その作者として知られる女性作家のJ・K・ローリングが、名前を伏せ、素性を隠して世に送り出した1人の探偵の物語がある。
その探偵の名は、コーモラン・ストライク。
ロックスターの父とソーシャライトの母というセレブな両親の元に生まれ、名門オックスフォード大学を卒業しながら、兵士として向かった戦地で片足を失うという重傷を負った彼は、鋭い洞察力と行動力を活かして私立探偵に。
心と身体に傷を抱えたストライクと彼の元に突然現れた美人秘書ロビンが挑む3つの事件の謎を追うミステリー小説が、ミニシリーズ『私立探偵ストライク』として実写化。
今年6月の北米公開に続き、早くも日本でも、BS10 スターチャンネルでの8月19日(日)の先行”無料”放送を皮切りに独占放送がスタートする。
海外のミステリー好きや『ハリポタ』ファンを魅了してやまない、至極の英国ミステリーの魅力をたっぷり紹介!
無名の新人作家の小説が「スゴい」と評判に!
ベストセラー作家が名前を捨て、初心に立ち返った本格派ミステリー
2013年春、新人作家ロバート・ガルブレイス氏による探偵小説『The Cuckoo's Calling(邦題:カッコウの呼び声 私立探偵コーモラン・ストライク)』がハードカバー、デジタル版、オーディオ版合計で処女作としては異例の8,500部を売り上げ、英語圏で話題に。
イギリス・ロンドンを舞台に義足の探偵ストライクが売れっ子スーパーモデルの突然の死の謎を追うという筋書きの物語は、書評家たちから「これがデビュー作とは思えない」「素晴らしい作品。次回作にも期待が持てる」などと高評価を得た。
しかし刊行から約3カ月後、英サンデー・タイム紙が、このロバート・ガルブレイスなる人物の正体が、じつは、あの『ハリー・ポッター』シリーズの作者J・K ・ローリングであるという大スクープを掲載。
ローリング氏本人がこれを認めたことを受け、同書はAmazonの売り上げランキングで順位を5,000位以上あげて一気に首位に躍り出たほか、電子版でもiTunesブックチャートのトップにのぼり詰めた。
当時、あまりにも急な爆売れぶりに欠品となる店舗が続出。出版社が緊急増版をかける異例の事態となった。
別人になりすました理由
小説に添えられた「著者略歴」によると、ガルブレイス氏は英国軍警察に数年間従事した後、特別捜査部に転属。捜査官としてキャリアを積み、群を去った後は民間のセキュリティー会社で腕を磨いた男性であると紹介されている。主人公ストライクのキャラクターは、自分自身の体験や軍にいた頃の友人の話をもとにして考案されたという説得力のある記述も。
ローリング氏が、ここまで細かく設定を決め、あたかも実在する人物かのような架空の作家像を創り上げてまで別人になりすました背景には、彼女なりの理由があった。
その理由とは、読者たちに、『ハリー・ポッター』という現代児童文学史に残る作品を生み出した女流作家である自分の名前にとらわれず、先入観なしに純粋に作品を楽しんで欲しかったから。
ミステリーという新しいジャンルに挑戦するにあたり、世間の期待やしがらみから解放され、ありのままの評価を受けてみたかったのだという。
軍隊上がりの屈曲な男性という、あえて自分とは真逆の人物であるガルブレイス氏として作品を世に送り出すことに決めた意図について、ローリング氏は「初心に帰りたかったんです。ただ“書く”ということに没頭したかった。偽名を使うことは、自分が自分であることと、それによって抱えることになったあらゆる荷物から自由になるという手段でした」と説明。
結局、当時の彼女の顧問弁護士がうっかり知人に情報を漏らしてしまったため、正体がバレることとなってしまったが、ローリング氏は「偽名を使って作品を執筆できたことは、素晴らしい経験でした。できれば、もう少しだけ、バレずに続けられたら良かったけど…。ロバート・ガルブレイスとして得た出版社や読者たちからのフィードバックやレビューは、とてもありがたいものでした」とガルブレイス氏名義の公式サイトに綴り、今後もほかの作品との差別化を図る1つの方法として、このペンネームを使い続けることを明らかにした。
待望のドラマ化! 原作ファンの期待を裏切らない圧巻の満足度
ローリング氏の作品と聞くとファンタジーを連想する人も多いかもしれないが、私立探偵ストライクを主役とした物語で描かれるのは、リアルな現代社会を舞台とした極上のミステリー。
