17年経っても変わらない“ヴィクティム・ブレーミング”
先日、アイルランドで行われたレイプ事件の裁判で、加害者側の弁護士が被害にあった17歳の少女が事件当時「レース素材のTバック」を身につけていたことを理由に、「少女には男性(加害者)と性行為をする意思があった」と主張し、無罪を勝ち取ったことに世間から批判が集まっている一件で、過去に裁判で「下着」を理由にレイプを正当化され、自殺した少女の母親が、英Teleglaphに悲痛な胸の内を語った。
今から約17年前の2001年、当時14歳だった加害者の少年からレイプされたリンジー・アームストロング(当時17歳)は、事件の裁判で相手側の弁護士から事件当時身につけていた下着を、裁判官や傍聴者の前で提示するよう求められたことなどを苦に自殺。
あれから17年経った現在も法廷で“ヴィクティム・ブレーミング(被害者批判)”が存在していることに、リンジーの母リンダ・アームストロングが憤りの言葉を口にした。
「いまだに被害者の下着がレイプを正当化する証拠として使われているなんて、本当にショックです。被害者の下着が理由で加害者が無罪になった件について、友人から聞いて知ったのですが、この話を聞いた瞬間、昔のツラい記憶が一気によみがえりました」
「恐らく今回の裁判では、少女が法廷で下着を提示することは求められなかったと思いますが、リンジーは違いました。リンジーは1度や2度ならず、3度も自分の手で下着を法廷で掲げることを求められたのです。被害にあった直後の事情聴取で、リンジーは恐怖と混乱から加害者に下着を『引き裂かれた』と口にしました。本当は『無理矢理脱がされた』ということを言いたかったのですが、『引き裂かれた』と表現してしまったのです。相手側の弁護士はそのことを逆手に取り、リンジーに、被害にあった当時はいていたTバックを、自分の手でみんなに見せるよう求めました。リンジーを嘘つきだと思わせるためです。リンジーは恥ずかしさで涙を流しながら、下着を持つ手を下ろしました。彼らはそんなリンジーに対して、再び下着を掲げることを求めたのです。そして、下着の表に書かれていた『リトル・デビル(Little Devil)』という文字を読むように命じました。下着に書かれた文字と彼女がレイプされたことは、まったくもって無関係なのに。娘は法廷で再び繰り返しレイプされたのです」
「(アイルランドで行われた裁判で)もし裁判官と陪審員たちが加害者への判決を決める際に、少女がTバックをはいていたことを考慮したのなら、それは非常に許しがたいことです。もし下着のことが1ミリでも頭をかすったなら、死んで詫びなければならないほどの恥です」
ちなみに、最初にお伝えした事件の判決をめぐって、裁判所の前に大勢の人たちが裁判のやり直しを求めて押しかけたり、SNSを使って「どんな下着を身につけていようと、性行為に同意したことにはならない」と呼びかけたり、世界規模で波紋を呼んでいる。(フロントロウ編集部)