ストーリーの設定は、1960年代のアメリカ南部。バウンサーとして働く、労働階級のイタリア系アメリカ人、トニーが次の仕事として任されたのが、あるピアニストがアメリカ南部ツアーを周る際のドライバー。そのピアニストとは、富裕層のアフリカ系アメリカ人、ドンである。
ところでタイトルの「グリーン・ブック」とは何なのか?それは、アメリカの歴史に答えが隠されている。
1960年代のアメリカというと、アフリカ系アメリカ人の公民権獲得のための運動が最も盛んだった時代。その中でも、人種差別が強く存在していたアメリカ南部において、アフリカ系の訪問者として、運動に巻き込まれる危険を避けるために、安全に過ごすことのできる場所を教えてくれる、ガイドのようなものがあった。それがグリーン・ブックである。
そのグリーン・ブックを頼りにしながらアメリカ南部をツアーで周るドンと、そのドライバーのトニー。2人は生きてきた環境も違えば、性格も全く違う。映画『グリーン・ブック』ではそんな2人が、ツアーを通して育む人種も階級も問わない友情、そして未だアメリカに根強く残る人種差別問題などをテーマに描かれている。
この時代のアメリカを描く映画の多くは、白人が富裕層、そしてアフリカ系アメリカ人が労働階級や貧困層の役として描かれることが多いなか、『グリーン・ブック』では真逆に描写されていることにもぜひ注目したい。
そして出演する俳優も豪華である。主演のトニー役を、『ロード・オブ・ザ・リング』でアラゴルン役を演じたヴィゴ・モーテンセン、ドン役をアカデミー賞受賞俳優のマハーシャラ・アリが務める。
そんな実話を基にした映画『グリーン・ブック』の予告編動画がこちら。
『グリーン・ブック』は11月21日全米公開。日本公開は未定。
(フロントロウ編集部)