『ハリー・ポッター』シリーズのように魔法や不思議な生き物は登場しないが、緻密に練られたストーリー展開や絶妙な語り口、ストライクをはじめとする個性豊かなキャラクターの不思議な魅力に引き込まれ、時間を忘れて夢中になり、ページをめくる手が止まらなくなる読者が続出。
そんな世界的ベストセラーとなった小説を映像化したのが、大人気ミステリー『SHERLOCK/シャーロック』シリーズなど良質なドラマ作品に定評があるイギリスのテレビ局BBC。
ローリング氏も製作総指揮に名を連ねた同作は、第1章の最初の2話が夏の祝日のプライムタイムに2夜連続放送。人気番組がひしめく視聴率激戦区を制し、視聴者数はいずれも800万人超えを記録(※)した。
※The Broadcasters' Audience Research Board(BARB/英視聴者動向調査委員会)調べ。
本国での好評を受け、2018年6月に北米でも放送が開始。海を渡った同作は、辛口レビューサイトRotten Tomatoes(ロッテン・トマト)で、第1章が91%、第2章と第3章においてはそれぞれ100%という驚異の視聴者満足度を獲得。原作ファンも納得の強さを見せつけた。
途中参加OK! 全7話に渡って描かれる3つの事件
原作にならって各章ごとに1つの事件を扱う全7話のミニシリーズは、現在日本でも発売中の小説シリーズ第1章「私立探偵コーモラン・ストライク カッコウの呼び声」を全3話、翌週から第2章「私立探偵コーモラン・ストライク カイコの紡ぐ嘘」を全2話、そして、日本未発売の第3章を「悪しき者たち」として全2話という3部構成でそれぞれの事件が描かれる。各事件ごとに違う監督が演出を手がけており、途中から見ても充分に楽しめる。
さらにローリング氏は、2018年9月に英語圏で出版が予定されているシリーズ4作目となる小説『Lethal White(原題)』のドラマ化にも興味を示しており、今後の制作に期待が集まっている。
<章ごとのあらすじ>
第1章 『カッコウの呼び声』
ロンドンに事務所を構える義足の私立探偵ストライクのもとに、ロビンという女性が派遣秘書としてやってくる。恋人と喧嘩別れし、人手もお金もないストライクは、しっかり者の彼女を一週間だけの約束で雇うことに。そんななかストライクの旧友ジョンが、人気モデルだった妹ルーラが自宅から転落死した事件の真相を調べて欲しいという依頼を持って訪れる。警察はルーラの死が自殺であると断定しているが…。華やかなファッション界の裏でルーラが抱えていた苦悩とは? 親友、恋人、隣人…彼女を取り巻く怪しい人物たちが次々と浮かび上がるなか、ストライクは真実に辿り着けるのか?
第2章 『カイコの紡ぐ嘘』
仕事が軌道に乗り、依頼が殺到するストライクとロビンのもとに、レオノーラという女性が行方不明となった小説家の夫オーウェンの捜索依頼を持って来る。捜査を進めるにつれ、オーウェンが出版界の知人を批判した長編を仕上げたばかりだったことが判明。彼の失踪は偶然か、それとも悪意を持った何者かによって仕組まれたものなのか…。
第3章 『悪しき者たち』
ストライクは依頼人に会うため待ち合わせ場所に向かうが、何故か依頼人は現れなかった。翌日、事務所に出社したロビン宛てに、まるで戦地で片足を失ったストライクへの嫌がらせかのように“切断された足”の入った小包が届く。自身に恨みを持つ人間の仕業と考えたストライクは、彼の母を殺したウィテカー、軍警察時代に逮捕した小児性愛者のブロックバンク、妻に暴行を働いていたラングの3人を容疑者に絞り込むが…。
イメージ通りのナイスキャスティング
世界中に多くのファンを持つベストセラー小説の実写化となると、話題性があるだけにかなりハードルが上がるもの。そんななか、同作を成功へと導いた大きな要因の1つが、原作ファンたちを唸らせたイメージにぴったりなキャスティング。
メインキャラクターであるストライクとロビンの配役には、ローリング氏も太鼓判を押している。
<コーモラン・ストライク役 トム・バーク>
頭は切れるがどこかうだつの上がらない義足の私立探偵コーモラン・ストライクを演じるのは、英ドラマ界ではお馴染みの渋さが香る俳優トム・バーク(37)。
日本でもNHK総合テレビで放送された歴史ドラマ『マスケティアーズ パリの四銃士』など数多くのドラマ作品に出演しているほか、最近ではライアン・ゴスリング主演のクライム・スリラー映画『オンリー・ゴッド』への出演でも話題に。
「金なし・家なし・恋人なし」と3拍子揃った自堕落な生活を送り、人間らしい弱さや悩みを抱えながらも、仕事面では一切手を抜かないストイックさを発揮するというギャップが魅力的なストライクを見事に熱演している。
原作では190センチを超える長身に、まるで陰毛のようにカールした髪の毛を蓄えた巨漢として描かれているストライク。この風貌とは完全にはマッチしないトムだが、プロデューサーの1人であるルース・ケンリー・レッツは、初めて原作を読んだときからなぜか「ストライク役を演じるならトムが良い」と漠然と思い描いていたという。さらに、第1章の全3話を監督したマイケル・ケイラ―もトムのカリスマ性をベタ褒めしており、彼のハマりぶりは原作キャラクターとの外見の違いを超越するほどだと話している。
<ロビン・エラコット役 ホリデイ・グレインジャー>
控えめながら超デキる美人秘書ロビン・エラコットを演じるホリデイ・グレインジャー(30)は、6歳で子役としてデビューして以来、イギリス国内のドラマや映画を中心に着々と経験を積んだ実力派。
最近では、世界的大ヒットを記録したディズニーの実写版『シンデレラ』や、過激すぎる性描写で予告編が放送禁止となった『チューリップ・フィーバー 肖像画に秘めた愛』などへの話題作にも出演し、ますます活躍の幅を広げている。
ローリング氏が「これまで私が書いたなかで最も純粋に愛せるキャラクター」と語るロビンは、ストライクのために単なる雑用をこなすだけでなく、優れたリサーチ能力や推理の才能を開花させ、やがて彼の片腕となるまでに成長する野心に溢れる女性。
オーディション用の動画でホリデイの演技を目にしたプロデューサーのルースは「彼女こそが私たちが求めていた“ロビン”だわ!」と直感し、役を即オファーすることに決めたそう。
さらに、各事件の鍵を握る重要人物たちやシリーズを通してメインキャスト2人の脇を固める役どころにも、ドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』シリーズのタラ・フィッツジェラルドやベン・クロンプトン、カー・ローガンといった演技派たちが名前を連ねている。
じれったい大人のロマンスにも注目!
独自の手法でイギリスの社会問題や人々が抱える心の闇を暴く同作の魅力は、謎解きだけにとどまらない。
外見も内面も対照的なストライクとロビンだが、事件の推理や調査では、息の合ったチームワークを発揮。仕事上のパートナーとして少しずつ距離を縮めながら信頼を築いていく2人が密かに惹かれ合うという、じれったい展開に胸がキュンキュンしてしまう人も多いはず。
ストライクにとってロビンは、冴えないの毎日に突然差し込んだ太陽の光のような存在。絆が深まるにつれ、お互いを意識してしまう、淡い大人のロマンスからも目が離せない!
映像を通して風情あるイギリス文化を体験
細部までこだわり抜かれた映画『ハリポタ』シリーズの世界観と同様、『私立探偵ストライク』でも、物語の舞台となる街並みや建物、登場人物たちが身につけている衣装まで、綿密に計算されている。
ストライクが小さな事務所を構えるのは、実在するロンドン西部のストリート「デンマーク・ストリート」。古くから“音楽の街”と呼ばれ、「この道1本がイギリスの音楽産業を支えてきた」とも言われるこの通りには、かつてレコード会社やレコード店、楽器店などが乱立。1950〜70年代には、かのローリング・ストーンズやセックス・ピストルズ、デヴィッド・ボウイ、エルトン・ジョンらの錚々たるアーティストたちがレコーディングを兼ねて足繁く通っていた歴史ある場所として知られている。
そんなイギリス文化の1つを象徴する街の、どこかレトロで趣のある雰囲気にどっぷりと浸かれる映像は必見。
さらに、チャーミングなロビンが披露する、控えめながらおしゃれな英国流秘書ファッションや、ときにはストライクをドキッとさせてしまう華麗な変身ぶりにも注目したい。
『ハリポタ』シリーズに代表されるJ・K ・ローリング作品のファンだけでなく、海外のミステリー好きも魅了するドラマ『私立探偵ストライク』は、8月19日(日)よりBS10 スターチャンネルで日本独占初放送がスタート。
<BS10 スターチャンネルでの放送放送スケジュール>(3部構成:全7話)
『私立探偵ストライク』
【STAR2 字幕版】 8/27(月)より毎週月曜 よる11:00ほか
【STAR3 二ヵ国語版】 8/30(木)より毎週木曜 よる10:00ほか
※8/30(木)は第1話無料放送
◆ドラマをより楽しく見るための特別番組「J.K.ローリングが語る『私立探偵ストライク』ガイド」も放送
公式サイトはコチラ
第1章「—カッコウの呼び声 前編」を先行無料放送!【STAR1 字幕版】8/19(日)よる10:45