オリンピックの金メダリストを含む、性的虐待の被害者140人がスポーツ界の祭典で訴えようとしたこととは?

「私たちはみんなで力を合わせて乗り越えた」

 現地時間7月19日にアメリカで開催された、スポーツ界の祭典「エクセレンス・イン・スポーツ・パフォーマンス・イヤリー・アワード」、通称ESPYアワードで、昨年明らかになったアメリカ体操連盟所属のラリー・ナサール元医師による性的虐待事件の被害者数百名のうち、140人がステージに登壇。

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 グループを代表してスピーチを発表した、同事件の被害者で体操のオリンピック金メダリストでもあるアリー・レイズマンはこれまで「闇に葬られてきた真実」についてこう明かした。

 「1997年、1998年、1999年、2000年、2004年、2011年、2013年、2014年、2015年、2016年、これらはラリー・ナサールの悪行について私たちが声を上げた年です。でも私たちは声を上げる度に、『君たちは間違っている。(性的虐待をされたと)勘違いしてるだけだ。彼は医者なんだから、何も心配することはない』と言われ、これ以上何か言えば将来のキャリアを傷つけるリスクを冒すことになると脅されました」

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 さらに続けて、「もしたった1人でもいいから、大人が私たちの声に耳を傾けてくれて、私たちの言うことを信じて、行動を起こしてくれていたら、このステージに立っている人たちは彼と一生出会わずにすんだかもしれない」と涙ながらに訴えると、「(性的暴行や性的虐待に耐えぬいた)サバイバーたちへ。あなたの話を誰かに書き換えさせては絶対にダメ。あなたが語る真実が必要なの。そしてあなたという人間も必要とされている。あなたは決して1人ぼっちなんかじゃない」と、同じように苦しむ人たちに向けて力強いメッセージを送った。

 ナサール元医師による性的虐待行為の被害にあったのはほとんどが10代の少女で、なかには声を上げるものもいたが、多くは「(一連の性的虐待行為は)治療の一環であり、これはオリンピックに出場するために必要なことである」と信じこまされ、ある種の洗脳状態にあったとされる。

 ちなみに、少女たちの心と体に深い傷を残したナサール元医師はすでに性的虐待の罪で懲役175年を言い渡されており、現在、それとは別の6件の罪で起訴されている。(フロントロウ編集部)

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