメントしている。